ディスクレビュー / Lizzy Mercier Descloux『Manboo Nassau』(1981)
パティ・スミスやリチャード・ヘルらとの親交をきっかけにNYパンクシーンで活躍したフランス出身アーティストLizzy Mercier Desclouxの2枚目のアルバム。
部屋中で何かが弾けて飛び跳ねているような、からっとしたポストパンクサウンド×アフロビート×ファンク。
パンク以降の70年代末〜80年代半ばのNY、よりアート志向で実験的なサウンドの"ノーウェイヴ"というムーブメントがあり、アート・リンゼイやブライアン・イーノ、ジェームス・チャンスらが立役者として知られているけれど、自分の推しはLizzy。
『Manboo Nassau』は、アイランドレコード創業者でボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズを世界に送り出したクリス・ブラックウェルの出資により、彼が1977にバハマに作ったスタジオ、コンパス・ポイント・スタジオにて製作。
スライ&ロビーを中心としたレコーディングバンド、コンパス・ポイント・オール・スターズのエンジニア、スティーブン・スタンリーとシンセサイザーの革新者ウォリー・バダルーが共に作曲とプロデュースを担当。
スティーブン・スタンリーはトム・トム・クラブの第3のメンバーとしても知られていて、このアルバム発表と同年に「Genius of Love」(共同作曲、プロデュース)をリリースしている、名エンジニアでありプロデューサー。
『Manboo Nassau』のエグゼクティブ・プロデューサーは、ノーウェイヴを代表するレーベル"ZE Records"の創設者であるミシェル・エステバン(Lizzyの恋人)とされているけれど、音楽的にはスティーブン・スタンリーに依るところが大きい。※エステバンはアートワークのデザイン、アートディレクターとしてもクレジットされている。
弾力ある楽器の質感。子供のころゴム手袋をギシギシと噛んでみた時の、あのギュムっとした感じを思い出す。
あとYann Le kerというフランス人ギタリスト(Modern Guy)が作曲クレジットされている曲が多い。ギターもめっちゃかっこいい。
お薦めは2. "Room Mate"、6. "Funky Stuff"
坂本龍一もこの時期Lizzyファンを公言していて、NHK FMサウンドストリートでもオンエアしていた。YMO周りと交わって欲しかった。
※TRACK LIST
All songs written by Lizzy Mercier Descloux unless otherwise noted.
2003 Reissue
No. / Title Writer(s) / Music Length
1. "Lady O K'pele" Wally Badarou 2:28
2. "Room Mate" & Yann Le ker 2:44
3. "Sports Spootnicks" & Yann Le ker 4:21
4. "Payola" 4:22
5. "Milk Sheik" Nino Rota; arrangemented by Wally Badarou 0:50
6. "Funky Stuff" Kool & the Gang Kool & the Gang 4:10
7. "Slipped Disc" Phillipe Lemongne 3:40
8. "It's You Sort Of" Yann Le ker, Phillipe Lemongne 2:17
9. "Bim Bam Boum" & Yann Le ker 3:08
10. "Five Troubles Mambo" & Wally Badarou 2:14
BONUS TRACKS
No. Title Writer(s) Music Length
11. "Les Baisers d'Amants" 3:52
12. "Maïta" 3:14
13. "Mister Soweto" 2:16
14. "Sun Is Shining" Bob Marley Bob Marley 2:49
15. "Corpo Molli, Pau Duro" & Michel Bassignani 2:40
16. "Don't You Try To Stop Me" Mike McVoy 6:35
※No Waveの詳細はこちらのZE Recordsについての記事によくまとめられています。
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