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【読書ノート】『信仰』

『信仰』
村田沙耶香著


ある日、主人公(永岡)は、石毛からカルト商法の誘いを受ける。元彼女の斉川を教祖に仕立てるのだという。

信仰とは?
異なる哲学者や思想家によってさまざまに解釈されている。
①信仰が主観的な宗教的経験や感情に基づくのではなく、合理的な考察や論理的な推論に基づくものであるという意味がある。
②信仰が個人の信念や価値観を超えて、普遍的な真理や存在の本質に関連するものとして考えるということ。
③宗教的な信仰だけでなく、哲学的な信念や思考の領域も含まれるというもの。

- 信仰とは、主人公の永岡が現実を愛する姿勢から始まる物語。

永岡は、自分の周囲の人がカルト宗教やマルチ商法には警戒感を持つ一方で、高価なブランド品には喜んでお金を使うという矛盾を感じる。永岡は常々、モノの価格の妥当性にこだわっていて、よくわからない土器に何百万も払う神経が、理解できない。

高価なブランド品の信奉者とカルト宗教への高額献金は、実質的には同じことなのではないか?

一般人は、目に見えない価値を謳う社会に騙されていると感じながらも、自分が、周りと異なっていることに戸惑う。むしろ、何かに洗脳されてしまった方が、幸せなのではないかという考えに至る。
そして、永岡は、教祖の斉川に洗脳してくれるように頼む。

物語の主題は何か?
お金の価値は目に見えない価値を信じる行為に支えられているということ。

大事なものはプライスレスなのだということなのだろうか?

カルト宗教は、肯定されるべきではないと思うけれど、ひとの幸せは、合理的には、なかなか説明がつかないということなのだと理解した。

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