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子どもの貧困を学習支援の面から考える(1)

子どもの貧困、今に始まった話ではなく、解決もされていない。そして教育との関係。最近、いろいろな形の学校が出てきているがやはり経済面が厳しと選択肢と少なくなり、親の学歴が子にも影響するという現状がある。

この問題に私たちはどう向き合っていくべきなのか。本や論文を参考にしながら考えていきたい。

前提条件1 子どもの貧困を多元的に捉えること

2016年4月公表のユニセフ・イノチェンティレポートカード13では、子どもの貧困状態を①所得②教育③健康④生活満足度の4領域で明らかにしている。

日本は所得格差教育格差で「平均的」な子どもから取り残されている子どもの「下半分の格差」が極めて深刻な状況にあると指摘されている。

多元的貧困:アダムソンは食事、栄養、スポーツ体験、読書、ゲームなどの文化体験のうち2つ以上が家計の所得の低さによって購入できない状況を、子どもの「剥奪」とした。

前提条件2 教育支援と同時並行での生活基盤保障

2014年、大綱が閣議決定されたが「教育支援が最も重視され、経済的支援は最後尾の位置づけ」という課題が指摘された。

現在は普遍制度となっている児童手当にすら、所得制限が導入される動きがある。大学等給付型奨学金の実現など、一部で現金給付は拡大されているものの、再分配の逆機能に直撃されている子どものいる貧困世帯の生活基盤が改善するまでの支援は実現しているとは言えない。

◎子どもの状況をどれだけ支援で改善しても、保護者の状況が改善されなければ支援の効果は続かず、ときには効果がゼロかマイナスに。
➡現金給付と現物給付の双方支援で親と子両方の課題にアプローチ。

一時的な支援はその場しのぎにはなるかもしれないが、それが課題解決にはつながらないということ。
雑草と同じで、根っこから解決しないとまた生えてくる。

学校外学習は有効か

①社会的モデルから示唆される、親の学歴と学習支援が子どもの学習習慣に影響を与える可能性について考慮した上でも、中学生の学校外学習時間に与える世帯収入の効果が残ること

②世帯収入の効果は、それが主に学習塾の利用に影響を与え始めていること

➡中学校の学校外学習時間の平等化については、経済的モデルに依拠した収入面での学校外学習支援が有効となる可能性

ただ以上のことをやっても、完全に埋められるわけではない。

〈1〉世帯収入を同時に考慮した際、親の学歴の効果が残ったため、社会的モデルの有効性が否定されたわけではない
〈2〉大都市では、学校外教育サービスの利用の媒介効果を考慮しても、世帯収入の学校外学習時間に対する効果は残された。

やはり、いくら制度を整えても、根本にある問題、行動や意識を改善しないといけないのかもしれない。


〈参考資料〉
『子どもの貧困対策と教育支援』(2017)末冨芳 明石書店
「低収入世帯の子どもの不利の緩和に学校外学習支援は有効か」
(2015) 卯月由佳 『社会政策7巻1号pp149-160』

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