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映画せんにんの記録

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映画を観て感じたことを綴った記事をまとめました
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2021年6月の記事一覧

集中して観よう~「アバウト・タイム」

集中して観よう~「アバウト・タイム」

あの日をやり直すことができたら。
この願望は人類普遍的なものなのだろう。浜の真砂は尽きるとも、タイムリープものの映画は尽きることなく、定期的に作られているようだ。
今回は2013年公開の「アバウト・タイム」。

世の評判は上々のようなので、あえて気になった点をあげてみたい。

その邦題についていつから、邦題に”~について”とか”~の作り方”のような蛇足がつくようになったのだろうか。それならば思い切

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イーストウッドをも食う存在感~「ハリーの災難」「真昼の死闘」

イーストウッドをも食う存在感~「ハリーの災難」「真昼の死闘」

最近観た二本の映画、たまたまいずれにも出演していたのが、シャーリー・マクレーンだった。のちに「愛と追憶の日々」でアカデミー賞を受賞することになる彼女だが、私としては「アパートの鍵貸します」の印象が強い。
まずは、彼女のデビュー作である。1955年公開「ハリーの災難」。ヒッチコック監督の作品だ。

どの登場人物も風変わりな人ばかりである。
そのために少しずつ話がかみ合わない。いや、作中ではかみ合って

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”男女の友情”という永遠のテーゼ~「恋人たちの予感」

”男女の友情”という永遠のテーゼ~「恋人たちの予感」

1980年代というのは、社会的に男女平等を進められてきた時代だった。
日本で言えば1986年に「男女雇用機会均等法」が施行されたが、遡ると1979年に国連で採択された「女子差別撤廃条約」が基となっている。
ハリウッドもその例にもれず、俳優だけでなくスタッフにも女性が進出していった。
今でこそ珍しくない女性脚本家の作品、1989年公開の「恋人たちの予感」である。

テーマは「男女の(セックス抜きの)

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岸壁の”妻”とのん気な夫~「ユリシーズ」

岸壁の”妻”とのん気な夫~「ユリシーズ」

日本ではあまりこのようなジャンルはないのだが、海外映画には神話モノが存在するようだ。
1954年公開「ユリシーズ」だとピンときにくいかもしれないが、言いかえればオデュッセウス。英語にすればオデッセイである。

英語のオデッセイとは、長い放浪の旅のことを指す。それがいまでは自動車のブランド名にもなっているわけである。
本作はその起源の冒険譚なのであるが、トロイア戦役に勝利した知将ユリシーズがトロイア

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ベスがエイミー?~「若草物語」

ベスがエイミー?~「若草物語」

子どもの頃、シリーズアニメとして放映されていた世界名作物語。小公女とか足ながおじさんとか。
今思えば、一通り見ておけばよかったとも思うのだが、当時はそんなありがたみも分からない坊やであった。
本作もその一つ。名前は知ってはいたが、初めての視聴。
1949年公開「若草物語」。ちなみに原題は"Liitel Women"である。

Little Womenを若草物語と訳するセンスがすばらしい。今ならきっ

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子役モノは要注意である~「ベスト・キッド」

子役モノは要注意である~「ベスト・キッド」

子どもの日特集ということでテレビにて放映していたもの。
そういえばジャッキー・チェンの映画って、改めて観通したことがなかったことに気づく。名前は聞いたことがあったが、あやふやな認識のまま観始めた映画、2010年公開「ベスト・キッド」

そう、これは1984年公開の同名映画のリメイクだったのだ。
で、ジャッキーはリメイクのみに出演していた。なんだかいろいろと勘違いしていたようだ。

主演はジェイデン

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