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[要旨]

会社の事業は、経営者や従業員のスキルだけでは、拡大に限界があるので、経営者の方は、商品が売れる仕組みづくりに注力することが必要です。


[本文]

楽天大学学長の仲山進也さんの著書、「楽天大学学長が教える『ビジネス頭』の磨き方」の中に、「砂山の法則」というものが書かれていました。砂山の法則とは、砂山を高くしようとするとき、砂山のすそ野が狭いままだと、一時的に頂上を高くすることはできても、不安定ですぐに崩れてしまうが、時間をかけてすそ野を広げれば、崩れずに高い山にすることができる。

このような現象は、ビジネスにもあてはまり、すそ野の狭いまま砂を積み上げようとすることは、なんとか商品を買ってもらおうとするセールス強化であり、すそ野を広げようとすることは、商品の価値を見直して、より大きな価値を提供しようとする、価値創造である、というものです。

これは、ビジネスは一朝一夕では成功させることはできないということであり、多くの方も容易に理解されると思います。その一方で、無理をして、短期間で成果を得ることを望む経営者の方は少なくなく、この砂山の法則から、学ぶべきことは多いと、私は考えています。その学ぶべきことのうち、最も重要なことのひとつは、経営者の方の基本的役割は、砂山のすそ野を広げる活動を担うことであると、私は考えています。

例えば、会社に勤務していた時、営業マンとしての経験が長く、独立してからは、そのキャリアを活かせると考えていた人がいたとします。しかし、独立後は、社長の営業スキルで、ある程度までは売上を増やすことができても、前述の仲山さんの例のように、砂山のすそ野が狭いままでは、売上を増やすことにも限界が来ます。ですから、やがて、経営者は、砂山のすそ野を広げる活動に軸足を移さなければなりません。

ただ、砂山のすそ野の広げ方を知っている経営者の方は、数としては少なくありませんが、割合としては少ないと、私は考えています。その砂山のすそ野を広げる活動とは、個人スキルに頼らない売れる仕組みづくり(仲山さんの例では価値創造)や、組織の能力開発などです。そこで、事業を拡大しようと考えている経営者の方は、販売スキルを磨くと同時に、砂山のすそ野を広げる活動を学び、軸足を移していくことが求められます。

では、砂山のすそ野を広げる活動を遂行するには、どうすればよいのかということについては、別の機会に述べるとして、経営者としての本来の役割は、その砂山のすそ野を広げる活動であるということを認識することが大切だと、私は考えています。事業拡大とは、売上を増やすことのように受け止められますが、本当は、仕組みづくりが先で、それができるから、売上を増やすこともできるのです。

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