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Vol.6会社のハラスメント相談窓口について「理屈」を知っておこう~(法律でほのめかされている?)【よしいけの労災申請体験記】

こんにちは。よしいけ@名ばかり管理職です。
本noteをお読みいただきありがとうございます。 

本記事では、ハラスメントを相談する窓口について解説します。
窓口がしっかり機能している会社なら、労災にまで至らないかもしれません。すぐに環境が改善されたら、それが何よりです。

 労災申請する人もしない人も、どちらにも参考になりましたらうれしいです。 


 

■1|ハラスメント窓口の設置は「措置義務」
 

ハラスメント被害にあったら、まずは自社のハラスメント相談窓口にコンタクトをとるのが一般的ではないでしょうか。ハラスメント窓口がないはずはありません。

ハラスメントに必要な対策をとることは事業主の義務

この場合の義務というのは措置義務

措置義務のなかには相談窓口の設置も含まれている


ですから窓口がないとしたら、
「いやーウチの会社、ハラスメント窓口ないんですよ。ヤバくないっすか?」
と、管轄の労働局の雇用環境・均等部にチクりましょう。
行政指導がはいります。

  

「ソ、ソチ…ギ…ム………って…?」


措置とは、解決をつけるために取り計らうことやその手順です。

 法律や労働関係の条文をチェックするとき、措置義務というのは、まあまあの頻度で出てくるので、以下をおさえておくと安心です。

・(弱)努力義務→「~するよう努めなければならない」(なるべくやってね)
・(中)配慮義務→「~ように配慮しなければならない」(何かをやったと行動で示して)
・(強)措置義務→「~の必要な措置を講じなければならない」(絶対やれ! 絶対!)

 ですから措置義務なのに会社が「やっていない」ことについては、ワーカーとしても強気に出ることができます。


2024年現在、セクハラ、パワハラ、マタハラ、パタハラなどのハラスメント対策は、そのほとんどが事業主が講ずべき措置 → いわゆる「措置義務」となっています(一部例外あり)。
カスタマーハラスメント(カスハラ)対策だけが努力義務です。

かといって、カスハラを放置してよいわけではありません。現にカスハラは急ピッチで整備がすすめられています。


■2|ハラスメント窓口が「措置義務」であることの根拠
 

では、その措置義務とやらはどこでどのように定められているのでしょうか?

 「知りませんよ! だって法学部出身じゃないですもん!」

はい、私がそうでした。
労働分野のルールについて、私は完全に情報弱者でした。


いや、情報は常にあったのです。私が無知ゆえに対応が出遅れたのです。
自分を守る武器というのは、自分からつかみに行かないと手にはいりません。
有益な情報というのは、ひなが親鳥からえさを与えられるように、自動的に運ばれてくるものではなかったのです。

 

『賭博黙示録カイジ』のなかで、帝愛グループの幹部・利根川は言いました。 

名言

 そしてこうも言いました。

「甘えを捨てろ。質問すれば答えが返ってくるのが当たり前か。なぜそんな風に考える……? とんでもない誤解だ。世間というのはとどのつまり、肝心なことは何一つ答えたりしない。」(by利根川幸雄)

ごもっとも

 ……ぐうの音も出ない正論です。

 

 

そこでまずは、ハラスメント相談窓口について〝理屈〟をまとめておきたいと思いました。忘備録的なものですので、興味のない方はとばしてくださいね。

わかりやすい例として、ハラスメントのなかでも歴史ある、セクシュアルハラスメントについて定めた男女雇用機会均等法11条をピックアップして説明します。

ちなみにセクハラ被害対象は女性だけでなく男性もです。
あと、同性間のセクシュアルハラスメントも被害に含まれます。

 

ここではセクハラをソースに説明しますが、ハラスメントというのは実際のところ、各種ハラスメントが絡みあった複合型も多いです。このようにMIXされているケース、よくありますよね。 

・セクハラ×パワハラ
・セクハラ×マタハラ×パワハラ
・パタハラ×パワハラ×セクハラ


そのため、すべてのハラスメントが一元的に相談に応じられるよう、一体的な窓口をつくるよう体制を整備することがのぞましい取り組みとされています。

なにが言いたいかというと、今から説明する「相談窓口」の理屈は、
セクハラもパワハラもマタハラもパタハラもカスハラも、あらゆるハラスメント被害ケースに応用される

ということです。

ですから、どんな種類のハラスメントでも、ためらわず窓口に相談して大丈夫です。

じっ……

■3|法律で「ほのめかしている」相談窓口
 

これはセクハラに関する法律ですが、「相談窓口」にひっかかるワードがあるでしょうか?
 

【男女雇用機会均等法】
第二節 事業主の講ずべき措置等
(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)

 第十一条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

  事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

  事業主は、他の事業主から当該事業主の講ずる第一項の措置の実施に関し必要な協力を求められた場合には、これに応ずるように努めなければならない。

  厚生労働大臣は、前三項の規定に基づき事業主が講ずべき措置等に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
(以下略)
----------------------------------------------------------------------

男女雇用機会均等法

 

注目すべき部分は太字です。
窓口の設置義務はこれら太字部分が根拠となっています。

  

「太字読んだけど、窓口とか、どこにも書いてないですよ!」

 

そうなんです。じつは法律は「ほのめかし」をしています。
そのほのめかしの内容について詳しく書かれているのが「指針」なんです。

 


■4|指針とは何? どこで調べればいいの?


指針
とは、わかりやすくいえば、法律のトリセツのようなものだと考えてください。

法律を制定したとしても、その具体例や細かい内容までは書ききれないですよね。 ですから、法律の円滑な運用をはかるために、各省は所管の行政事務についてくわしい内容や方向性を制定するのです。それが指針です。

よく見ると、上記法律4にも、「厚生労働大臣は ~ 必要な指針を定める(太字部分)」と、しっかり書いてありました。

 厚生労働大臣が指針を告示することは、法律で定められているルールなんです。
(告示とは、国家や地方公共団体がある事項を公式に広く一般に知らせることです)

 

 

\ ほのめかしの内容は指針でもご覧いただけます♪ /

 

ということです。

まるで見逃し配信をTVer(ティーバー)やABEMA(アベマ)の動画サービスへ誘導しているかのような。そう考えるとちょっと前衛的(?)です。

  

ところでこんな風に思いませんか?

「厚生労働大臣が定めた指針なんて、どこでどうやって確認するんですか?!」
「そんなこと知りませんよ。ニュースで言ってましたか?」
「指針? 聞いてませんよ。猫ちゃん記事とおなじくらいYahoo!ニュースでガンガン流してくださいよ!」

 

ええ、私もそう思っていました!
しかし、この程度の心意気では「指針」までたどりつきません。

日々流れては消えるニュースのなかで、本当に有益なものは自分で検索して獲得するしかないようです。

 情報強者とは、正しい情報をつかみ取る「検索強者」のことです。

 


①まずはGoogle先生に聞いてみる
 

たとえば「セクシュアルハラスメント」「指針」でGoogle検索してみます。すると以下のタイトルと検索スニペットが出てきます。2トップが厚生労働省の公式サイトですね。これらの情報は信用性が高いです。

 検索TOPのフルタイトルです。これがいわゆる「指針」です

↓ ↓ ↓ ↓ ↓
事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成 18 年厚生労働省告示第 615 号)【令和2年6月1日適用】


  

厚生労働大臣、ちゃんと法律のルールを守って指針を作り、告示していたんですね。

 

ただ上記内容は、最もくわしい指針が書かれた専門文書ですので、少しわかりにくいです。ななめ読みして確認したら、次に、このむずかしい内容をわかりやすくパンフレットに落とし込んでいる情報を探してみます。

 厚生労働省の公式サイトのサイト内検索エンジンを利用するのがおすすめです。

 


②省庁の公式ホームページからサイト内検索
 

厚生労働省の公式ホームページの検索から、「セクシュアルハラスメント」「指針」パンフレット」でサイト内検索してみます。

 すると、以下のような検索結果が表示されました。

 

上位タイトルは、時期により多少前後するようです。

 TOPタイトル「職場におけるハラスメント防止のために(セクシュアル…」をクリックしてみます。すると、こんな画面になりました。

 


ちいさくてわかりにくいのですが、画面下のほうに、「改正の概要」「パンフレット等」というコーナーがあるのがおわかりいただけますでしょうか。パンフレット等の最新情報はここをチェックするのが手っ取り早いです。

 

「パンフレット等」のトップ(PDF)を開いてみましょう。

  


③パンフレットでしっかり理解
 

はい! 出ました。パンフレット。 

わかりやすくかみ砕いてハラスメントが紹介されています。

 

パワーハラスメントも同時掲載されていますから、新しいパンフレットだということがわかります。なぜならパワーハラスメントは、2022年4月から全企業に防止措置が義務化されたからです。パンフレット末尾には「令和5年11月作成」とありました。

Googleでワード検索していると、ときどき古いパンフレットにヒットしてしまうことがあります。旬の情報を得るときは、やはり厚生労働省や労働局の公式HPからサイト内検索して「New!」を探すのが安全ですよ。

  

パンフレットの21頁を見てみると……。

 「指針に定められている事業主が講ずべき措置のポイント」が、セクシュアルハラスメントに関しては10項目列挙されていました。 


どれも重要ですが、窓口に関する項目は③と④です。

相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知すること。

相談窓口担当者が、内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること。セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントが現実に生じている場合だけでなく、発生のおそれがある場合や、これらのハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応すること。

 

・窓口を設置すること

・窓口相談担当者が適切に対応できるようにすること

 

これらが事業主の措置義務であることが確認できました。

 


まとめ
 

厚生労働省の公式サイトのHOMEを下の方にスクロールすると、こんな見出しもありましたよ。

 

「どんな情報をお求めですか?」

 

優しいですね。
しかし何を知りたいかは、やはり自分から、ピンポイントで抽出する必要があります。

 ルートはどれでもよいですが、以下のことが大事なのかと思います。

 

・検索して正確な情報を得ようとすること

・信用性の高い公的機関のサイトから、旬の情報を選び取ること

・わかりやすくまとめているパンフレット等を探し、かみ砕いて理解すること

 

 

ちなみにもしや……と思いChatGPTに尋ねてみたところ、順番は前後しましたが、ほぼ正確な10項目が解答されて驚きました。

 

すごいなChatGPT!

 

ただ、完全ではないので、やはり厚生労働省の最新告示情報や労働局のパンフレットなどを参考にするのがオススメです。

 

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長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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