鳥のおと(音)、セミのおと(音)

なかなか外出できない人、家にはいるけどテレワーク中の人なども、野鳥やセミのたてる「音」にはきっと耳を澄ましやすいだろう。
そしてひとたび彼らの鳴き声に興味を持つと、彼らの生態ももっと知りたくなるに違いない。

今回は「音」に焦点をあてた記事なので「鳥のおと(音)、セミのおと(音)」というタイトルにしたのだが、なぜひらがな表記も入れたかというと、「鳥ノート、セミノート」にかけているという遊びだよ!
鳥やセミを私の目線で書き綴るよ、という意味と、noteという単語には音符や楽譜など「音」という意味もあるので、ちょうどいいなって。

私は相変わらず野鳥や虫に注目し、わくわくする日々を過ごしている。

特にセミに関しては、今年になってやっと「好きな虫だった」ということに気づいたので、これまで持たなかった「知りたい気持ち」が生まれていた。

☆セミについて、今年気づいた思いを綴った記事はこちら☆
「虫 led me to a new world. 自分のことをわかってなんかない。」

それで今月の半ば、◆「植物も好きだ(我が家の生物事情、気やエネルギーの話とともに)」という記事の中でふれた通り、セミについては張り切ってその頃にすでに下書きをしてあったんだけど、他のトピックを次々優先的に仕上げているうち、なんと8月もそろそろ終盤に入っていた。
「うわ、セミさんたちの鳴き声シーズンも終わりに近づいてしまう!」と、びっくりした次第だ。

そう、この暑い暑い夏も、もうすぐ終わるんだね。

そんな中、家の周辺では、まだ繁殖期の最中である様子のヒヨドリたちが、毎日にぎやかな声を聞かせてくれている。

「さえずり」がないと言われることもあるヒヨドリ。家の周辺のヒヨさんは……?

ヒヨドリの繁殖期は長く、9月頃までという情報を読んだことがあるのだが、それは本当だなと思う。
少なくとも、私の家の周辺のヒヨドリからはまだ繁殖期が続いている様子がうかがえる。
巣までは観察できていない私がそれをどのように識別しているかというと、鳴き方だ。

ご存知の人も多いと思うが、鳥の美しい鳴き方として知られているさえずりは、多くの場合、オスの鳴き方だ(メスがさえずる種も存在はする)。
「求愛」の声として認識している人もいるだろう。

求愛と言ってもパートナーのいないオスだとは限らなくて、すでにつがいになっているオスが伴侶のメスに呼びかける場合や、縄張り宣言と呼ばれる、家族を守る役割を持つ鳴き声もさえずりになっていることがある。

私の家の近くで鳴くヒヨドリのお父さんの例を、◆「万年テレパシー状態に移行する【異種間コミュニケーションと全一性】」ではお話しした。

地鳴きやその他の鳴き方と区別される「さえずり」だが、ヒヨドリに関して言えば、そのようにはっきり分けられる鳴き方はないとされることがある。

ただ、私が周辺のヒヨドリを見ている限り、やはりさえずりに相当する鳴き方はあって、繁殖期であるこのシーズンには(普段、人間からはやかましいと捉えられることもある鳴き声と違って)、とても美しい鳴き声をよく耳にする。

そうしたヒヨドリの鳴き方は擬音化するのが難しいのだが、ここではあえて言葉にして表現してみると、
ひとつは、「ヒーヒョロロロ……」というのに近い鳴き方。
ふたつめは、先述の、朝と夕方に必ず繰り返す(それ以外の時間にも用いることはある)、縄張り宣言の役割も果たしている鳴き方で、
「……ポッ、……ポッパッ。ポッパッ、ヒヨヒヨヒヨ! ポッパッ、ヒヨヒヨヒヨ!」という繰り返しの歌である。
こちらは、「ヒヨヒヨヒヨ!」の部分を誇り高く、力強く歌うのがポイントだ。それによって元気さ、頼もしさを周囲に伝える。

私はかろうじてふたつめの鳴き声の物真似ができるが、あなたがヒヨドリの真似をするとき、音程だけでなくこういった情緒もこめることができれば、きっとヒヨドリからも少しは「おっ」と思ってもらえるはずだ!

余談だが、擬音化というより楽譜化しやすい鳥の鳴き声もあって、キジバトのさえずりがそれに該当する。
キジバト - Wikipedia

上記リンク先にあるキジバトのさえずりの楽譜! これは、絶対音感がある人(あるいは外部の音を音符として捉える癖のある人)ならばきっと「そうそう!」と同意することだろう。
私と妹もその例にもれず、子どもの頃、「ソーファ(♯)シー、シッシー」という音階としてキジバトの鳴き声を受け取っていて、ピアノや歌で再現して「ハトってこういう風に鳴くよね」と言い合っていた。このウィキを見て、他の人も同じだったか……と、笑ってしまった。

ただし、鳥の鳴き声は、同種であっても地域差があるようだ。
私はこの記事を書くにあたり、ヒヨドリの鳴き方をずいぶんネットで探して聞いてみた。
ネットはとても便利で、動画や鳴き声の音声データなどたくさんの公開された情報を確認することができるが、ヒヨドリの鳴き声には地域差があった。

私の近所のヒヨドリから毎日毎日聞こえてくる繁殖期の鳴き方も、まったく同じものはネット上に見つけられなかったのだ。
だから、「え、ヒヨドリってそんな風に鳴く!?」と戸惑う方がいたとしても不思議はない。

私は今の住まいとは異なる場所、東京都内の複数の場所で暮らしていた頃にもヒヨドリの同じ鳴き声を耳にしたことがあり、「ふーん、これがヒヨドリのさえずりなんだろうな、ずいぶんきれいなものだなぁ」と以前から印象に残っていたので、東京近郊ならば同じ鳴き声が確かめられるかもしれない。

ところで先日、私の見ていた電線でさえずり(例に挙げたひとつめの方)をしていたオスのヒヨドリは、何度も何度もその歌を繰り返していたのだが、つがいであると思われるメスがそばに飛んできたら即、その歌をやめて後を追い、一緒に飛び去って行った。
そうか、さえずりはすでにパートナーになっているメスと、コミュニケーションする(位置確認する)ためにも使うのか、と私は思ったのだ。

ヒヨドリのように、人間の目からはオスとメスの外見の区別がつきづらい鳥でも、鳴き声をよく知ることができれば確実に区別ができるのだろう。
私はヒヨドリをそこまで深くリサーチできていないけれども、今のところ、あの鳴き方をするのはオスだと認識している。

ちなみに、ヒヨドリ同士の目を通すと、オスとメスの頭の色は明確に違って見えるそうだ。それは、人間には見えていない周波数で捉えられる色彩なのだという。
こうした生物間の「知覚の違い」については、この記事の最後の方で再び、お話しする。

鳥への思いと、生物を家族として迎え入れることへの思い

私は鳥のことを知れば知るほど、もっと知りたくなる。いつか鳥と暮らしてみたいという気持ちがだんだん芽生えてきてしまった。
鳥は、私の人生史の中では、他の生物に比べるとだいぶ遅れてここまで好きになったので、なおさらそう思うのだ。

けれども私が鳥だったら、広々とした空を自由に飛び回りたいと思うので、鳥を飼うことは他の生物以上に抵抗があった。
その一方で、もし私が「鳥」という種と一緒に暮らしたことがあれば、野鳥の意思表示の仕方や気持ちも、もっとよくわかるだろうと思う。
自分が共に暮らした経験のある動物については、同じ種の野生動物を見てもあれは警戒しているときの仕草だなとか、色々な習性への理解の基礎が身についていて、手に取るようにわかるからだ。

私は最近、私個人の現在の傾向として、動物を家で飼う可能性からは距離を置いているので、「人間による生物の飼育をこころよく思っていない人!?」と記事から感じる人もいるかもしれないが、そんなことはない。
ちょうど前回◆「地球世界への違和感の根本解決」で、私たち人間の観点が狭まっている状態のたとえに「ペット」という表現を用いたりもしたので、より一層「家で生物と暮らすこと」に否定的に見えるかもしれないが、そういうわけではないことをここでお伝えしておく。

私はこれまで一緒に暮らした生物たちから学んだことが多くあって、彼ら皆にとてもとても感謝しているし、今後も私の心が向いたときにそういう機会をまた作ることができるのだろうと思っている。

セミの鳴き声の癒し、その音の神秘

ここからは、セミの鳴き声に包まれるこのシーズン、常に癒されっぱなしといっても過言ではない「その稀有な音」についてお話しする。

私は今まで、セミの種類について大雑把な印象しか持っていなかったので、まずは各々の鳴き声の違いを理解し、周囲のセミの鳴き声の「聞き分け」をできるようになろうと思った。
これはちょうど、近隣の野鳥の声をまず聞き分けることにしたのと同様だ。
(関連記事◆「大自然が先生」

「虫 led me……」の記事で書いたように、私はずっとセミの鳴き声に感銘を受けていて、音楽が好きな者としては尊敬もしていた。
色々なセミの鳴き声を聞き比べしてみても、改めて「倍音成分、すごいなー」と驚き、「多重な響き」を含むその深い音に感動してしまうのだった。
(倍音は、私たちの声にも含まれている。わかりやすくそれを表現しているのはホーミーなどの歌唱法だ。)

私は音を、聴覚だけでなく視覚や体感としても受け取る。
セミの鳴き声は、エネルギーを洗われている感触があって気持ちがよい。

鳴き声を把握するために、セミを種別に検索して探していたのだが、以下のページ内には複数の種類のセミの鳴き声の音声ファイルが載っていることに気づいた。「分類」の項目内に鳴き声のコーナーがある。↓
セミ - Wikipedia

同ページ内の「生活史」の項目、クマゼミの羽化の動画もおすすめ。美しいね! 

この音声の中には、私が全く聞いたことのないセミの鳴き声もあって、たとえば宮城県で録音された「コエゾゼミ」。
コエゾゼミの鳴き声(上記Wikipediaサイト内、左の三角ボタンで再生)

この音、ほとんど天然の口琴だよね……。
私は口琴や、演奏者自身に心地よく倍音が響く民族楽器などを演奏したことがあって、演奏していると意識状態が変わるという経験をしている。
セミの出す音は、まさにそれと同じなのだ。

コエゾゼミの他にも、地域によってはありきたりなのに私個人は聞いたことのないセミの鳴き声もあった。
西日本に多く生息している、クマゼミだ。

これまで私が住んだことのある地域(東京都内とその近郊)には、クマゼミがいなかった。西日本では逆にクマゼミが多くいて、私には身近なミンミンゼミがいない地域があるそうだ。
ただ、先日家族が見ていたテレビのニュースの、神奈川県の取材の背景で、クマゼミが鳴いていたのを確認したので、西日本でなくともクマゼミが多く生息している地域もあるのだろう。

私が現在住んでいるところでは、昨年の記憶を加味しても、ニイニイゼミ、アブラゼミ、ミンミンゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシが鳴いている。
ツクツクボウシとヒグラシは少ないかもしれない。

クマゼミは私にとって初めて聞く鳴き声だったので新鮮で、それをきっかけにクマゼミのことを調べていたら、面白いことがわかった。

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