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言葉の戯れ(詩)

季節風が蕾を散りばめて
大きな白い皿から溢れる溜息の言い訳
鍋の底の真っ黒い足跡が
煮え立って水面に泛び上がる
耳の奥に真珠の粒となって
空の戯言が降ってくるのだ
それで時間の渦は目を閉じて
季節風を数えて、また
蕾を数えたーそれは無数だった
体の垢を擦るように皿を洗って
樹木たちは刻を傷めた肌だった
大きな白い皿は傷で出来た肌だった
無言でいられたなら
ペンを取らずにいられたなら
邪なこころは誰にも渡さずに
鍋の底へ沈めたまま千年の刻を過ごしたのに
表も裏も描かれ続けてしまった
ただ樹木だけが
言葉の容ちをしていた

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