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炎上不可避?繰り返すSNSへの内部告発、その影響力とは

こんにちは!デジタル・クライシス総合研究所です。

スマートフォンなどのモバイル端末が幅広い世代に普及したこともあり、誰でも、いつでも、どこからでも、一瞬にして全世界に情報を発信できてしまう現代。

近年、新たなデジタル・クライシスとして、企業が対策すべき問題の1つが「ネットやSNSへの内部告発」です。

従業員が個人のTwitterやInstagramなどのSNSで企業の不正や内情を投稿し、拡散。炎上するケースがとても増えています。

今回はSNSへの内部告発事例とその影響力、企業がすべき対策方法について紹介してまいります!

企業のリスク管理担当者、団体や部署の責任者の方のご参考になれば幸いです。

内部告発による過去の炎上事案

まずは、炎上事案の例を見てみましょう。

■事例1
「社長からコロナワクチン接種を禁止された」とツイート。週刊誌へのリークも

有名ハウスメーカーの社長が従業員に対し、「新型コロナワクチンを接種した場合、自宅待機。自宅待機中は無給」という社内資料を配布。
この通達に不安や憤りを感じたであろう社員や社員の友人と名乗るアカウントが「ワクチン接種を禁止された」とツイートし、多く拡散されました。さらに、週刊文春にも複数の社員からリークがあり、ネット記事も公開。大きな話題となりました。

■事例2
「妊娠報告をしたら、減給を提案された」と社長のマタハラを告発

データコンサルティング事業などを手掛ける企業の女性社員がマタニティハラスメントをされたとツイートで告発。「妊娠したら減給を提案された」という内容のツイートが拡散され、企業に批判が集まりました。批判を受けた企業は、該当社員とのやりとりを明かし、事実無根である旨を公式サイトにアップ。これにより、告発ツイートをした社員は謝罪し、両者は和解しました。しかし、「従業員と意思疎通ができていない」「妊娠した社員の処遇について明確なルールが整っていない」という企業イメージがついてしまった可能性は否めません。

■事例3
企業の姿勢に呆れた社員が上層部の判断ミスを指摘

地震により、大規模停電が発生した地域の大手スーパーが電力会社に対し、食品廃棄の損害賠償請求を決定したという記事が新聞に掲載。地震は天災であり、電力会社に否はないと、スーパーに批判が殺到しました。炎上を受け、現役社員が食品廃棄は上層部の判断ミスが原因であることツイート。この内部告発に対して、スーパー側は釈明しなかったこともあり、批判は収まりませんでした。

そもそも内部告発(リーク)とは?一体何?

「内部告発」「リークする」など、これだけ聞くとどこか仰々しいイメージや良くないようなイメージを持つ方も一定数いるかもしれませんが、
「内部告発」とは、従業員が企業の不正行為を知った場合に、その不正行為を是正するためや公益保護のために行う行為(通報)のことであり、企業活動や組織運営において非常に重要で必要なことなのです。

ではその内部告発でも、どのような種類や方法があるのか見ていきましょう。

1.企業内
従業員が自身の企業内で告発を行う方法。2020年6月に「公益通報者保護法」が改正され、従業員301人以上の企業や医療法人、学校法人、その他公益法人等に上司を通じた通常の報告ルートとは異なる報告ルートを設ける「内部通報制度」の整備を義務付けられています。

2.行政機関
従業員が行政機関に告発を行う方法。告発内容によってどこに告発するかは異なります。消費者庁では、通報を行う際に想定される行政機関の照会や通報に関する不適切な対応等に関する相談を受け付けており、電話による相談窓口を設置しています。

会社員であれば、社内に設けられた報告ルートや告発内容に関連する行政機関に知らせるのが通例です。不正行為を万が一発見した場合は、むしろ積極的に通報すべきとも言えるでしょう。

しかし、上記以外にも内部告発を可能とする場所があり、ここがこれからの時代においてリスク対策をすべき部分になります。

3.マスコミ・インターネット
新聞社や出版社に情報提供したり、SNSに不正行為の事実を記載したりする方法。週刊誌の情報提供フォームには「動画」「写真」「音声」などのファイルを添付することもでき、スマホから簡単に送信することが可能です。

今はスマホ1つ、SNSなどから簡単に社外への情報発信ができてしまう時代。匿名性の高さもあってか、SNSなどのネット投稿による内部リークが今後スタンダードとなる可能性は否定できない状況なのです。

SNSでの内部告発は何故起きる?炎上した場合の影響力とは

リーク・内部告発をする方の心理として、大半は正義感の強い方が多いものの、SNSや掲示板サイトなどは、匿名性が高く「身バレ」の可能性が低いため、軽い気持ちで投稿するユーザーも一定数いると考えられます。
また、ごく一部には「バズりたい」などの承認欲求を満たしたい人もいるのではないでしょうか。

SNSやメディアへ内部告発され、炎上した企業への影響は甚大です。
社員へのコロナワクチン接種禁止を通達し、炎上したハウスメーカーを例に上げると、株価が3,070円から2,756円に下落(2021年7月26日時点)。時価総額119.8億円の暴落となりました。また、ワクチンとは関係のない別の問題も社員からリークされ、炎上を繰り返しています。

一度、SNSやメディアへのリークによって炎上し、大きな話題となることで世間や社員の目は厳しくなります。さらに粗を探され、炎上を繰り返すという事態が起こる可能性は否定できないのです。

炎上によるサービス利用への影響は約半数以上

当研究所では47都道府県の10代~60代の男女計5,104人を対象に「炎上事案の特性に関する調査」というアンケートを実施しました。

そこで、企業にとって死活問題となりうる商品やサービスへの影響度合いについて調査したところ、以下のような結果となりました。

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「購入や利用に影響はなかったし、優先順位も下がらなかった」と回答した方は47.5%。ここだけに焦点を当てれば「半数以上は影響がなく、案外問題ないのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、詳細に中身を見ていくと、残りの半数以上52.5%(5,104人中2,678人)の方は「購入や利用を再検討・停止、もしくは知人に炎上の事実を共有した」とネガティブな回答をしているのです。
この結果は、企業や店舗の担当の方からすれば、見過ごせない数値であるのは明白です。

企業がすべきSNSやメディアへの内部告発の防止・対策のポイント

企業に甚大な影響を及ぼす可能性のある「炎上」の原因となるSNSやメディアへの内部告発。これらを防止する方法として、以下が挙げられます。

従業員への真摯な姿勢

誠実な会社経営はもちろんのこと、常日頃から従業員への丁寧な説明・教育が重要です。
企業がこの姿勢を欠いてしまうと、従業員からの信頼度が下がり、自社に相談窓口があってもそちらに相談せず、SNSやメディアへの内部告発の可能性や炎上リスクが高くなると考えられます。

企業としての体制や従業員との関係性を今一度見直し、真摯な対応を心がけ信頼の構築に努めましょう。

企業広報の強化

企業の取り組みや考え方などを積極的かつ正確に発信する必要があります。情報を発信する際は、誰がどのタイミングで内容確認を行うのかなど、チェック体制の構築も重要です。

また、社内情報と社外情報の内容を一致させることで、従業員の会社に対する不信感の払拭が可能となります。

可能な限り、従業員やその家族にも不信感を与えないような広報活動や情報公開を行いましょう。

従業員のネットリテラシーの向上

定期的な研修でSNSの危険性やリスクをレクチャーし、従業員のネットリテラシーを向上させましょう。SNSの利用ルールを定め、違反した際はペナルティを課すなどの雇用契約を締結することでさらなる抑止効果が期待できます。

例えば、弊社が提供しているeラーニングの「従業員向けSNS利用研修」では、従業員が起こしたさまざまな炎上事例とその悲惨な末路の事例を紹介し、理解を深めることでネットリテラシーの向上を図ることが可能です。

実際にSNSやメディアへの内部告発を行い、告発した従業員が逆に炎上してしまい批判が殺到したり、個人情報が晒される可能性があり、投稿する側も非常にリスクが高いというのが現状です。
改めてそのリスクの高さを理解してもらい、万が一の場合でも正しい判断ができるような社員教育や研修の実施をおすすめしております。

WEBモニタリングで投稿を監視

Twitter、InstagramなどのSNSや動画サイトなど、あらゆるプラットフォームをモニタリングすることで、問題の早期発見が可能になります。

これはSNSやメディアへの社内リークに限らず、誹謗中傷やバイトテロなど、不適切投稿をいち早く察知し対処することで炎上を回避できたり、もし仮に炎上してしまった場合にも、迅速かつ適切な対応を行うことで問題の早期解決につなげることが可能なため、危機管理体制構築の一つとして実施をおすすめしております。

また、弊社ではSNSなどネット上のモニタリングだけでなく、炎上時のマニュアルの作成や世論調査・分析なども行っており、炎上対策のみならず、マーケティングとしてご利用いただくケースもございます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回はSNSやメディアへの内部告発のリスクや対策方法についてお話しました。
インターネット・SNSが身近な存在である今、リークの内容が真実ではなかったとしても、ネット上に情報が挙がってしまえば一瞬にして、全世界に発信されてしまいます。ネットが身近になっている今の時代だからこそ、企業では有事の際の対策や準備が重要になってくるのです。

前述のとおり、弊社では、炎上した際の対策マニュアルの作成や炎上の火種となる投稿を早急に発見するWEBモニタリングサービスの実施、eラーニングの従業員向けSNS利用研修の提供、今回記載はしておりませんでしたが、内定者や従業員のさまざまなリスクについて調査を行うWeb人物調査などのサービスも行っておりますので、ご興味がございましたらぜひお問い合わせいただけますと幸いです。

また、他にも弊研究所では企業の広報担当者などに向けて、最新の炎上傾向を調査・分析し、お知らせしています。
その時期やタイミングによって炎上の傾向が変わるため、月に1回炎上研究レポートの配信や、会員企業向けの炎上事例勉強会を行なっています。

その勉強会で得たケーススタディを自社のリスク対策に活かしていただくことで、より強固な危機管理体制の構築ができるかと思いますので、もしご興味をお持ちいただけましたら、HPのお問い合わせに記載されている電話番号、もしくはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。

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勉強会報告レポート:https://dcri-digitalcrisis.com/report/
※レポートの一部を無料公開しております。



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