見出し画像

Ep.4 Madrid #1

到着

カラッと乾いた茶色いと淡い緑の大地。レンガと石造りの家が並ぶ住宅地の上を飛行機は飛んでゆく。
イスタンブールから約4時間。スペインのバラハス空港に着陸した。

高度は下がっていくが気持ちは高まるばかり

到着ゲートを出ると彼女のミライが待っていてくれた。待ってる間に空港のレストランでトルティージャ(スペインオムレツ)を食べたが美味しくなかったらしい。本場に美味しくないスペインオムレツがあるのか。
タクシーを使ってマドリードの中心まで向かう。空港とマドリード市街地は全てのタクシーで定額30ユーロで移動できる。タクシーはぐんぐんスピードを上げてハイウェイを駆け抜けていった。僕は運転する予定があったので左ハンドル、右側通行の景色に慣れようと必死に窓の外を眺めていた。

市街地へ

宿はAirbnb。オーナーとのやり取りは全部ミライがスペイン語で行う。スペイン語を話す彼女は日本語を話す時と全然違う。僕も英語を話すときは日本語を話すときは違う人間になってしまう。もっと社交的というかEasygoingな人間になってる気がする。長い歴史の中で紡がれてきた言葉だからこそ、お国柄というモノが出るのだろうか。
荷物を置いて街に繰り出そうと外に出るともうずいぶん暗くなっていた。スペインに来て1番に驚いたのは路駐の多さだ。自動車学校で習った役に立たない縦列駐車のテクニックをここで活かせることができるのだろうか。

どこの裏通りも全て車で埋まっている
さぁ夜のマドリードへ
案内人は現地に詳しいこの方

いざ市街地へ!と言っても特に見たいものは無く、完全にミライに案内は任せていた。とりあえず実家の最寄り駅であるPríncipe Pío に向かう。Pio王子といういかにもヨーロッパ感のある駅名だ。彼女は小さい頃はPio(ピオ)という音からひよこの王子様だと思っていたらしい。

地下鉄や地方を結ぶ長距離列車もこの駅から利用できる
列車内ではマスクの着用要請がまだ出ている
古い駅舎を改装してかつてはプラットフォームだった部分は
様々なお店が並んでいる

なにもかもが新鮮だった。古い建物をリユースしているのは日本では中々見られないので駅構内を歩いているだけでなんだか創作意欲が湧き出てくる。日本にももっと建物をリユースする文化が根付いてほしいと思う。

駅を出てとあるお目当てのものを食べに再び歩き出す。

日本でも魚の生け簀がディスプレイしてあるように
マドリードでは生ハムがディスプレイしてある
もちろん購入可能

Churros con Chocolate

大学生の頃は第2言語としてスペイン語の授業を僕は取っていた。講師の先生が年季の入ったVHSのスペイン語学習教材を使って講義を行っていたが、いつも登場人物の男がカフェでChurros con chocolateを注文していた。未だにネットの海を探してもタイトルすら見つからないこのビデオの中で、男が美味しそうに食べるChurros con chocolate。スペインに行ったときは絶対に食べようと思っていた。そして最初に口にするのはそれにすると心に決めていた。
Chocolateria Valor。ミライが連れて行ってくれたお店。マドリードでは有名なチュロス店が2店あり、その内の1つだ。
彼女のサポートを受けながらカタコトのスペイン語で注文。舞い上がってしまい、初チュロスというのにcon Nata(クリーム付き)を注文してしまった。普通は一番ベーシックな何もトッピング無しを注文するところだ。

手前がChocolate con Nata
奥にあるのが本場のチュロス。
日本のように砂糖をまぶすのは邪道である。

チュロスは油で揚げているにも関わらず非常にライトで、胃もたれの心配はあんまりなさそう。使っている油が日本で流通しているものと違うのだろうか。中はもっちりずっしりという感じではなく程よく空洞があることも関係してそうだ。
チョコレートの方は日本で販売されているようなサラサラとした感じのチョコレートではなく、ネットリして粉っぽさが少し残る感じ。舌でしっかりと粘度を感じられる食感で味もしっかり濃い。単体では飲めたものではないが、ライトなチュロスをディップすることで完璧なバランスを生み出している。

スペイン時間

チュロスを食べ満足したところでミライの友達とご飯することに。時間はもう22時。スペイン人はこの時間に夕食を食べるのが当たり前だ。従って街中で観光客を見つけるのはとても簡単だ。19時や20時にレストランでディナーをしているのは観光客しかいないからだ!

友達のベアとルシアとマルコスと合流する。ベアはミライの美大時代の親友。ルシアは幼馴染でマルコスはルシアのボーイフレンドだ。ベアとルシア、マルコスは初対面で、僕もほぼ彼らとはほぼ初対面なので気まずくならないか不安だったが全く問題なかった。お互いのことをたくさん語り、楽しい時間を過ごした。

Croquetas。日本で言うところのクリームコロッケ。
中にはベシャメルソースと生ハムもしくは他の具材が入っている。
Alcachofas。アーティチョーク。
初めての食べたがパルミットのような味わい。好み。
Chipirones fritos。
日本にはゲソの唐揚げがあるが少し違う味わい。

マドリッドではほとんどの飲食店で水が無料。ピレネー山脈からの地下水を汲み上げており、これが非常に美味しい。バゲットも基本は無料でバゲットと共に食事をするのがスペインっ子というわけだ。バゲットは日本で売ってるものとは比べ物にならないぐらい固い。焼いたものを結構長時間放置しているから固くなると思うのだが、日本のように湿度が高くないためカビが生える心配はなく、そのため固いバゲットが生まれるのだろう。

時間はあっという間に過ぎる。羽田空港からイスタンブール。そしてマドリッドに至るわけだがずっと興奮しっぱなしだった。2年間パンデミックで止められていた外界からのインプットが解除された今、本当に自分の脳が追いついていないのがよく分かる。

残り9日。それでは。

広場ではボランティアで
巨大な望遠鏡を使って木星を観測させてくれる人もいた


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?