最近の記事

俳句

愛のせて 空動き出す スープ皿 紙飛行機を 吹き飛ばす 息よ 口熱し 森 ルカ

    • 俳句

      朱い足跡 朱い愛 …朱い雪 運命の石 運命の水 …また運命の 森 ルカ

      • アポリネール論

        詩集「カリグラム」より「手紙」の抜粋 僕も自作に対する七人以上の愛読者は望みませんが、ただ僕はその七人の男女の性も国民性も、また身分もそれぞれに異なることを望みます。つまり僕は自分の詩篇を、一人の黒人のアメリカ拳闘選手が、一人の中国の皇后さまが、一人のドイツの新聞記者が、一人のスペイン画家が、一人の由緒ある家系の若いフランス婦人が、一人のイタリアの若い農婦が、インド駐屯のイギリス士官が、愛してくれることを望みます。 アポリネールを読んだのは高校生のときで、詩集「アルコール

        • 無季俳句

          蒼穹に 目を叛ける 闇の渦の 首飾りよ 生者もまた 死者かな 愛していれば 腐りゆく 耳をすり抜け 掌に溢れる 実存の 絶え間なき 想いの中を 生きる わたくしは あなたの 作ったように 生きる オーロラを 漕ぐ舟 夢を零す 砂時計 水色の 鳥籠で待つ 濡れる秋 唇に 蝶が止まる わが憂鬱の 森ぞ 森 ルカ

          失った腕(詩)

          芳しい薔薇の花 黄昏の底なし沼に 実体のないものは引きずり込まれ 秒刻みで容ちを失う皿 刻を射る弓を取り出し 無口な影となってゆく 彼の人の後姿のまぼろしを 的にして倒れた薔薇 ー花を数えるのは  一輪、二輪、ではなく  ひとり、ふたり、という  ひとり、ふたり、  さんにん、よにん、 首のもげた穴があく 黄金の穴があく光り ー真実を知っているわけではなく  嘘を言ってるわけでもない なくなったものはもとへ戻らず 太陽が沈むままに闇へ沈んだ そういう世界がかつて存在した 森

          失った腕(詩)

          失った腕(詩)

          芳しい薔薇の花 黄昏の底なし沼に 実体のなきものは引きずり込まれ 秒刻みで容ちを失う皿 刻を射る弓を取り出し 無口な影となってゆく 彼の人の後ろ姿のまぼろしを 的にして倒れた薔薇 ー花を数えるのは  一輪、二輪、ではなく  ひとり、ふたり、という  ひとり、ふたり。  さんにん、よにん、 首のもげた穴があく 黄金の穴があく光り ー真実を知っているわけではなく  嘘を言っているわけでもない なくなったものはもとへ戻らず 太陽が沈むままに闇へ沈んだ そういう世界がかつて存在した

          失った腕(詩)

          私の季節

          蒼穹に散りばめた硝子の花粉を 指で掬ってこすり炎をおこす そのような白い魔物は 足跡を消しながらやって来る 砂の街角へ 指で跡をつけながらやって来る  樹肌がところどころ燃えている ー貝殻の森から帰って来たところ 私の住まいー白い回転 口を開けたままのフライパンにたつ泡 閉じることのない黄昏の魔物の舟 蒼穹の的へ弓を引くピルエット 生命の一輪の薔薇のあわいに 黄昏れてゆく舟 魔物の指へ指環を嵌めて 繋ぎ合わせた硝子の花粉を 声儚く売り歩く街角 歌声を繰りなすフライパンにたつ泡

          私の季節

          Cocoon(詩)

          その根がはり巡らされて 吸い上げる樹液にからまった 夜の容器よ なみなみと注がれた唇の破片を 繋ぎ合わせて幾度も産まれ変わった そこに居合わせた繭 つゆに濡れている繭 蘭の花を容ち創る塔よりその根は 動き出し容器に注ぐ なみなみと唇の破片を… 夜で濡れている花 てのひらで容ち創る蘭の花 そこで朽ちてゆく繭 そこで花開く繭 縫い合わせて動かしている雨の幕の向こうに 蘭の花が咲き匂う塔がそびえ建つ 森 ルカ

          Cocoon(詩)

          福島県立美術館「アートアニュアル」

          小規模の展覧会でしたが、美しい作品が並び、いろいろ感じさせられました。 漆工芸の吾子可苗は、蘭の花のモチーフが多かったのですが、タイトルが《Cocoon》《lipido》など生命の根源を表現しているような作品で、花の美しさはもちろんですが、なにか見えないものからパワーを吸い上げるように張り巡らせた“根”が印象的でした。 木彫の黒沼令は、表情豊かな手で支えられた頭像も美しく印象的でしたが、《うれう》《すます》という、傷口のような穴が沢山付いた胸像が心に残りました。人間の中身

          福島県立美術館「アートアニュアル」

          俳句

          あたたかくやわらかくなくなるかたち 時計の実熟して蒼いわが樹木 扉絵を描く杖なり 天球儀 森 ルカ

          俳句

          空洞のわたしは楽器 夜の舞 風孕むわたしの指輪 靡く髪 心臓に巻きつく黒髪の傷みかな 汝が鼓動沈める夜の闇の滝 朱い風纏う踊り子 砂漠は夢   森 ルカ

          酔っ払って観た月ー加山又造論

          加山又造は生涯を様々なテーマで絵を描かきました。どれもドラマティックな絵画ですが、その中でも私は、画面に形の違う月が二つ出ている、「天の川」「千羽鶴」という屏風絵、同じく屏風絵の作品もある裸婦のシリーズが印象的です。 「天の川」「千羽鶴」は、どちらも夜空の宇宙空間が波立つような線が描かれています。まるで宇宙の美しい波動を描いているようです。「天の川」は天空に飛沫のようなものが上がり、「千羽鶴」は黄金の鶴が飛んでいます。 加山又造の装飾性は現実を飛び越えて超空間的で無機質な空間

          酔っ払って観た月ー加山又造論

          言葉の戯れ(詩)

          季節風が蕾を散りばめて 大きな白い皿から溢れる溜息の言い訳 鍋の底の真っ黒い足跡が 煮え立って水面に泛び上がる 耳の奥に真珠の粒となって 空の戯言が降ってくるのだ それで時間の渦は目を閉じて 季節風を数えて、また 蕾を数えたーそれは無数だった 体の垢を擦るように皿を洗って 樹木たちは刻を傷めた肌だった 大きな白い皿は傷で出来た肌だった 無言でいられたなら ペンを取らずにいられたなら 邪なこころは誰にも渡さずに 鍋の底へ沈めたまま千年の刻を過ごしたのに 表も裏も描かれ続けてしま

          言葉の戯れ(詩)

          バルテュスの哲学する少女

          現在、絵を観て「本当みたい!」という褒め言葉が果たして使われるのでしょうか?私が絵画に触れてきた歴史のなかでは、少なからず登場した言葉です。 「本物みたい!」な絵が、何故絵画でなくてはならないのか、そういうようなことをこのブログでは、紐解きたいと思います。 第一回目はバルテュスの絵画を考察したいと思います。 《夢見るテレーズ》という少女のスカートがはだけてショーツが見える絵がとても有名でスキャンダラスだとも言われていますが、一見、エロティックなこの絵のポーズとは対象的に

          バルテュスの哲学する少女