マガジンのカバー画像

映画せんにんの記録

231
映画を観て感じたことを綴った記事をまとめました
運営しているクリエイター

2021年5月の記事一覧

初心者向け?上級者向け?~「新選組」

初心者向け?上級者向け?~「新選組」

今年の秋に、「燃えよ剣」の映画が公開されるとか。
新選組は定期的に映像化される、日本人好みのコンテンツ。
今回もその一つである作品、なかなか重みのある仕上がりであった。
1969年公開「新選組」。主演は近藤勇を演じる三船敏郎だ。

重厚長大な新選組以前、大河ドラマで三谷幸喜脚本の新選組が放映された際に、「軽い」「コメディー大河」などと批判されたことがあったのだが、それはきっとこの映画のことが念頭に

もっとみる
頭カラッポにして観よう~「オーシャンズ8」

頭カラッポにして観よう~「オーシャンズ8」

たまにはカルい映画も。
2018年公開「オーシャンズ8」

オーシャンズシリーズは初めて観たのだが、本作のようにほぼトラブルもなくすんなりと犯罪を仕上げることができるものなのだろうか。
こういうジャンルを見たいけどハラハラは苦手、という人にとっては安心して観られるという点はいいのかもしれない。

それにしても、映画全編にわたって「どう、クールでしょ?」という臭気がプンプンである。

演者の経歴を見

もっとみる
ただただ鳥、それに尽きる~「鳥」

ただただ鳥、それに尽きる~「鳥」

空を見上げると、時として鳥が群れ成して飛んでいるのを目にすることがある。そういう時、ついついこの映画を思い出してしまうのは、ある年齢以上の人だけなのだろうか。1963年公開「鳥」。

改めて本作を見ると、なかなか不思議な構成になっていると感じた。

意味深長な人間関係だが女性記者のダニエルズと弁護士ミッチ。そしてそのミッチの家族が主な登場人物なのだが、当初はそのミッチの母とダニエルズとの確執が物語

もっとみる
起承転結ではない演出なのか~「翔んだカップル」

起承転結ではない演出なのか~「翔んだカップル」

フランス、アメリカと、1980年前後の少年少女を取り上げた作品を観てきたので、今回は日本モノを。
1980年公開の「翔んだカップル」

この当時の邦画独特の陰鬱さに全編覆われている作品。
特に暗い出来事が起きているわけではないのだが暗い。作品全体を覆っている空気が静かで、どこか湿っている。

そもそも映画はせいぜい2時間程度であるから、作中で進行する時間のすべてを描き切るなんて土台無理なこと。

もっとみる
”男の子って少し悪い方がいい”という時代~「グリース」

”男の子って少し悪い方がいい”という時代~「グリース」

「ラ・ブーム」は1980年頃のフランスの学校生活を描いていたが、今度はアメリカの高校生活をテーマにしたミュージカル映画を。
これが一般的だったかどうかはわからないけれども。1978年公開の「グリース」。

ジョン・トラボルタは前作「サタデーナイト・フィーバー」で大ヒットを記録。続く本作ではダンスのみならず歌も披露し、その勢い変わらずといったところだったのだろう。
迎えるヒロインは、オリヴィア・ニュ

もっとみる
英雄譚とその後~「15時17分、パリ行き」

英雄譚とその後~「15時17分、パリ行き」

実話を基にした映画は数多く作られているが、その主役を本人にさせるという作品は他にないのではないだろうか。しかもそれが俳優ではなく一般人なのに成立させてしまうのだから、イーストウッドの手練たるや超人の域に達していると言えよう。2018年公開「15時17分、パリ行き」。

偶然乗り合わせた3人のアメリカ人青年たちによって、鉄道テロが阻止されたという2015年の実話を基にしている。

映画は、テロの場面

もっとみる
ある意味最後でどんでん返し~「追想」

ある意味最後でどんでん返し~「追想」

最近、イングリッド・バーグマンがちょっとしたマイブーム。
今回はハリウッド復帰作にして、2回目のアカデミー主演女優賞を受賞した作品、1956年公開の「追想」。

もともと戯曲「アナスタシア」を映画化したもので、「追想」の邦題はどうやら水野春郎氏がつけたものだとか。

バーグマンは、記憶喪失の皇女アナスタシアの演技が認められたのだろう。たしかに自分が何者かがわからずあてどなく彷徨する様や、自分と向き

もっとみる
元祖・1000年に一度の美少女~「ラ・ブーム」

元祖・1000年に一度の美少女~「ラ・ブーム」

1000年に一度の美少女、と形容されている女性芸能人は何人かいるが、その元祖はソフィー・マルソーなのではないだろうか。
そのデビュー作が、1980年公開の「ラ・ブーム」

ラ・ブームとは、自宅で行うパーティのこと。
フランス人はこのような大掛かりなパーティを開催していたのかと思うと、頭が下がる思いである。ちょっとしたプロムみたいなものである。
そこを舞台に、誰と誰が付き合うとか誰が好きだとか、キャ

もっとみる