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RENAの軌跡

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シンガーソングライター 鳥居れなさんの連載エッセイを、まとめました✨ 幼少期や10代の頃を、感じたままに綴られています⏳ 語り口がユニークで、一篇の物語としても楽しめます📖
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#信じる

56.長距離走

56.長距離走

ふたつ年上の兄は小学校4年生まで、ふっくらとしていた。

ところが5年生になった途端、母と私に決意表明かのように
「おれは今日から、お母さんとも、れなとも、もう風呂には入らない。」と断言し、みるみるうちにイケメンへと転身したのだ。
その頃のことは下記の記事をぜひ。

イケメンになってしまった兄は、妹とは違って運動神経がよかった。

幼馴染のたつやくんのお父さんが、空手の先生をしていたこともあり

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23.信じる (下)

23.信じる (下)



浮いている。そんな自分が恥ずかしかったけれど
無理矢理笑うこともできない。
誰かに合わせて笑ったり、顔色を伺うことは
きっと疲れるのですぐに諦めた。
そんな余裕もなかった。



ただ毎日同じような日々が続いていく、
きっともう私には、この集団の中に
〝私という人間として〟混じり合っていくことはできないと感じた。

今日もいつも通りの学校生活、
昼食を食べたら図書室へ逃げようと計画していた

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22.信じる (上)

22.信じる (上)

冗談の通じない、面白みのない自分にがっかりする。

母と兄にも「まったく、れなは冗談通じないね〜」
などと ため息をつかれたことがある。

いやまず、オープンマインドが取り柄の鳥居れなの前で
悪らつな冗談を言って、
信じるのかを試して笑うだなんて
面白くもなんともない。悪党どもめ…
幼い私の純粋無垢をネタにして。けしからん。





23歳。
これはつい一昨日の話だが、職場の上司に
「鳥居

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