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芥川賞の発表でワクワクしたのは初めてかもしれない。

第164回芥川賞の発表があった。

宇佐見りん 「推し、燃ゆ」

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。
(河出書房新社HPより)

「かか」という作品で文藝賞を受賞した若い作家さん、ということで気になり、この2作目を購入して読んだ。

『推しが燃えた。ファンを殴ったらしい。』から始まる文章。

『推しは命にかかわるからね』
もう、その言葉がすべて。この主人公あかりにとっては。

作者21歳。大学生。
今、青春を送っている彼・彼女らの現代のリアルを描き切っていると思う。

私はそんな時をとうに過ぎてしまったけれど、身近にそんな年代の息子がいるので、タイトルと簡単なあらすじを見て、そんな点でも興味がわいたのかもしれない。

発売されて結構早い段階で読んだけれど、芥川賞候補が発表されて、あぁ、あの本が。凄いなぁ、確かになぁと納得し。
芥川賞の発表っていつだろうと、チェックし。

実際は、昨日ニュースを見ながら子供たちと会話していた時に
「あれ、この本って(芥川賞受賞ニュースを見て)お母さんが持ってた本じゃない?」と長男がテレビと本棚を指さし、受賞を知った。

あぁ、芥川賞、受賞したんだ。
私の中でテンションが上がった。

帰宅した夫も、ネットニュースをチェックしながら長男と同じことを言い、長男と同じ行動をする。

芥川賞ノミネート前にこの本を読んでいたということ、家族もこの本を私が読んでいた事を知っていて、受賞に反応したということ。

受賞作品は気になってこれまでにも色々読んできたけれど。
芥川賞の発表でワクワクしたのはこれが初めてかもしれない。

作家さんに対しても「推し」という言葉を当てはめていいとしたら、宇佐見りんさんは今、私の中で最も新しい「推し」だな。

第164回芥川賞受賞、おめでとうございます。
次回作も楽しみにしています。

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