高齢者やネットになじみの薄い人にスマホやPCの使い方をわかりやすく説明する方法【コミュニケーション】

自分の両親が世間的には高齢者というグループで呼ばれる年齢になっていて、気持ちとしては個々人にそんなラベルを貼るつもりは毛頭なくとも、「あ、この世代はこれが苦手なのかもな」と実感するケースがある。
私の両親の場合、特に母は一般的な定年退職の年齢を超えても勤務を続けた背景があり、その仕事の中でコンピューターや仕事用スマホを使っていたので、デジタルにはある程度強いというか、スマホやパソコンを最低限使うにはまったく大丈夫なものと私は思い込んでいた。

実際、私が使わないLINEを母は友達と大いに活用するなど、安心して見守れる側面もあるのだが、一方で「えっ、この意味がわからない!?」と驚くような質問を受けることもしばしばだ。
家族全員がそれまで使っていたキャリアのサービス終了によってやむをえずスマホを持つようになってから、この事実が明るみに出た。

そして今回、両親のみならず、両親と同世代の親戚にもスマホやネット操作に親しんでもらう必要があった出来事を経て、「おお、思ったよりも世代間ギャップあった……!」と私は改めて驚いたのだった。
それでこれまで自分が経験してきた「ネットへのなじみが薄い人にネットやスマホ・PCの使い方を説明する機会」を通して学んだこと、こんな風に教えるとわかりやすいよという情報を記事でシェアすることを思い立った。

関連する過去記事を紹介。私の世代にしては珍しくガラケー派を貫いていた私と妹を含め(ちなみに妹はガッツリコンピューターを使う仕事)、既述の理由で家族がいっせいにスマホに変えたときの記事はこちら。全部で3話ある。
私ならではの視点ということで単にエッセイにとどまらず、スピリチュアルな捉え方も含んだ語りが特徴だ。↓

「ガラケー家族がスマホにしたら。スピリチュアル視点を交えて語る【第1的意識変化は物理的現象になる】」

「ガラケー家族がスマホにしたら。【第2話 強制され得るという錯覚から目覚める】」

「ガラケー家族がスマホにしたら。【最終話 意識と未来、あなたの選択】」

まずは今回なぜ、両親だけでなく両親と同世代の親戚のデジタル事情に私がふれることになったのか、そこからお話ししよう。

急浮上した旅行計画。突然バッティングした政府の旅行支援に「既存予約」として漏れたこと

えぇと……政府の「全国旅行支援」の話は本題から脱線するんだけど、うちの登場人物のほとんどをやきもきさせたりがっかりさせたり、印象深かったのでそれも書いておこう。

発端はこの間の、秋のお彼岸。母の兄の家に両親そろって出かけた際、遠方に住んでいる母の弟に会いに行こうという話が持ち上がり、旅行計画として盛り上がったらしい。
(このとき私が見ていた「明晰夢」の内容はこちら。記事の本題は別物だが、両親のリアルタイムの状況とリンクしている。◇「体外離脱明晰夢で『地球の月』への思いがけない言及【とある構造からの拡大】」

母の弟、つまり私にとってのおじだが、不仲だとかそういうことは全然ないのに、単に遠いところで暮らしているということが理由で十年以上前の妹の結婚式のとき以来会っていなかった。みんなで会いに行こう! そして一緒に少し観光もしよう! という話になり、当初は両親と母の兄夫婦の間で決まったことだったが、その話を聞いて参加を表明したのが私と妹。
かくして、母方のおじ夫婦とうちの家族が参加、現地在住のおじと合流する旅行が決定したのである。

あまり先延ばしにすると実現しづらくなるから……という申し出で、日程は近い日にちで設定した。それからは集中して毎日、旅行のプランをおおまかに決めることに時間を割き、ネット上で宿泊先の予約など行った。
母は通常、旅行会社のカウンターへ出かけてプランを相談したり手続きしたりすることを好むのだが、今回は日程が近いのと旅行日数が少ないのとで、ネットでリサーチすることと手続きとを私に託す形になった。

ちょうど伝言ゲームのように、母の兄や弟からの要望やコメントをその都度母経由で聞きながら作業したので、通常の家族旅行を計画するときより大変だったのだが、やっとすべてがまとまって予約完了、大体の準備が整った頃、政府が突如として「全国旅行支援」を発表した。

私たちの旅行日程はまさにその期間にかぶっていて、平日を選んだし旅行シーズンとしてはオフに当たるよね、だからそんなに混まないだろうねと思っていた状況は大きく変わった。どうやら旅行会社や宿泊先には予約が殺到しているらしい。

しかも、全国旅行支援の実施は各都道府県や事業者によって方針に違いがあるため、私たちは「すでに予約手続きを完了してしまった客」ということで対象外になる可能性があると知った。
もし適用されれば私たちのプランでは割引額や現地で使えるクーポンの額が大きく、特に今回は普段の家族メンバー内だけの話ではない。兄夫婦や弟の分も頼まれて全員分まとめて予約していた事情や責任感から母は、どうなるのだろう……と気をもんで旅行会社へ問い合わせると、「現場が混乱しており、決定次第対応を連絡します」という回答だった。
「きっと混乱が落ち着いたら適用されるよ。すでに予約した人を外すなんて、そんな不平等なことしないよ」と、おじたちも楽観的だった。

しかーし。
漏れたのである。私たちが選んだ旅行会社は、既存の予約客の全国旅行支援の適用は、あろうことか私たちがチェックアウトした後の日程からなら対象にすると発表したのだ。つまり対象外。

元々は、「いいプランを見つけたね! 楽しみだね」となっていた私たちの旅行計画は、これで一時トーンダウンした。
そんな風に思わなくてもいいのに、「既存(支払い済み)の予約客」という形で旅行会社の中でも比較的少数の除外グループとなったために、なんだか損したような不運なような空気が少し漂ってしまったのだ。

ま、それは気を取り直して。
今回意外にも苦労したのは、各々に必要なデータの共有・送付だった。
全員がスマホユーザーだったため、データで必要な情報を送れる! と私が思ったことは間違いだった。

スマホ操作については父は論外(使ったことない機能については丸投げ)、母はコミュニケーションツールは使えるがデータのやりとりはわからない、おじ夫婦はネットで買い物もしたことがない利用度(ほんと!?)ということで、私が「じゃ、旅行の日程表とか航空会社のeチケット控えはスマホで送付すればいいね」と思ったことは大いなる過ちだった。

ネット上の情報のダウンロードから始まり、各々の異なるメーカーのスマホで開ける形式で保存すること、データの送り方、開き方など。
その都度説明して理解してもらい、各自(少なくとも私が会えない人々には自分で)実行してもらう運びになったのである。
もちろんできる限り作業を簡潔にし、不安がある場合はプリントアウトしたものを郵送するなど、相応の対策は取ったのだが。

他県に住んでいる母の兄はともかく、今回の旅行で会いに行く遠方に住んでいる母の弟は年が一番若いので、「もしかしたら、デジタルに最も親しんでいるのでは?」と期待したが、ほんの一か月ほど前にスマホを持ったばかりだとわかり、その見当は外れた。といって実際の活用具合はわからないが、そもそも住んでいる場所に距離があるので母たちに何か手取り足取り教えるのは無理だ。

それができる私だって「スマホユーザー」としては年数が浅いが、私の場合はパソコンでネットに親しんで長い。基本の仕組みをわかっているのでデバイスを変えても応用がきくということだ。
この点で、両親の世代との根本的な違いを実感した。

デジタル目線での私の世代とは

私は、今の若い世代ほどの「デジタルネイティブ」とは言えない。
どんな世代かというと、十代の頃はまだネットの黎明期というか、アメリカに高校留学していた頃にEメールを使い始めていたが、まだ学校などの施設での使用が中心で、友達や家族への手紙は紙のエアメールを送っていた。
大学時代にはEメールを運んでくれる「ポストペット」など流行っていた。訪れた友達のポスペにおやつをあげたり、なでたり。知ってる?

そして二十代の頃は携帯電話(ガラケー)全盛期。
私はわりと早い時期から自分のウェブサイトを作って仕事を始め(大学中退している)、パソコンやネットを利用してきたので、ごくごく一般の水準に照らし合わせればこの分野への知識はある方に違いない。

こんな私が、両親がいい例だが「ネットやパソコン・スマホ等のデバイスへの知識と経験が浅い」人たちに、どのように使い方を説明しているか。

用語は外来語が多い! 当然わかる前提で押し付ける代わりにできること

まずはっきり認識する必要があるのは、ネットやデバイスの使用に付随する「概念」から理解してもらう必要があるということだ。
あまりに細かい仕組みは説明しなくていいとしても、使用に伴う構造の理解はあった方がいい。
「ここをタップして、こうすると、こうなるんですよ」
という操作の説明だけしても、なぜそうしているかがわからないとその人の中に骨組みになる理解がないため、頭に入らず忘れてしまうからだ。

あなたも想像してほしい。なぜそうするかの意味はわからないけど、作業と手順だけを次々と覚えさせられることを。
丸暗記のように根性で覚えることはできるかもしれないが、よっぽどのやる気や目的があるときのみだろう。面白くもなく面倒でもあれば、いっそ放棄したくなるのではなかろうか。

しかも、デジタルネイティブの世代は想像しづらいかもしれないが、現代では訳すことすらなく当たり前に使われているデジタル用語になじみがない人もいる。
それでも英語に長けている人なら語から意味の想像がつくかもしれないが、そうでない人にとっては「デバイス」「アカウント」「パスワード」「ログイン・ログアウト」「タブ」「ブラウザ」「ダウンロード」「アプリ」「アップデート」等……なんのこっちゃになるのだ。

つくづく、これらが「日本語」で表現されていたらもう少し、日本の高齢者へのなじみやすさ、理解されやすさ、ユーザーフレンドリー度は上がったのにねぇ……と私は思う。
たとえそれが新語であっても母国語が英語の人たちは、語から自然に意味がわかる、少なくとも推測できるのだから。

といって、用語をただ日本語に訳しても仕組みまでは伝わらない。こうした諸々をふまえて私が説明したり教えたりする際に効果的だった方法は、

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