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2019年9月の記事一覧

日常生活にある「情報の非対称性」

日常生活にある「情報の非対称性」

支援においては、情報の非対称性を意識する必要があります。情報の非対称性とは、サービスを提供する側とサービスを受ける側では知識や情報に差がある状態を指します。障害者差別解消法が施行されたり、情報アクセシビリティが重要視される今、正しい情報をわかりやすく伝えるということは大切な支援の一つです。

福祉サービスにおいて情報の非対称性が問題視されるようになったのは、福祉サービスが措置から契約に変わった頃か

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面接に必要なスキル/相手の関心に関心を持つ

面接に必要なスキル/相手の関心に関心を持つ

利用者との面接は大きく分けて2つのタイプがあります。一つは利用者から申し出があった場合です。もう一つは支援者が必要な情報を得るために設定する面接です。このふたつを混同すると複雑なことになります。

私は、自分の研究をの一環として、利用者にインタビュをしました。そのとき、このふたつを区別しなかったために失敗をしてしまいました。1時間半、話をしたのに、聞きたいことをほとんど聞けませんでした。私は利用者

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Adler Festo 講演より/ネガティブ情報と自己覚知

Adler Festo 講演より/ネガティブ情報と自己覚知

09月21日、早稲田大学で開催された「第5回アドラーフェスト」にて行われた向後先生の講演「“態度”をアドラー心理学から捉えてみた」をふりかえり、実際の支援場面と結びつけて考えます。

社会福祉を学ぶ学科に社会福祉援助技術論というのがあります。そのテキストに、援助者は自己覚知が必要であると書かれています。援助者は利用者のあるがままを受け止めることが求められます。そのため、援助者は自己覚知により自分の

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Adler Festo 講演より/態度について考える

Adler Festo 講演より/態度について考える

09月21日、早稲田大学で開催された「第5回アドラーフェスト」にて行われた向後先生の講演をふりかえり、実際の支援場面と結びつけて考えます。

今回の講演のタイトルは「“態度”をアドラー心理学から捉えてみた」でした。講演では態度技能の定義について説明があったのち、態度のメカニズムについてお話がありました。態度のメカニズムは、外界で起きた事象を感覚として内界(自分の内)に取り込む際、まず自分の信念に基

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「ちょっかいをだす」という言葉でくくる危うさ

「ちょっかいをだす」という言葉でくくる危うさ

私は、障がいのある人への福祉サービスを提供する事業所を経営しています。福祉サービスを提供する事業所は、事業所を利用する方へ個別支援をおこなうために様々な記録をつけます。その記録を読んでいて気になった言葉があります。「ちょっかいを出す」と言う言葉です。

記録に「AさんがBさんにちょっかいを出し…」とありました。さらに、「ちょっかい」という言葉は、いろいろな人の記録に出てきます。また、その記録を書い

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「○○さん」と呼ぶ

「○○さん」と呼ぶ

私は、自分の子どもの名前を呼ぶときに「○○さん」と呼びます。たとえば、子どもの名前が「髙橋花子」であれば、「花子さん、ご飯だよー」という具合です。最初のころは子どもたちもくすぐったい、と笑っていました。

きっかけは、職場でのやりとりです。障害福祉サービスにおいては、利用者のことを「○○さん」と呼びましょうと指導されています。以前は、○○ちゃんや、あだ名、よびすてというのがたくさんありました。

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Adler Festo 準備中/結果ではなく過程に注目

Adler Festo 準備中/結果ではなく過程に注目

今週末、09月21日(土)に第5回アドラーフェストが開催されます。それに向けてポスター発表の準備をしています。口頭発表より、聞いてくださる人たちとの距離が近いので、より具体的な事例を使って発表をする予定です。

今日は、発表に使う事例を整理していました。グループホーム入居者と良好な関係を作ることについての事例です。

利用者の一人に体重が100kgを超える人がいます。相談支援の担当者が健康管理をす

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無理やり謝らされる弊害

無理やり謝らされる弊害

利用者の中には、「○○さん、ちょっと…」と言っただけで「ごめんなさい」と謝る人がいます。また「ごめんなさい」と言ったあとすぐにしてはいけない同じことを繰り返してしまう人もいます。

「ごめんなさい」と言うセリフだけが独立しています。

アドラー心理学を基本とする子育てにおける親の育成プログラム、パセージのテキストにはこう書かれています。
「迷惑をかけた人がおればあやまるように提案してみるのもいいで

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就職面接のドタキャンはやめよう

就職面接のドタキャンはやめよう

09月12日、13日の2日間、戸塚駅前、区役所のあるビルの3階で、第11回福祉のしごとフェアが開催されています。主催は戸塚区社会福祉協議会(社協)です。私も私の法人も社協には大変お世話になっています。また、地域福祉の発展を願う気持ちは一緒です。そこで毎回、お手伝いをさせていただいています。

福祉業界は慢性的に人材不足です。それは障害分野だけでなく、保育、高齢どこも同じです。高齢者施設においては、

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誰の支援を受けたいか、誰の支援は受けたくないか

誰の支援を受けたいか、誰の支援は受けたくないか

事業所の活動で利用者と一緒に外出をするときは、支援者と利用者でペアを組みます。事業所によっては「担当」という言い方をします。ペアを組む目的は、外出先で利用者が安全に過ごせるように配慮することです。特に電車に乗るときは、確実に電車に乗った、電車から降りたという確認が必要になります。しかし、このペアの目的を理解できていない支援者は利用者の自由を奪ってしまいます。

利用者は、決められたペアとは関係なく

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台風被害から学ぶ

台風被害から学ぶ

台風15号は関東地方にたくさんの爪痕を残しました。他にも今年はたくさんの自然災害が発生し、まだまだ制限された生活をされている人たちがたくさんいて、心が痛みます。

今回の台風でもたくさんの反省がありました。日ごろ、防災訓練を実施しながら活かされていないことが幾つかありました。その点をまとめます。

1.大渋滞に対する対応 ①待ち合わせと連絡
今回は、主要高速道路が通行止めになり、国道や国道に出る道

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相手を思ったっふりだけの言葉に注意(自然災害の対応から)

相手を思ったっふりだけの言葉に注意(自然災害の対応から)

私たちの言葉は、相手のことを思って使っているつもりが、実は、相手のことを思ったふりだけという場合があります。

大きな台風などで翌日の天候が心配されると、利用者本人から「明日どうしたら良い?」という問い合わせがあります。事業所には行きたいけれど天気が心配だとか、乗り物が動かなかったらどうしよう、危なくないかなぁ、など不安がいっぱいで、自分で決めることが苦手な人たちからの問い合わせです。

以前は、

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監査準備、真っ最中

監査準備、真っ最中

監査準備に追われています。9日(月)に今年度、一回目の監査があります。

今年は、9月、10月、11月と、3ヶ月連続で所轄庁の監査です。私の法人は法人運営の他に4種類の事業を行っているため、その管轄ごとに監査があります。それが続いてしまいました。

私も若い頃は、監査があるとムキになって行政官とやりあっていました。あの頃は自分の主張をとおすために必死でした。でも、最近はおとなしくなりました。結局は

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旅行は社会性を身につける大事な機会

旅行は社会性を身につける大事な機会

日中活動の事業所では、旅行に向けての話し合いが始まりました。10人ぐらいのグループで旅行を企画します。私が現場にいた頃は、伊勢志摩や大阪USJに行ったこともあります。旅行は楽しいことがいっぱいあります。またさらに、利用者との旅行は、支援者にとって社会性を学ぶ絶好の機会にもなります。

駅の改札で集合するときにどこに集まったら良いか、周囲をよく見て、さらに利用者の状態に合わせて集合しなければいけませ

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