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伝わったことが、伝えたこと

私たちが日々抱える悩みの内、おそらく常に上位に入るであろう「人間関係」。

生活する以上、必ず、誰かしらと関わりを持たなければ生きていくことができません。皆さんも一度は人間関係に悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。

人間関係の悩みは主に些細なコミュニケーションミス、ちょっとした認識のずれから始まることも多々ありますよね。

コミュニケーションはコラボレーション。
コミュニケーションのあり方一つで誰かとの繋がりに満たされ幸せ一杯な気持ちになることもあれば、逆も然りです。

ただ、コミュニケーションってとても繊細なものだと思います。相手が発した言葉をそのまま受け止めたら痛い目に合うこともありますよね?

昔、ドラマか曲の歌詞か忘れましたがこう言ってました。

「大嫌いだけど、大好き」

当時の僕からすれば「おいおいおい、冷静になれよ。どんだけ気持ちブレてんだよ。落ち着こうぜ」って感じです。

今思うと、自分の浅はかなコミュ力といったら・・・。

余談ですが、僕は中高男子校で大学から共学に変わったのですが、大学一年生の時、テンション上がり過ぎて一年間に3人にも告白、全員にフラれました。道理で・・・そ、そりゃ、そんなコミュ力ではモテませんわな。
(全身100%柄物で目がチカチカする私服着てたのもあるかも。)
心の底から大学三年時に妻に出会えて良かったと感謝。

話を戻すと、コミュニケーションは言葉のやり取りじゃなくて、感情のキャッチボールです。

「コミュ力の高い人」の定義は色々ありますが、一つだけご紹介するとすれば「言葉の裏にある感情の微妙なニュアンスまで読める人」。

本来、日本人は世界でも稀に見る程、コミュニケーション能力が高い民族だったと考えています。島国で価値観に大きな違いがなかったという前提はありますが、「阿吽の呼吸」や「空気を読む」そういった独特の文化が根付いていた私たち日本人は「相手を慮る」こととは何かをよく理解していたのだと思います。

そして、全てを口にせずとも、相手の立場になって気持ちを読み取り、発する言葉以上に相互理解が進む。ある意味で非常に高度で粋なコミュニケーションスタイルだったと言えます。例えば「含みを持たせる」という表現もよく考えると深みがありますよね。
(思い返せば大学時代フラれた時、「能登くんって3分話したらどんな人か100%わかるからつまんない」って全員に言われた記憶が・・・辛い)

「伝わったことが、伝えたこと」

コミュニケーションの要点はこれに尽きると思います。

昔の日本のように、発する言葉自体が少なくても相手との間に強固な信頼関係があったり、相手の感情を推し量るという価値観が浸透していれば極論、言葉を発せずとも伝えたいことが伝わります。
(チームスポーツをやったことがある人はイメージしやすいかも?)

コミュ力が高い人の定義は前述の通り「言葉の裏にある感情が読める人」でした。こういう人は「え、この前〇〇って言ったじゃん!やってること全然違うよ!」みたいなしょうもないコミュニケーションミスを起こしません。

なぜでしょうか。コミュ力に高い人に共通する要素を一部ご紹介します。

1
言葉の定義を必ず相手とすり合わせている

私たちは不思議なことに、言葉の定義が曖昧なまま、相手も同じイメージを持ってる前提で会話していることが多々あります。

例えば「どんな人がタイプ? あ〜面白い人なんだ! はは〜ん、なるほどね〜」なんて言いますけど、「いや、なるほどちゃいまっせ」とつっこまねばなりません。「面白い人」ってどんな人かってことですよね。

その他、仕事ができる人、優秀、リーダーシップ、イノベーション・・・職場で使われる言葉も曖昧さのオンパレードです。

自分が当たり前に使っている言葉ほど、日頃から意識して相手と同じイメージを共有できているか、定義に違いがないかをさりげなく確認したいものです。

2
言葉だけでなく表情や姿勢から伝わるメッセージを理解している

ノンバーバルコミュニケーションという言葉があるように、コミュニケーションは何も言葉だけの話ではありません。

メラビアンの法則をご存知でしょうか。相手に印象を与える要素のうち、視覚情報が55%を占めると言われます。

Googleの社員が、面接は最初の3分間の印象をそのまま辿るに過ぎないと言っていましたが、それくらい表情や姿勢、ジェスチャーが相手に与えるメッセージは大きいものです。

そこまで日頃から意識してコントロールできているでしょうか。

3
相手の知識量や価値観、心の状態を理解している

自分が伝えたいことをとりあえず言い切って相手の話は聞かない人っていますよね。これはコミュニケーションじゃありません、ただの暴投です。

相手にとって有意義な時間になるように、これまでの会話から相手の知識量や価値観、考え方の偏り等を推測しながら相手がイメージしやすい表現で物事を伝えられるかどうか。例え話が特に有効だったりします。

また、相手の心の状態で伝わるものも伝わらなかったり、表現を変えた方がいいこともありますよね。だからこそ、相手の表情や印象の変化から相手の気持ちや心の状態を理解しようという姿勢が大切なのだと思います。

4
相手にどう伝わっているかを必ず確認している

言いっ放しは「発信」であり、「会話」でも「対話」でもありません。

伝えるべきことを自分なりに伝えた結果、それがちゃんと相手に認識通り伝わっているかを確認します。

例えば自分が伝えた内容を相手の言葉で言い直してもらったり、さりげない会話の中での問いかけを通じて認識にギャップが生まれていないかを確認します。

5
自分の立場の影響力を理解している

これは特に重要で、例えば上司と部下という関係性であれば、上司は部下とのコミュニケーションの中で50%しか伝わってないと考えた方がいいと思います。

二人の信頼関係がどこまで構築できているかによりますが、一般的に部下は上司に嫌われたくない、使えないと思われたくない、賢いと思われたいなど、様々な感情を持ち合わせています。

よって上司と話す時に、フラットな気持ちで100%上司の発する言葉に集中できていない可能性があります。

だからこそ、伝えたことを復唱してもらって理解度を確認したり、どんな暗黙の了解や空気感が組織の中に形成されているかを常にチェックしておきたいものです。

これができないと「権力」だけで「権威」がない寂しい上司になってしまうかもしれません。恐ろしや・・・。

最後に

私たち誰もがこれまでの人生で周囲とコミュニケーションを取りながら生きてきました。

教育と少し似ていて、誰もが自然とやってきたことなので好き勝手言えるし、真正面からコミュニケーションのあり方を考えることは少ないと思います。我流でやり続けるみたいな。

ですが、職場でも家庭でも本当に大切にしたい人がいるならば、まずは自分が日頃意識せずにポロッと発している言葉や態度が相手をどんな気持ちにさせているのか、そんなことを考えてみてはいかがでしょうか。

たった一つの言葉が相手を救うこともあるし、逆に凶器になることもあります。最近も辛いニュースがありましたよね。

自分はそんなつもりなかったのに、ではなく、「伝わったことが、伝えたことなんだ」と一人でも多くの人が思うようになれば、この世界はもう少し平和になるのでは、なんて思ったりもします。




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