外科医は人気がない
外科医のなり手がいないようだ。
外科系の学会でも外科医減少に伴って、働き方改革や女性外科医のキャリア形成などのテーマが取り上げられる機会が多くなってきている。
ローテートしてくる研修医に聞いても、確かに外科医志望はほぼ皆無だ。
どうやら外科医は人気がないらしい。
外科医減少の原因に関する考察は、これまで幾多の媒体でされてきていることであり、ここで論ずる気はないが、ただ若手医師に自分が魅力的に見えていないと思うと寂しい。
同時に恥ずかしくもあり、穴があったら駆け込みたい。
しかし若い世代からダサいと思われているという羞恥心は別として、外科医の減少に関してそこまで悲観はしていない。
それは今後外科医の希少価値が上がってくると考えているからだ。
確かに予防医学、診断能の高い検査、各種治療法(化学療法、放射線療法、免疫治療、遺伝子治療)などの発達によって手術が必要な病態は減ってくる可能性はあるが、当面ゼロになることはない。
その中で外科医の絶対数が減れば、否が応でもその希少性は高まる。
現在は手術以外にも数多の業務に追われている外科医ではあるが、レアキャラとなることで待遇は上がり、より手術に専念できるよう環境も変化していくと考えられる。
つまりブルーオーシャンとなりつつある今、外科を選択することの価値は上がっているのだ。
新世代に見向きもされない切なさと悔しさから、何の根拠もない楽観的展望を語らせてもらったが、この持論に嘘はない。
ただそれは「自分が外科医として働く側」の立場から考えた場合だ。
今後歳を重ねて「自分が手術を受ける側」になることを考えると、現在の外科医減少の傾向には懸念しかない。
やはり大切にすべきは今後を担う若い世代だ。
現状を嘆くでも、希少性の上に胡座をかくでもなく、人を惹きつけるスマートさを身につけることを僕ら現代の外科医は求められているのではないだろうか。