Ryusuke Ito

AOR&Soul Band "yobai suspects"…

Ryusuke Ito

AOR&Soul Band "yobai suspects" Producer, Trackmaker/ AMAGOI Records(雨乞いレコード)主催/ 平塚⇄池尻

最近の記事

ZINE『NON CENTRAL』について

ソロ活動として"wanona no wave"名義でZINE(アートブック)を作り、 9/23まで、六本木ヒルズで行われたHILLS ART&ZINE MARKET 2024に置いてもらっていました。 デザイナーのyamamoto megumi、フォトグラファーのOchiai Kiichiとの共作。 まだ手持ちで少しあるのでお求めの方は連絡下さい。 『NON CENTRAL』は、ドゥルーズやベルクソンの思想をベースに感じたことを表した作品です。 野暮だけれど、解説して欲し

    • 映画レビュー『怪物』(2023)/是枝裕和

      私たちは互いにうっかり誤解するのではなく、 常に圧倒的他者性をぶつけ合い、相手を飲み込もうとしている怪物だ。 「地獄、それは他者である」(サルトル)的な他者性をテーマとしたような作品はたくさんあるような気がするけど、 『怪物』は、よくある1対1のすれ違いの悲劇ではなく、鑑賞者も巻き込みながら関係性N対Nを眺めさせる。 鑑賞している自分自身、 まさに怪物的な眼差しで登場人物を規定しようとしてしまう。 そのことに気づいた瞬間、自分が忘れていた(忘れようとして忘れてきた)リ

      • 葬送のフリーレン

        人は意志と記憶によって 過去/現在/未来を重ね合わせることで、 それぞれに与えられた"時間"を 替えのきかない独自のものとすることができる。 だからこそ自分は自分なのであり、 千と千尋で言うところの「あ、コハク川!」 が自分を支えてくれている。 何千年という時間を持つエルフからすると、 人間の時間(重なる時間)はより色濃く煌めいて見え、残り、彼女自身の心も変化していく。 そしてフリーレンの記憶が介在し語られることで、自分達はさらにその際限ない重なり合いを 想像することが

        • 原作クラッシュ

          皮肉なことに構造として、 脚本家を執拗に叩き続ける人たちは 自らが批判している"原作クラッシュ"状態を自らで体現している。 原作クラッシュがおきるのは、 陳腐化されたものでないと近寄り難い、楽しめないというのが往々にして大衆というものであり、それを相手にビジネスするのがマスメディアというものだからだ。 脚本家やアレンジャーという職業自体や個人による問題ではない。 そうした自分自身も成員となっているエンタメビジネスの構造や、 リスペクト、契約履行、組織、コミュニケーション

        ZINE『NON CENTRAL』について

          構造/実存/自由/MBTI/芸術/多様性/AI/ベルグソン/尾崎豊/ピアノの森①

          居住環境、経済力、コマーシャル、法律、政策、教育、家庭事情、人間関係、文化的価値観や習慣、同調圧力、物理的刺激。 これら外部の力と接して反応する物質的な身体・脳としての人間には、客観的な自由はない。 自分があることを決定したと意識するよりも前に脳からは準備電位が生じていて、人の意志は物理によって規定されている。 1960年代に出現した構造主義や当時の科学実験によると、このような仮説が立つ。 人類学者レヴィ・ストロースが1962年『野生の思考』で提唱し、それまでの実存主

          構造/実存/自由/MBTI/芸術/多様性/AI/ベルグソン/尾崎豊/ピアノの森①

          映画レビュー『アメリカンビューティー』(1999)

          感覚と時間は不可分 静止した絵をみやるときですら、 何かを感じるには時間が要る 音楽に至っては、 時間がなければ存在できない しかし時間には尺度がない 感覚的にも物理的にも時間は相対的なもの なので誰かが何かを感じるために必要な時間は それぞれ異なり、 ある事柄に対して感動したり悲しくなるまでが 数秒だった人もいれば、数年かかった人もいる しかし、それは短いとも長いとも言い得ない そう考えた時、 人と人との間で"感性が違う"ということには、同時に"時間が違う"とい

          映画レビュー『アメリカンビューティー』(1999)

          映画レビュー『七人の侍』(1954)

          「百姓ってのはな、けちんぼで、ずるくて、泣き虫で、意地悪で、間抜けで、人殺しだ。 畜生、おかしくって涙が出らあ。 だがな、こんなケダモノ作りやがったのは、一体誰だ? おめえたちだよ侍だってんだよ。」 百姓が村に蓄えていた武器防具(殺した落武者から奪った)を前にして憤る侍達に対して菊千代(三船敏郎)が放った言葉。 菊千代は侍を気取っているが、百姓に生まれ孤児として育ったので弱者の辛さも弱者の恐ろしさもよく知っている中間的な存在。 黒澤明は弱者をただ可哀想な人間としては描かな

          映画レビュー『七人の侍』(1954)

          ウイグル

          生まれながら人には自然権がある(平等、自由、財産)とジョン・ロックは言ったけれど、実行力を保障されない権利は成り立つはずがない。 国際法、国際人権法、国際条約で保障されていると言っても、各国が国内法にそれを適用しないと実行力は無い。 国連でも、常任理事国である中国とロシアはよく紛争解決に向けた決議案を拒否する。 なので国連や国際社会といった大きそうな機械はそれほど大きくは機能しない。 中国は長年、ウイグル人に対する人権侵害、ジェノサイドを続けている。 漢民族から監視

          ウイグル

          映画レビュー『CONTROL』(2007)

          イアン・カーティス役のサム・ライリーがすごい。 動き完コピ。 淡々としているからどう苦しんでいたのか分かりづらさもあるけれど自死するくらいの個人的な苦しみなんて他人にわかるはずないから、無駄な心象の解釈や表現が無くてよかったんだと思う。 ただどうしようもなく素直で、若くて、割り切れないものをそのまま抱えた人だったのだろうと想像する。 サントラも良かった。 1.ニュー・オーダー : : Exit 2.ヴェルヴェット・アンダーグラウンド : : What Goes On 3

          映画レビュー『CONTROL』(2007)

          映画レビュー『ドライブ・マイ・カー』私とは他者に対し無限の責任を負う者である

          2021年8月20日公開 監督:濱口竜介 脚本:濱口竜介、大江崇允 原作:村上春樹 キャスト 家福悠介:西島秀俊 渡利みさき:三浦透子 家福音:霧島れいか 高槻耕史:岡田将生 イ・ユナ:パク・ユリム コン・ユンス:ジン・デヨン ジャニス・チャン:ソニア・ユアン ペリー・ディゾン アン・フィテ 柚原:安部聡子 本来的に量り知れない存在であるのが他者。 音の裏切りや高槻の暴力性。 家福が作る舞台が多言語であることは、 同じ言語で会話することによってその場に漂う"相互理解が

          映画レビュー『ドライブ・マイ・カー』私とは他者に対し無限の責任を負う者である

          ディスクレビュー / Lizzy Mercier Descloux『Manboo Nassau』(1981)

          パティ・スミスやリチャード・ヘルらとの親交をきっかけにNYパンクシーンで活躍したフランス出身アーティストLizzy Mercier Desclouxの2枚目のアルバム。 部屋中で何かが弾けて飛び跳ねているような、からっとしたポストパンクサウンド×アフロビート×ファンク。 パンク以降の70年代末〜80年代半ばのNY、よりアート志向で実験的なサウンドの"ノーウェイヴ"というムーブメントがあり、アート・リンゼイやブライアン・イーノ、ジェームス・チャンスらが立役者として知られてい

          ディスクレビュー / Lizzy Mercier Descloux『Manboo Nassau』(1981)

          ディスクレビュー / BOOKER T. JONES『The Road from Memphis』(2011)

          大御所オルガン奏者Booker.T.Jonesのソロ7枚目となるアルバム。Questloveプロデュース。 太いリズムセクション、ファンクネス、キャッチーなリフ、ビンテージなんだけどモダン。この時代だからできたディープファンクミクスチャー。ANTI-Recordsの多様性とQuestloveのセンスが遺憾なく発揮されている。 特におすすめは1-4,7,9-11 じっとしているのが難しいくらいファンキーなインストの流れ(こめかみに食い込んでくるエキセントリックなオルガンと

          ディスクレビュー / BOOKER T. JONES『The Road from Memphis』(2011)