自然と建築を近づける
「建築をより自然のように」みたいな動きは、建築家の分野の中でずっとある動きの一つだと感じています(フランクライドライト然り)。
この動き、いったいどんな価値があるのか。確かに、自然のような、ある種原始的な雰囲気のある方が、暮らしていて快適かな、なんて思いますが実際のところどうなのでしょうか。
僕は建築分野に入ったきっかけの一つに、自分の生産性が場所によって変わるという意識がありました。集中できる環境とそうでない環境があり、その要素がなんなのか、ふんわりとはイメージできても、明確な条件はわかっていませんでした。
それがいったいなんなのかを確かめたい、学びたいという意志があったことを、最近ふと思い出しました。
建築的に高度なことをしなくても、例えば室内に観葉植物があるだけで生産性が変わるということは、どこかの大学の研究でも明らかになっています。室温は26℃程度、湿度は50%くらいが集中できるとか。他にも適度な有酸素運動を挟むことで知的生産性が向上するなんて話もあります。
そうしたものを中心にした建築家のデザインは、現代でもそれほどないように感じますが、そうしたものをデザインして、根拠に基づく快適な空間を作ることも、今後可能であり、必要ではないでしょうか?
例えば植物の事例に近いですが、あまり手入れされていない自然環境に日常的に触れられる人の方が、メンタルの安定性や幸福度が高いということも聞きます。
ならば、都会の街に森をつくってみてはどうだろうか?
あるいはもっと小さいスケールで、住宅の中に森を挟んで、暮らしの中で自然が当然の如くある空間を作ってみてはどうだろうか?
人工的に宝物の中に、いかに自然のように植物を配置するかは難しい問題で、植栽、という概念とどう折り合いをつけるか、などといった課題もありますが、学生の僕としては非常に興味のある内容です。
とまあ、そんなことを考えてみるわけです。デザイナーよりの建築家は、カッコいい形の建物を作る一方、その快適性はあまり考慮されていない、といった事態もこれまで何度もあったようです(その一方で、構造、形態的なアプローチで新たな建築の可能性を示しているので、めちゃくちゃ有意義なことに変わりはありませんが)。
イケてる場所、空間というだけでテンションは上がりますが、実際に自分のスペックも上がるような建築空間。そんなものを考えていきたいと思うわけです。
皆さんも部屋に植物を置かれる所から始めてみてはいかがでしょうか?自分の生活空間を自分で作り上げていく、あるいはそうした意識があるだけでも、生活は豊かになっていきます。
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