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うーん勿体無い~「リトル・ミス・サンシャイン」

「勝ち組」「負け組」という言葉はもはや定着してしまった感がある。むろん、社会の中の競争というのは昔からあることではあるが、最近はとみにこの面ばかりが強調されてはいないか、それにより息苦しい社会になってはいないか、そんな思いを抱える人も少なくないだろう。
そういう社会の中で、ある種のメッセージを投げかける映画が今回の作品と言えまいか。2006年公開「リトル・ミス・サンシャイン」

この作品はとても評判がよい。良すぎるくらいだ。
まあ良いからこそ観てみようという気になったのだが、自分の鑑賞後の感想はちょっと違ったものであった。

悪くはない。面白くもある。
ただ正直言って、鼻につきすぎるのだ。

家族はみな、自分たちの思い描いていた生き方から外れてしまった人間ばかり。それでも最後には家族の絆を確認して、めでたしめでたし。
って、ちょっと都合が良くないだろうか。
本作のタイトルである「リトル・ミス・サンシャイン」とは美少女コンテストのこと。これだけでもなかなか露悪的なモチーフである。そこであえてセクシュアルなダンスをさせてブーイングをする”善良な市民”の狭量さを煽るような見せ方にも辟易する。自分が親ならそんなことを子供にはさせたくないのは当たり前ではないか。

自分には、ここの登場人物はみな”やりたいようにやりたい”だけにしか見えなかった。それでうまくいかなかったからといって、ふてくされたり当たり散らしたりするのだから、なんだか興醒めしてしまう。それで最後にホロリを狙うというのではまさにマッチポンプではないか。

お行儀よくヒンコーホーセーにとは言わないけれども、題材は面白いのだからメッセージ性を弱めて静かな展開にした方が、良さが際立ったかもしれないと思う。

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