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読書記録『異邦人(いりびと)』
作品との出会いは、お客様と他愛のない日常の話をしている時のこと…
👩(お客様)「最近ハマってるのが、WOWOWでやってる原田マハ原作の「異邦人(いりびと)」っていうドラマなのよ…京都と銀座の老舗画廊が舞台でね…」
そんなふうに知ったこの作品。
芸術小説を何作か出されているとは噂では聞いていて、興味があったものの何から読んでいいのか、手を出せないでいた「原田マハ」さん。
これはいいきっかけだ!読んでみよう!
早速、帰りに本屋に寄って文庫本を手に入れ読み始めたのでした。
読み始めて半分くらいのところで、自身の仕事の作品の勉強や原作の読み込みがあったので途中離れてしまってブランクを作ってしまったのですが、かなり時間をかけてやっと読了しました。
「本音と建前」
舞台となる京都というと、「本音と建前」という言葉がふっと目の前に出てきます。よそものは簡単に受け付けないイメージ。
京都に生活拠点を移そうと思っている、、なんてことを企んでいたり、既に移住していたりする友人や知り合いがいるのですが、
え?そんな簡単にできることなの?そんなふうに思ってしまうくらい、歴史の古い老舗の街は敷居が高いと決めつけてしまっているのですが、本当のところは全く知りません。。
それこそ、建前では「おいでやす」と優しく聞こえる言葉で歓迎してくれてると思いきや、本心で外の人にはなかなか心は開けませんよ。といった身構えというのか?壁というのか?
京都にはそういったものがあるように思っている、そんな空想を持っている私です。
いったい誰と誰が戦っているのか?…
物語は東日本大震災が起き、東京老舗画廊、老舗美術館の息子娘夫婦の身籠った嫁を東京の放射能から逃れて京都に一時避難するところから始まります。
その嫁は、どんどん京都にある芸術や京都の空気に魅了されていく中、東京に残った家族は日本に起こった災害による不況と戦っていたのでした。
京都の老舗画廊でも銀座の老舗画廊でも老舗ならではの古い習わしや決まり事、義理や人情、その人が持つそれぞれの才能、そして歴史…そのようなことに振り回されながらもそれぞれが一つ一つ物事をかき分けていく。
そのさきに幸せがあると信じて。
だが、そのさきに待っていたのは、もっともっと違う世界のような…
いったい誰が主人公だったのか…そして、京都の本音と建前に惑わされていくような裏と表の静かな戦いのように感じました…
正直、物語が何に向かってるのか途中わからなくなるくらい伏線が多く、最後の最後で急にいく先の道が明確にしっかりとしたラインに謎解きされて、最初に思い描いていた理想を大いにひっくり返されました。
でも私はこの結末は長い目で見てみんなが幸せになれたと思っています。
舞台となる京都という背景。
祇園祭りや宵山、山鉾巡行、五山送り火、葵祭…
知らなかった行事が年中行われている。
その上、観光客目線ではなく地元に住む人々の目線。
当たり前な行事である前提の規模の大きさと優雅さ。
まさに魅惑の街であり気安く入り込めないとつくづく感じ、何につけても品の良さに魅了される場所だと代々受け継がれる奥深さを知りました。
きっと簡単には語れない…これにつきます。
街が丸々一つの本家のような…だからこそ「お家のことは軽々しく外へはお話できまへん」といったところでしょうか。そんな空気がそこらじゅうに散りばめられている作品でした。
なのに菜穂だけはどんどん馴染んでいってしまうんですよね。
その謎や魅惑さも面白かったです😆とても面白い物語でした。
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