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お母ちゃんゼロからのフランス語|「オールイングリッシュ」でなくて「オールフレンチ」 【2ヶ月〜】

ヨーロッパのフランス語圏到着から1ヶ月、右も左もよくわからず、忙しない毎日でした。2017年9月の新学期の始まりと共に、フランス語が全くわからない三人の子供達を近所の現地校へ送り出す。そして、お母ちゃんもフランス語学校に通い始める。なんせフランス語ができないと、子供の学校まわりのことも、日々の生活も、ちんぷんかんぷんなのです。

さて、最初に通った語学学校。生徒が8名程の初心者コースの教室は、最初から授業は全て「オールフレンチ」でした。どう理解したらいいのー、難しそー、無理でしょー、と思ってしまいそうですが、案外、全くフランス語がわからない42歳のお母ちゃんでも、特段問題なく、どうにかなりました。

授業は、「ボンジュ〜ル」から始まり、ハツラツとしたご年配マダム先生が自分の胸元に手を当てて「私の名前は○○です。」とゆっくりと言い、その手が、順番に生徒に向けられ、簡単な自己紹介ができる生徒もいれば、先生の言ったことをそのまま真似して言える人もいれば、名前だけ発する人もいました。先生は、特に直さず、満面の笑顔で「お会いできて光栄です♡」と返すだけ。模範解答や正解不正解もありません。

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次に、「どの国から来ましたか?」と先生が聞きました。「○○から来ました」と答えられる人もいれば、お母ちゃんのように「ジャパン。ジャポン?」と国の名前さえも定かでない人もいる。そこから、国旗と国の名前が書かれたテキストを見ながら学習。なんせフランス語はさっぱりわからないので、ジェスチャー、文脈、テキストの絵などをよーく観察し、耳をこじ開けて先生の話を聞くのでした。

この語学学校でも、その次に通った語学学校でも、初心者レベルから全ての授業が「オールフレンチ」でした。どうやら常識のようです。「理解できないので、英語で説明してくださ〜い」とお願いする生徒さんもいましたが、先生方はできるところまでフランス語で説明し、それ以上時間を無駄にできない場合は、一言英語で補足する、それくらいでした。

他の言語に頼らない習性

先生方は、レベルに合ったスピードと語彙を使って、できるだけわかりやすく提示をしながら、フランス語のみを使って教えていきます。文法であっても、あくまで初級レベルに相応しいものだけを提示していくので、込み入った説明を要するものはない、とのこと。それでも、新しい言語を学ぶのは楽ではなく、脳みそがチリチリ痛みましたが、フランス語が全く話せなかったのに、先生方の指導法によって「わかる気」がしてきて、なんだか勇気が湧いてくるのでした。

特に初心者は、少しでも聞き取れるようになるために、まずはその言語の音やリズムや流れに慣れることが大事。そのために、とにかく触れて、継続すること。「オールフレンチ」のお陰で、学習時間中は、目一杯フランス語にさらしていただきました。考えてみると、文法説明を日本語で聞いたからといって、もっと早く、もっと上手く、コミュニケーションが取れるようになるわけではなかったなと思います。賛否両論ありますが、学ぶ言語だけを使って学ぶ、この方法が好きです。

聴いてなんぼ。慣れてなんぼ。使ってなんぼ。

お母ちゃんは、英語は、小6の時にイギリスの田舎の現地校にぽーんと転校して学びました。特別な英語指導もなく、完全に英語環境に浸かる、今で言うimmersionです。それでも時間がかかりますが、その言語に触れ続けていれば、時間と共に力がついていきます。おそらく、英語だけでやりくりすることが、英語を身につける最短距離だったと思います。

それから母親になり、自分の子供達と近所の子供達を集めて英語教室をやってみました。その教室の目的は「英語をいっぱい聴いて、真似て、話してみよう」でしたので、幼稚園児でも小学生でも、誰でも最初から全て英語でやりました。子供達は、近所の日本人のおばちゃんが教室に入ると英語しか話さなくなる、という謎の怪奇現象をそのまま受け入れ、何の問題もなく、英語だけで楽しくやっておりました。

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英語だけで指導するには、子供達が「わからなーい」「日本語で説明してー」とならないように、念入りにレッスン作戦を練る必要はありました。シンプルで、わかりやすいことが大前提。絵、動作、表情、声の調子を読み取りながら、勘を使えば、日本語の説明が必要になることもありません。子供達は、英語だけを聴いて、自由に話してみることができる空間に身を置いて、「英語できちゃうかも」と思ったりしながら、楽しんでいました。身近なものになり、仕切りが低くなるのです。

日本の学校で、オールイングリッシュで教えるべきかどうか、さまざまな意見を目にします。お母ちゃんは賛成ですが、老婆心ながら、この3点には注意か必要かと思います:

① 先生が、普通に、自然に、ストレスフリーで英語で指導ができること。子供が良質な英語をたくさん聴いて、真似して、話してみることができること。これが英語の感覚を育み、土台になるからです。

② 学習目的が、コミュニケートするための英語であること。もしも、模範回答に添うことや、全てを正解vs不正解で評価する内容の場合、オールイングリッシュである必要はないのかもしれません。

③ 生徒数がちょうどいいこと。教室設定で教わっている時、10人前後まではちょうどよく感じ、20人を超えると受け身になりがちで、しっくりきませんでした。

そして最後に。外国語を一から学ぶということは、わからないことだらけです。少しでもわかるようになるために学んでいるのです。その言語でコミュニケーションを取ろうとした時に、どれだけわからなくても、どうにかすることが実際の実力だったりします。色々とわからない環境に身をおいて、勘を総動員させて、察して、、、そういうことも、語学の一部かもしれません。


おまけの一枚:餃子や酢の物に使うお酢は、スーパーに売っているりんご酢でオッケー✌︎('ω')✌︎ あっ、餃子が焦げている。

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