〝柊さん いろいろ考えた末に今こうして便箋に向かっています。ですが、どう書き出せばいい…
しめやかに告別式が執り行われる中、柊は考えていた。 結局、自分は椰哉子から繋がりを断…
5 数日後、柊は品川に向かう山手線の中で中吊り広告を見て衝撃を受けた。 〝堀川文学賞作家…
4 そして迎えた堀川文学賞授賞式の朝。 「よし、減量成功!」 体重計に乗るとぴったり五…
麻布十番のバーを出た柊は七月の夜の匂いを吸い込みながら、暗闇坂から狐坂とゆっくり歩いて…
※ ※ ※ 村上と別れた柊は赤レンガ通りでタクシーを拾って、麻布十番で降りた。 酒を…
3 「それじゃあ、敷島椰哉子先生の堀川文学賞受賞に乾杯!!」 「お、乾杯!」 混雑する店…
※ ※ ※ タクシーを降りて南麻布のマンションに帰った柊は、集合ポストを確認してからエ…
二宮駅から上野東京ライン上りの最終電車に乗った。 これは悪夢ではないのかと自分に問い…
2 午前一時前。二橋の交差点から仙台坂に入ったタクシーの中で、柊はスマートフォンに残る…
高層ビルが日比谷通りに長い影を落とす午後六時半過ぎ、柊は港区三田の日本黎明出版社に戻っ…
JR熱海駅に降り立つとすっかり雲が消え、夏空が広がっていた。 柊は駅前広場の日常的な…
1 となりの有栖川宮記念公園の森から不如帰の啼く声が聞こえるのは決まって午前三時過ぎの…