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映画せんにんの記録

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映画を観て感じたことを綴った記事をまとめました
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2023年1月の記事一覧

市井の人の戦うさま~「アルジェの戦い」

市井の人の戦うさま~「アルジェの戦い」

戦争映画には数多くの名作があるが、多くは戦争を題材にしたドラマ仕立ての作品が占めている。
今回紹介する作品はそういうドラマとは少し異なる、いわゆる実録モノの作品というべきか。1966年公開「アルジェの戦い」

北アフリカのアルジェリア。ここは百年来フランスの植民地であった。
日本なんかは太平洋戦争の敗戦と同時に韓国や台湾を手放すことになったが、戦勝国であったフランスは戦後もしばらくは領地としていた

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うーん勿体無い~「リトル・ミス・サンシャイン」

うーん勿体無い~「リトル・ミス・サンシャイン」

「勝ち組」「負け組」という言葉はもはや定着してしまった感がある。むろん、社会の中の競争というのは昔からあることではあるが、最近はとみにこの面ばかりが強調されてはいないか、それにより息苦しい社会になってはいないか、そんな思いを抱える人も少なくないだろう。
そういう社会の中で、ある種のメッセージを投げかける映画が今回の作品と言えまいか。2006年公開「リトル・ミス・サンシャイン」

この作品はとても評

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”報い”の曲~「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」

”報い”の曲~「カヴァレリア・ルスティカーナ間奏曲」

前回の記事でゴッドファーザーについて触れたが、パート3のラストシーンで流れていた音楽が耳から離れないでいる。

これ、マスカーニ作曲の「カヴァレリア・ルスティカーナ」というオペラの間奏曲として使われているものである。なんか清々しいというか、荘厳で救済の光が差し込んでくるかのような印象を受ける。

この「カヴァレリア・ルスティカーナ」というオペラは、結局は男女の痴情のもつれを描いたものなのだが、この

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情けは人の為ならず~「仁義なき戦い」・「ゴッドファーザー」シリーズ

情けは人の為ならず~「仁義なき戦い」・「ゴッドファーザー」シリーズ

年末年始はいつもテーマを決めて映画を鑑賞している。去年はロード・オブ・ザ・リングシリーズ、その前はミュージカル映画、スター・ウォーズシリーズ・・・。
今年は、ヤクザ・マフィア映画ということで、「仁義なき戦い」「ゴッドファーザー」シリーズを一気見。

きっかけは12月半ばに観た「仁義なき戦い」一作目がとてもよかったこと。

ヤクザ・マフィアの世界はいろいろストレートなのである。だから助けたら助けられ

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色鮮やか!でも人間関係は案外複雑~「ロシュフォールの恋人たち」

色鮮やか!でも人間関係は案外複雑~「ロシュフォールの恋人たち」

一口にミュージカル映画と言っても、制作年代や国によってだいぶ趣が異なる。
今回は60年代フランスのミュージカル映画である。1967年公開「ロシュフォールの恋人たち」

監督のジャック・ドゥミは、この前作の「シェルブールの雨傘」もミュージカル映画を作っていて、こちらはカンヌのパルムドールを受賞している。全編歌で構成されていて、ほろ苦いエンディングだった覚えはあるのだが、観たのがだいぶ前なのであまり記

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