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沖縄の高校生に向けて夏休みのフィールドワークを行いました!

高校生向けに開催した夏休みのフィールドワーク。今年は、7つのプログラムを実施! 普段授業内ではできないような体験や人との交流を通じて自分の興味関心を探り、「マイプロジェクト」に活かせるよう、多様なプログラムを用意しました。

今回の記事では、実施したプログラムとそこでの生徒の様子お届けします!

①新聞で発信しようwith琉球新報

プログラムの様子

中高生の身近な関心事や社会課題と、政治・政策・社会情勢などとの関わりを知り、若者の声を発信することをテーマにプログラムを開催。琉球新報樣のご協力のもと、「報道とは?」「発信とは?」「新聞とは?」などについて探求しました。また、新聞が完成するまでの過程やプロの記者から記事の執筆について学びました。生徒たちは、興味をもったテーマについて調べたこと、考えたことを持ち寄り、アドバイスをもらいながら壁新聞を制作しました。

▼生徒の様子
新聞を作り始めた当初は、構成や伝え方に頭を悩ませている様子が見られました。しかし、徐々に黙々と作業に打ち込むようになり、最終的には全員が集中して取り組んでいました。時折、「時間がない」「新聞ってすごい量の情報集めてるんだね」「パズルみたい」「記者や編集者ってすごい」という声が飛び交っていました。

こうした体験の中から、生徒は「伝える」と「伝わる」の違いを実感したようです。自らの考えを伝える際には、他者の視点や気持ちを想像することが重要であるという声も聞かれました。 今回の体験をきっかけとし、興味関心や気づき、疑問を人や社会に伝えたいという意欲につなげてもらえると嬉しいです。それが社会の動きに関心を持つことにもつながるはずです。

②自分の中のファッション「スタイルや価値観」をみつける旅

プログラムの様子

かりゆしウエアや紅型製作に携わる方の話を聞き、ファッションを切口に社会課題や自分の関心事を探るワークを実施。 製作場所の見学ツアーも行いました!

▼生徒の様子
ファッション・デザインや紅型に興味を持った生徒たちが多く、紅型アートに挑戦する作家さんの取り組みを真剣に聞く姿も見られました。グループディスカッションでは、自らの意見をしっかり発表。「制服をかりゆしにできないか」という案が出てきたことが印象的でした。 工場では実際に製品を作る過程を見学。でき上がった商品を売り場で手に取り、楽しそうにかりゆしウェアについて話し合っていました。

プログラム当初、生徒たちはアパレル・ファッション産業の話は、やや遠い世界のことのように感じているようでした。しかし、本来、「衣類」は私たちの生活になくてはならないものです。アパレル・ファッション業界の環境と労働上の課題を知ったこと、大衆の衣類の購買意識について対話したことで、生徒が業界のことを自分ごととして捉えるきっかけとなったのではないかと思います。 プログラム後の感想からは、海外の通販サイトが安い理由や労働賃金と洋服の値段の関係についてなど、生徒が疑問に思っている様子が見て取れました。プログラムを経て、生徒自身から生まれたこうした「問い」が、今後の「マイプロジェクト」へとつながっていくのではないでしょうか。

③めんそーれ!琉球・沖縄の伝統芸能の世界!

プログラムの様子

組踊鑑賞教室に参加後、琉球・沖縄の歴史や文化を次世代に継承する意味や方法について、組踊伝承人の仲嶺良盛さんを交えて対話しました。

▼生徒の様子
生徒のほとんどが組踊を見るのははじめて。昼食後のプログラムということもあり、集中力が切れてしまう生徒が出てしまうことも懸念していました。 しかし実際は、とてもわかりやすく、楽しく学ぶことができる組踊入門教室となっており、全生徒がメモをとりながら熱心に鑑賞をしていました。特に組踊の演目のひとつである「万歳敵討」には、音楽が多く使われており、生徒は没頭して、楽しんでいました。

終了後には、「沖縄の音楽や歴史、文化に興味を持った」「もっと学びたいと思った」という感想が多く聞かれました。また、仲嶺さんのお話を聞いて、好きなものを突き詰めることの素晴らしさや努力することの大切さを感じた生徒もいました。 これまで漠然と「沖縄が好き」「沖縄の芸能や歴史に興味がある」と思っていた生徒も、今回のように丁寧に文化を学ぶ機会は多くありませんでした。このプログラムは、生徒にとって沖縄の伝統芸能をじっくりと味わう豊かな時間になったのではないかと思います。

④多様な性について考えない!まず会って話して感じよう

プログラムの様子

LGBTQの当事者の方を4名をお招きし、プログラムを実施しました。性を考える4つの軸である「SOGIESC(※)」についてインプットした後、当事者4人のストーリーを紡ぎ出し、小説に仕立てて、それを基に登壇者と生徒が交わりながら対話をしました。

▼生徒の様子
自分自身の学校生活や実体験に基づいた話をシェアしていました。LGBTQの当事者の友だちが身近にいたら、どう理解するかといった関係性について深く考えている様子が見て取れました。また、「自分の親だったら」「先生だったら」など一歩踏み込んで思考し、より理解を深めていました。

生徒たちは、「LGBTQというくくりは物事を理解する段階では必要だが、それよりもずっと大事なことは目の前の人と向き合うことである」と実感しているようでした。また、多様性という一言では表しきれない人間の豊かさを目の当たりにすることで、視野の広がりを得たようです。

※「性的指向/Sexual Orientation」「性自認/Gender Identity」「性表現/Gender Expression」「身体的性/Sex Characteristics」のこと

⑤サステイナブルな農業体験

プログラムの様子

自分の興味関心から学生起業したOrgaNect合同会社の島袋優さんと福原海里さんを招き、活動への思いを伺いました。生徒たちは、島袋さんと福原さんとともにオーガニック栽培を行う農家さんと対話し、実際に「採って食べる」サステイナブルな農業を体感しました。 「土を耕す」「種を蒔く」「収穫する」といった、一年の流れを一日で体感して、そこで得た気づきの中から、自らのアイデアで農業の可能性を探究していきました。

▼生徒の様子
生徒たちが普段あまり触れることのない農業。土を耕すのも初めての生徒が多い中、夢中になって取り組んでいました。聞いたことのない果物から普段食べる野菜まで多種多様な植物が植えてある農園で、一つ一つの種の説明に興味深くうなずく様子が見られました。芋を掘ったりBBQをしたりする体験の中で、生徒たちは学校を超えた交流も果たしていました。 土を耕し、苗を植え、収穫するという一連の流れの中で農業の新たな可能性を感じている様子が見て取れました。また、収穫した食物だけでなく、廃棄される食物にも役割があることを知り、捨てられるのの活用方法を積極的に探究。「農業で地域経済を回せないか」といったエコシステムに目を向ける生徒もいました。

新しいことに触れる新鮮さを生徒自身が肌で感じながら、これまでにない気づきを得られたようです。学校の垣根を超えて、探究というテーマで互いに議論し合いながら、アイデアを出している様子に、学びの可能性を感じました。

⑥在沖米軍人との対話の時間

プログラムの様子

沖縄に置かれた米軍基地を取り上げる対話の時間を設けました。メディアや大人は「基地問題」について話しをするものの、生徒たちにとっては「基地」と「問題」が必ずしも結びついていないことが探究の授業でのコメントから見えてきました。そんな彼らが強い興味を持っているのが、「実際に基地内で働いている人の声」です。リアルな声を聞くことで、「基地」についての理解を深めていく。そんな思いから生まれたプログラムです。

▼生徒の様子
事前に実施したアンケートには多くの質問が寄せられ、生徒たちの参加意欲の高さが見て取れました。当日も「日本のどのようなところが好きか」や「オスプレイの反対運動についてどう思うか」など、幅広い内容の質問が飛び交っていました。グループでの質疑応答でも生徒たちが積極的に参加する様子が見られ、会の終了後に質問に来る子もいました。

物事が多面的であること、多面的であるからこそ一つ一つの側面について情報を得ることが大切であることを知り、メディアや身近な人に聞く情報だけが全てではないことを体験的に学んでいました。また、情報を得るためには自ら動き、その場を訪れて、当事者から話を聞くことの大切さも理解したようです。

⑦スパルタンレーストレーニング&ヴィーガンランチ

プログラムの様子

ヴィーガンアスリートの宮島萌さんに話を聞き、その背景や経歴を理解しました。そして、トレーニングをしたりヴィーガン食のランチ会を体験したりする中で、環境にやさしい身近なアクションとは何かについて考えました。

▼生徒の様子
スポーツ経験者やスパルタンレース、ヴィーガンに興味のある生徒が参加しました。宮島さんがヴィーガンという生き方を選択した背景やスポーツパフォーマンスの変化について話を聞く中で、生徒たちは多様な視点を得たようです。スパルタンレーストレーニングでは、アップからみんなで声をかけ合い、楽しく取り組んでいました。メインのトレーニングは「自分の体と対話しながら追い込む」ことをテーマにそれぞれのペースで負荷をかけていきました。汗をかきながら、充実した様子が見られました。ランチには、マイ箸とマイスプーンを持参し、”ごみゼロ”を意識。生徒全員、ヴィーガン食は初めてでしたが「色彩が鮮やか!」「思ったよりも食べ応えがある」とたくさんの感想を伝えてくれました。

おわりに

授業内ではできないような体験や人との交流を通じて、生徒たちのいろいろな表情を見ることができました。授業で取り組む「マイプロジェクト」に活かしてもらえると嬉しいです!

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