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「考えすぎて行動できない自分」がいやだった

わたしは昔からかなりの慎重派でした。
たくさんの選択肢がある中でなにかを選ぶときには、選択肢をひとつずつ精査し、友人と議論して、自分自身を納得させる根拠を集めるようにしていました。

社会人として数年働いてきて、自分の仕事が「おそい」ということに気付いたのはつい最近です。
わたしは営業職ですが、色々なことを考えすぎるあまり、お客さんとのアポが取れなかったり、指示された提案資料を期限内に作成できなかったりすることが続きました。
さらに、仕事量の割に、自分の頭がものすごい疲れている感覚もありました。

そんな状況を変えたくて、何冊か本を手に取りました。
まずは、「最先端研究で導き出された『考えすぎない』人の考え方」という本についてご紹介します。

「物事を深く考えないようにしよう」ではなくて、「『考えすぎちゃうわたし』とうまく付き合っていきたい」、こう思う人の力になれれば嬉しいです。


1. 考えすぎる原因は「情報を処理できず、不安になるから」

生物学と心理学をかけ合わせた「進化心理学」という学問では、人は「不安」によって動くと言われています。
人間は「不安」という機能を使って危険を避け、自分や家族の命を守ってきたのです。この心のメカニズムは旧石器時代からまったく変わっていないようなのですが、人を取り巻く環境は大きく変化しています。

命をなくす危険が少なくなったことに加え、テレビやネットなどから常に情報を得ることのできる今、わたしたちの不安の種は「先のわからない未来」や「他人の言動」、「ネガティブな情報」などになりました。
老後の生活などの遠い将来のことから、仕事のトラブル対応など身近なことまで、自分自身に関する問題を、さまざまな情報から判断しようと、考えすぎてしまうのです。

さらに、人はネガティブな情報に優先的に注目してしまう「ネガティビティ・バイアス」という特性も持っています。 そのため脳が情報を処理しきれず、考えるほど不安になってしまう、という状況が起きるのです。

2. 考えすぎない方法①「考える時間や情報量を少なくする」

仕事で難解な資料を読む時や、車や家などの大きな買い物をする時、「まずは時間を取って、関連資料やパンフレットをじっくり見てみよう」
……わたし自身、このように考えて動いてきました。
情報をくまなく調べ、他のものとも比較検討することで、一番合理的な選択ができそうだと思っていたのですが、実はこれが「考えすぎて行動を起こせない」ことの原因でした。

集めた情報が多すぎたり、時間がありすぎたりすると細かい情報に意識がいってしまい、小さな欠点やマイナス要因が大きな問題のように見えてしまうのです(「ネガティビティ・バイアス」ですね)。

一方、考える時間が短いと、時間がない分、私たちは情報に正しく優先順位をつけて、無意識に情報の取捨選択を行っています。
比較対象を減らしたり、収集する情報を絞ったりすることが、合理的に選択する近道となるようです。

3. 考えすぎない方法②「不安やイライラの原因を分析する」

なんとなく不安で作業に集中できない、よく分からないけれど胸や胃のあたりがキリキリして、落ち着かない……誰しも一度は経験があるのではないでしょうか。
そのような不安やイライラを抑えるには「感情の原因を客観的に分析すること」が効果的です。

わたしたちがなにかの感情を感じるとき、大脳の深いところにある大脳辺縁系という部分が活発になります。
一方、物事を論理的・分析的に考えるのは前頭葉などの大脳新皮質。感情を分析し意識的にエネルギーを分散させることで、大脳辺縁系がオーバーヒートするのを防ぎます。

また、「考える脳」の大脳新皮質は言語機能もつかさどっているので、感情や考えを文字で書き出すだけでもOK。客観的に自分を見るために、書き出す時に「わたしは~と思う・感じる・わかる」などの洞察語を使うと、より効果的です。

4. 考えすぎない方法③「脳のエネルギーを分散させる」

考え事をしたり勉強したりするとき、静かな環境で机に向かって「さあ、やるぞ!」と意気込んでも、なかなか集中できない……。
こんなときも、脳のエネルギーを分散させることで、脳のはたらきを活性化することにつながります。

エネルギーを分散させる方法の一つは、考え事や作業をしているときに、「無意識にできる行動」を加えることです。
例えば、講義を聴いている際に、ノートの端に落書きをする、部屋の中をぐるぐる歩きながら暗記作業をするなど、無意識にできることを並行して行うことで、脳のエネルギーをうまく分散させ、パフォーマンスを向上させることができるようです。

もう一つの方法は、静かすぎる場所ではなく、カフェなど少しざわついている環境で作業することです。
上で書いた通り、脳に刺激を与えて脳のエネルギーを分散させると、1つのことに集中しすぎて脳が疲れてしまう状態になりにくくなります。
人の会話や食器の音など、ある程度雑音がある方が、作業効率を上げるうえでは良いということになるのですね。

「考えすぎて動けない」ことの原因は、行動が遅いのではなく、情報過多からくる「不安」によるものでした。
情報量や環境をコントロールすることで、不安になる要素を減らせられれば、考えすぎて疲れることなく生活できるかもしれません。

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