六角明雄(中小企業診断士・経営コンサルタント・ビジネス書作家)

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家です。 最新刊は「図解で…

六角明雄(中小企業診断士・経営コンサルタント・ビジネス書作家)

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家です。 最新刊は「図解でわかる経営の基本いちばん最初に読む本」( http://amzn.to/2lu3fU4 )。 地方銀行出身で、資金調達支援を中心に、BSCの導入支援、セミナー講師などをしています。

最近の記事

大局観を持つことが会社を発展させる

[要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、陽明学には物事を考え、正しい判断をするためには、多面的に、長期的な視点で、根本に戻って考えるという教えである「多長根」という考え方があり、これは大局観を持つということでもあるということです。そして、経営者がこの大局観を持つことは、より的確な経営判断ができるようになり、長期的な会社の発展につながるということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将

    • 原理原則とは大八車の舵である

      [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、事業活動は組織的活動であり、うまく行くときは大きなリターンがあるものの、失敗したときは損失も大きくなるので、会社経営において舵取りは重要となります。ただ、経営にはこうすれば会社は絶対によくなるという「絶対」はないものの、こうすれば会社がよくなり成功する確率が高まるという規範はあるので、迷ったときには原理原則に還り、それに従うことが失敗を避けることになるということです。 [本文] 今回も、前回に引

      • 上司が部下に関心をもって評価する

        [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、人事評価システムで肝要なことは、評価基準が公正であること、その基準が全社に公開され、透明性が高く、上司と部下で共有されていることだそうです。また、新さん自身も、かつて、上司から、半年前と比べてどれくらい伸びたか、1年前と比べてどうなったかと、自分の評価を聞いたとき、上司が丁寧に自分を見てくれていたことに感動したことから、新さんが上司になってからは、定量面だけでなく、部下を定性面でも評価することに努め

        • 上と下の論『理』を双方に通す『管』

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、経営者の考え(現場にやって欲しいこと)と、現場の思い(現場のやりたいこと)とはすれ違うものですが、このすれ違いは健全な議論を経ることで埋めることができるそうです。そこで、ミドルマネジメント層が、部下と同じ目線で困難な目標に共感し、上位者の視点でその困難にチャレンジする意義を、部下に熱く伝えて上下の意思疎通を図る役割を果たすことが重要だということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン

          山を動かすのはブルドーザーである

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、ドラッカーが、「意図で山は動かない、山を動かすのはブルドーザーである」という例え話で示しているように、理念や目標だけでは、組織(山)を動かすことはできず、そのためには戦略(ブルドーザー)も必要になるということです。すなわち、理念(目的)はあっても、目標や戦略・戦術のない企業は、いわゆる理念倒れとなりますが、反対に、目標あって理念なしでは、その目標はノルマと化す恐れが強いので、経営理念も重要であること

          下を知るのは3年で上を知るのは3日

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、部下のスキル不足に嘆く管理者が多いものの、管理者自身のスキルを省みる人は少ないということです。すなわち、部下のスキル不足や、リーダシップの無さを嘆く前に、自分が身をもって範を示すことが管理者に求められているということです。したがって、管理者は部下に求めるスキルについて、『まず隗よりはじめよ』の考え方で、自らロールモデルを示さなければならないそうです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン

          馬車を10台並べても汽車にはならない

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、現在は、過去の成功体験を、明日以降の事業活動に活かすことができない時代であり、そのような中で事業活動を奏功させるためには、現状を肯定する前提での「改善」では不十分なので、現状の否定を前提とする「革新」を起こしながら経営に臨む必要があるということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんのご著書、「伝説のプロ経営者が教える30歳からのリーダー

          後継者の条件は1つ上の視点を持つこと

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、新さんがJ&Jの社長時代に、優秀な部長を後継者にしようと考え、役員に引き上げたものの、その部下は、他人の欠点ばかりに目が向いてしまい、認めることができなかったことから、自分も他人から認められず、数年で辞めてしまったそうです。この経験から、新さんは、後継者候補には、部長は社長の視点と持つというような、1つ上の視点を持つことが欠かせないと考えるようになったそうです。 [本文] 今回も、前回に引き続き

          『業績+人財育成』が社長のミッション

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、同社の社長に就任するとき、当時のアメリカ総本社CEOジェームズ・バーク氏から、「君が社長職をまっとうしたとき、どんなに業績を伸ばしたとしても50点であり、在任中に後継者を育て上げなくて100点にならない」と言われたそうです。なぜなら、業績と人財育成の両面で評価するのは、アメリカのエクセレトカンパニーに共通する特徴であり、企業は“Going Concern”(継続的組織体)だからだということです。

          権限委譲は人を育てるために行うもの

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、紀元前3世紀の中国で、秦の滅亡後に、項羽と劉邦は派遣を争いましたが、このうち項羽は、武将として抜群の実力を持っていたものの、独断専行型で重臣の意見に耳を貸さなかった一方、劉邦は武将としての力量は項羽と比較して少ないながらも、臣下の優れた者を篤く任用し任せ切った結果、多くの臣下の力を存分に発揮させた劉邦が、最後に勝者となり漢帝国を打ち建てたそうです。このように、権限委譲は人財を育成する上でも、企業を発

          命令では人の心を動かすことはできない

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、会社からマネジャーという肩書をもらったとたん、自分が偉くなったと思い込む人が多い一方で、「人は論理によって説得され、感情によって動く」ので、命令で人の身体を動かすことはできても、人の心を動かすことはできないことから、マネジャーの立場になったら、与えられた権力だけでは不十分であることをまず認識し、権力を支える人間力というプラットフォームを築くことが求められるということです。 [本文] 今回も、前回

          リーダーの条件はフォロワーがいること

          [要旨] ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんによれば、リーダーとは、管理職という地位に就くことで自動的になれるわけではなく、その人が持つ実力、人間力、権威によって決まるものであることから、真のリーダーになるためには、内面的な魅力を高めるようにしなければならないということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんのご著書、「伝説のプロ経営者が教える30歳からのリーダーの教科書」を読んで、私が気づ

          耳は大きく開き口は言葉少なく控えめに

          [要旨] シェル石油や日本コカ・コーラなどで要職をお務めになられた新将命さんによれば、会社経営者の中には、ついつい、慢心してしまい、自分をエライ人間だと思い込んでしまう人もいますが、その結果、その思い込みが倣慢にまで増幅してしまうと、業績に悪い影響を与えることになるので、それを防ぐには、第三者の批評に謙虚に積極的に耳を傾けることを心がけなければならないということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人元社長の新将命さんのご著書、「

          春風を以て人に接し秋霜を以て自ら粛む

          [要旨] シェル石油や日本コカ・コーラなどで要職をお務めになられた新将命さんによれば、人は自分で自分を評価するときには2割以上のインフレで、他人を評価するときには2割以上のデフレで評価すると言われており、2割増しの自己評価は思い上がりという勘違いを生み、自分が思うほどには評価されていない現実とのギャップに悩むことになるので、自分の能力は自分ではなく他人が決めるものと考えることが望ましいということです。 [本文] 今回も、前回に引き続き、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本

          デキル人とデキタ人の二重構造が重要

          [要旨] シェル石油や日本コカ・コーラなどで要職をお務めになられた新将命さんによれば、新さんは、かつては、自分がデキルリーダーであると勘違いし、部下の反発を受けたことがあり、リーダーにはビジネススキルだけでなく、高い人間性も求められということを悟ったそうです。すなわち、リーダーはビジネススキルと人間性の両方を備える二重構造の人でなければならないということです。 [本文] シェル石油(現、昭和シェル石油)、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップなどで

          過去の成功体験は経営判断を歪める

          [要旨] コンサルタントの徳谷智史さんによれば、かつてご支援した会社で、社長の肝煎りのプロダクトが、最初は好調に売れたものの、その後、売れ行きが下がってしまったことがあったそうです。これは、当初、プロダクトを購入した顧客は、社長の「顔」で購入したものの、プロダクトそのものを評価したわけではなかったからだそうです。しかし、社長は過去の成功体験に引っ張られ、誤った経営判断をしてしまったので、もっと冷静になって、客観的な判断ができるようにしなければならないということです。 [本