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ポールスミスが似合わない

ポールスミスが似合わない。

自分ではそう思っている。

自己評価が低いがゆえに、ハイブランドの物を身につけることに気が引ける。


友達に連れられて、初めてポールスミスの店舗に入った。

何だかシンプルでイカすような、かと思えばテレビ放送がバグった時のような虹色の模様があしらわれた商品がズラリと並ぶ。


レジにいた店員のお兄さんはチェックのセットアップの下にハイネックのニットを着ている。イケイケだ。COWCOWだ。


革の財布が目に入る。余計な装飾がなくシンプルで洗礼されたデザインが好きなので、めちゃくちゃ魅力的だ。

しかし貧乏性の僕である。こんな高いものを買わなくてもAmazonで売っているような無印で安い大量生産っぽい革の財布でもいいんじゃないかと思ってしまう。


きっとそんなこと言っているからブランドにも嫌われるのだ。

試しに隣に並んでいた指輪をつけてみた。

びっくりするほど似合わない。

なんで?君、指輪だよね?指輪って似合わないっていう概念あるの?

何ならちょっと外しずらくて焦ってしまった。この指輪生きてやがる。


服も割とシンプルなデザインのものが多い。

かといってシンプル過ぎると何でもいいように思えてしまう。

結局その日は何も買わずに店を後にした。


帰り道での友達との会話。何だかイケイケで気が引けたという話をすると、毛嫌いしているだけで似合わないことはないと言ってくれる。

じゃあ僕がレジにいたお兄さんのようなセットアップきていたらどうか聞いてみた。


「それは顔が浮く」


顔が浮くって何???


服が似合う似合わないというのは、顔やスタイルもあるかもしれない。

だが結局左右するのは自分の意識なんじゃないかと思う。


「自分はこの服が好きなんだ!」とはっきり思うことができればきっと似合う。

どれだけ顔とスタイルが良くても自己肯定感が低いときっと似合わなくて、顔が浮いてしまうんだと思う。


いつかポールスミスが似合うような男になりたい。

COWCOWにはなりたくない。



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