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福島県立美術館「アートアニュアル」
小規模の展覧会でしたが、美しい作品が並び、いろいろ感じさせられました。
漆工芸の吾子可苗は、蘭の花のモチーフが多かったのですが、タイトルが《Cocoon》《lipido》など生命の根源を表現しているような作品で、花の美しさはもちろんですが、なにか見えないものからパワーを吸い上げるように張り巡らせた“根”が印象的でした。
木彫の黒沼令は、表情豊かな手で支えられた頭像も美しく印象的でしたが、《うれ
酔っ払って観た月ー加山又造論
加山又造は生涯を様々なテーマで絵を描かきました。どれもドラマティックな絵画ですが、その中でも私は、画面に形の違う月が二つ出ている、「天の川」「千羽鶴」という屏風絵、同じく屏風絵の作品もある裸婦のシリーズが印象的です。
「天の川」「千羽鶴」は、どちらも夜空の宇宙空間が波立つような線が描かれています。まるで宇宙の美しい波動を描いているようです。「天の川」は天空に飛沫のようなものが上がり、「千羽鶴」は黄
バルテュスの哲学する少女
現在、絵を観て「本当みたい!」という褒め言葉が果たして使われるのでしょうか?私が絵画に触れてきた歴史のなかでは、少なからず登場した言葉です。
「本物みたい!」な絵が、何故絵画でなくてはならないのか、そういうようなことをこのブログでは、紐解きたいと思います。
第一回目はバルテュスの絵画を考察したいと思います。
《夢見るテレーズ》という少女のスカートがはだけてショーツが見える絵がとても有名でスキ