走る外科医🏃‍♂️こみけん

消化器外科医。医学博士。ランナー。妻と息子が大好物。 Twitterアカウント→@ru…

走る外科医🏃‍♂️こみけん

消化器外科医。医学博士。ランナー。妻と息子が大好物。 Twitterアカウント→@running_surgeon レビューアカウント→@running_surg2

最近の記事

バズるということ

どうやらバズったようだ。 「バズる」という言葉の正確な定義はわからないが、これはバズったといって差し支えない状況だろう。 昨日のツイートに現時点でいいねが9.8万ついていて、2.4万リツイートされている。 私がチャンスに恵まれていないアーティストとかであればこれはとても喜ばしい状況なのかもしれない。 しかし、これまで比較的ひっそりとツイッター界に存在していた私が今感じているのはどちらかというと「恐怖」である。 これまではいいねやリツイートをされれば単純に嬉しかったし、コメ

    • 「トンデモ医療」を遠くに眺めて

      SNSを眺めているとどうしても目に入ってくる「トンデモ医療」と呼ばれる類の情報達。 そこでは毎日のように医療従事者を含めた大勢の人達が活発に議論を行なっている。 僕を含めた多くの医療従事者はエビデンスを重視するスタンスをとっているため、信憑性が低い情報を安易に肯定することは難しい。 もちろん現在行われている医療行為の全てにエビデンスがあるわけではなく、慣習的に行われていることもあり、今後変わっていくことも多いだろう。 また、ガイドラインなど比較的エビデンスに則った分野でさえ

      • 医者であることは自分への失望の連続である

        医者になってからというもの、心底自分に絶望している。 「人を助けたい」「人のためになりたい」そういったモチベーションを持ってこの仕事を選んだし、その思いは今でも変わらない。 しかし時折、このモチベーションの灯火が自分の中で消えかかる瞬間がある。 例えば、翌日も通常業務の当直の夜に起こされ続けた時、病院の救急当番で夜通し軽症患者の対応に追われた時、緊急手術が終わった瞬間に救急科から急患の相談があった時。 人を慈しむ心が霞む瞬間がある。 「こんな時間に起こしてまで報告するこ

        • 外科医は人気がない

          外科医のなり手がいないようだ。 外科系の学会でも外科医減少に伴って、働き方改革や女性外科医のキャリア形成などのテーマが取り上げられる機会が多くなってきている。 ローテートしてくる研修医に聞いても、確かに外科医志望はほぼ皆無だ。 どうやら外科医は人気がないらしい。 外科医減少の原因に関する考察は、これまで幾多の媒体でされてきていることであり、ここで論ずる気はないが、ただ若手医師に自分が魅力的に見えていないと思うと寂しい。 同時に恥ずかしくもあり、穴があったら駆け込みたい。

          緊急手術は辛いよ

          手術には大きく2種類ある。 予定手術と緊急手術だ。 予定手術とは、術前の検査を行い(外来または入院)、手術の日取りを前もって決めて臨む手術のことであり、外科医のメイン業務である。 一方、緊急手術とは予定外の手術を指す。 なぜ緊急手術が必要なのかというと、「待てない状態」があるからだ。 例えば消化管穿孔といった、胃や腸に穴が開いてしまった場合、腹膜炎という状態になってしまいすぐに手術を行わないと命に関わる。 そんな訳で緊急手術というものも我々外科医にとっての重要な業務の一つ

          文章を書くことをやめて、始める

          文章を書きたい欲は中学生から大学生にかけてがMAXだったように思う。 中学生の頃はクラスの端っこに勝手に自分用の文庫を作って、中二病の熱くて鬱陶しい文章を置いたりしていたし、高校生の頃は初めて買った自分用のパソコンで誰に見せるでもない文章を書き続けた。 大学生の頃はmixiが流行っていたため、日々の思いをそこの日記にぶちまけていた。 とにかくツッコミたいことや、わかって欲しい思いだらけであった。 文章を書くことに対して現在、かつての熱量があるかと言われると自信がない。 あの

          文章を書くことをやめて、始める

          英語との未練がましい関係とダサい僕

          約2年ぐらい前からオンライン英会話を続けている。 受験のための英語の勉強はあまり好きではなかったため、大学入学とともに英語学習はほぼしなくなった。 「ほぼ」しなくなったというのは、頭の中に漠然と「英語は大事だよな」という考えがあって、その後もたまに英単語帳を開いたり、英語学習系のYouTubeチャンネルを見たり、突然TOEICを受けたりと惰性で英語との付き合いを続けていた。 仕事でも英語は最低限必要ではあるが、日本で働いている僕にとっては論文を読んだり、書いたりする目的が

          英語との未練がましい関係とダサい僕

          走ることは気持ち良くない

          週に1、2回走ることを習慣にしている。 しかし大会に頻繁に出場し、目標のタイムを設定し日々練習しているような勤勉なランナーというわけではない。 走る距離は最近だと6キロ程度が多いが、走るペースはその日の体調によってまちまちだ。 長距離は昔から比較的得意だった。 練習すればするほど速くなっていくのが面白く、小学校のマラソン大会前には母に自転車で後ろからついてきてもらいながら田舎道を毎日走った。 走るのが習慣化したのは高校3年の部活を引退してからであり、体が鈍るのが嫌だったこ

          走ることは気持ち良くない

          育児について語るときに外科医の語ること

          「父親と一緒に遊んだ覚え全くないですね」 大学時代に聞いた外科医が父親だった後輩の言葉である。 僕は外科医になると決めた時、絶対に自分は外科医と父親を両立させようと思った。 二兎を追い、二兎を得てやると決意した。 正直我が家の子育てに関しては妻なくしては成り立たない。 食事の準備、習い事の送り迎えをはじめ平日の日中は全ての育児を妻に任せっきりであり、妻には感謝しかない。 そんな状態で僕が育児に関して語ることは恐れ多いが、子供や妻との時間の作り方という点において、外科に興味の

          育児について語るときに外科医の語ること

          匿名でツイッターをすること

          「走る外科医🏃‍♂️こみけん」これは僕の第二の名前だ。 本名ともあだ名とも全く関係ない僕自身が作り上げた名前。 もちろん僕が生活するリアルワールドでは誰一人僕が第二の名前を持っていることなど知らない。 僕はこの名前を使い、日々感じたり、思いついたことをツイッターで呟いたり、こうして文章を書いたりしている。 僕が第二の名前を使う理由は医者とユーモアやプライベートの相性があまり良くないと考えているからだ。 患者にとってシリアスな状況であることが多い医療現場で働く者のユーモアは容

          匿名でツイッターをすること

          蟹を飼うということ

          2020年夏、蟹を飼い始めた。 それは計画的なものではなく、突発的な始まりであった。 息子と磯遊びに行った時に、岩間に隠れていた蟹を見つけた。 「見つけた」瞬間に「捕まえてみたい」と思うのは必然であり、そのピュアな欲求に関しては大人も子供もない。 息子が飽きて他の魚を追っかけている間も、黙々と蟹と対峙する僕。 最終的に僕のしつこさに根負けした蟹を海水で満たした虫とり容器にいれて、息子に誇らしげに掲げた。 「捕まえた」瞬間に「飼ってみたい」と思うのは子供の必然であり、そのピュ