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社長の頭のなか (PART3 ビジョンの作り方) ~文言自体が、おのずから光を放つことはない〜

前回は、ミッションについて書きました。そして何よりも、ここまで読んでくれたことに、まずは感謝をしたいと思います。ただ、ここから読んでも、理解しにくいので「パート1から読んでね!」というメッセージを込めての感謝でございます、、、。

ナンセ、もうこの時点で1万字まであと少しといった状況です。これまた、紙媒体の編集をしていた者として、文字数の制限を考えずに自分の頭の中を書き起こすという作業だけに集中してきたことを少しだけ後悔をしています。

こんにちは! RIDE MEDIA&DESIGN代表の酒井です。

今回は最終回となります。
企業理念(パート1) → ミッション(パート2)ときて、ビジョン&クリエィティブマインドです。

まずは、前回、説明した「個のクリエイティブの力で 人や社会にウエルネスを」というミッションを実現するために僕らは「どうあるべき?」「どうありたい?」という部分にあたるビジョンについてから始めたいと思います。ただ、こちらは絶賛、策定中なので目的やプロセスを説明させてください。

新しく策定するビジョンは、各事業部(プロジェクト)ごとに設置することにしました。

目的は、2つあります。

1つ目は、
『理念』、『ミッション』を受けて、各事業部(プロジェクト)が『どうありたかいか?』を明確にすること。

2つ目は、
各々のメンバーがその『ミッション』に納得し、実現へ向けた『戦術』を理解すること。

「理念」や「ミッション」が、事業や個人にとって、乖離しないためにこの目的を押さえておくことが大事だと考えています。

策定において、大事なことが僕は2点あると考えています。それは「社会との接点」と「どうありたいか」を意識できるかというところです。

「社会との接点」とは、まず理念通り「世界を開いているのは自分である」という世界観に立脚することが出発点です。だからビジョンを、社会に合わせるということが「接点を意識する」ことではないと考えています。有形無形を問わず、既存しないモノと社会の接点を生むことを意識することが大事だと思っています。人からも社会からも賛同され、応援されるような内容や志を大事にしてビジョンを作ることが大事だということです。

そして、「どうありたいか?」というシンプルかつ根幹となる部分では、個人のキャリアといった多様性な内容ではなく、事業(プロジェクト)として「どうありたいか?」を意識するべきだと思っています。個人のため会社のためではなく、あくまでも事業が発展することを念頭に置くべきなのです。その発展により個人も他者も、会社も社会も、ひいては世界にも思いを馳せることができるという前提の元でビジョンを捉えることが大切なのです。


やりたい事だけを前面に出す表層的な志向の限界

ここで個人的な体験なのですが、僕が個人のキャリアだけでなく、事業として「社会の接点」、「どうありたいか」を見出せた事を書かせてください。

僕は、RIDEの仕事で過去にギャルママ雑誌を立ち上げたことがあります。とても大変なプロジェクトでしたが、紙媒体を立ち上げ、ママモデルのマネージメントを連動させ、ママたちの書くブログで収益も出せたし、企業や代理店と手を組みイベント事業も行いました。反響は、TVCMやTV番組の出演まで拡がり社会的なインパクトもあり、事業としても成功をおさめました。まさしく、社会のニーズに合わせて生まれた結果ではなく、今までになかったマーケットを生み出し、新しい価値観を世間に知ってもらえた出来事でした。「社会の接点」を見出せたのです。

ただ、ここで言いたいのは、社会的に偏見の目にあった「ギャルママ」という彼女たちの心に徹底的に寄り添ったことです。もちろん「既存の制作業務だけに囚われずRIDEらしいクリエイティブを発揮した事業モデル」ということも特筆すべきところだと思います。

当時、僕は少し葛藤をしていました。自分の作りたい雑誌を優先するのか?いや、ビジネス的に売れる雑誌に携わるかです。編集者としてプレイヤーでもありましたが、RIDEの経営を担っていた訳ですから、プロジェクトとして成功をさせないといけないことが最重要だったにも関わらずです。

マーケティング的にパパ雑誌を作るより、レッドオーシャンであっても細分化されたママ雑誌を出す方が、ビジネス的に勝算があると踏んではいましたが、正直にいうと売れなくてもパパ雑誌を作りたかっという本音があったのです。

なので諦めきれず、実は2社ほど企画を持ち込みました。いずれの出版社の担当者は「企画は面白いし広告が入りそうだけど、そんな読者になりそうなパパって酒井くんの周りくらいだけだよ!」みたいなリアルなアドバイスでした。まあ、その通りです。(ベビーカーをスニーカーと捉えるようなモノ寄りな企画を考えていた記憶です。寒っ!)

当時、僕は子供が生まれたばかりで、子育ての大変さを身近に感じ、母親の凄さを目の当たりにしていました。パパ雑誌は作りたかったけど育児雑誌を立ち上げることに個人的にはワクワクしていました。なのでギャルママというスタイルのママたちとは接点はありませんでしたが、子を持つ親としての共通性はあったので最終的には、ママ雑誌の立ち上げを真剣に考えるようになりました。

そんな中、決定的にこの人たちと一緒にやろう!と思った出来事がありました。それは、雑誌を出す前に数人のギャルママたちと座談会をした時のことです。まずは、話をしてみると料理に対しては節約ありきで見た目もこだわる価値観を持ち、美容やファッションも独身時代のように楽しみたいから服の着回し術を研究し、安いお店の情報収集をし、いまの自分を楽しんでいたのです。超リアルで合理的だけど遊びも心も忘れず、なんてクリエイティビィティ溢れる人たちで、カウンターカルチャー的にもカッコイイ!と思ったのが第一印象でした。

ただ、そんなポジティブで前向きなギャルママたちも、子育ての悩みを共有するママ友がいないことに孤独感を覚え、見た目で判断されてママ友の仲間に入れてもらえないという惨めな気持ちを抱いていました。また、電車やレストランをはじめ児童館施設などでの視線が冷たいとか、社会との繋がりの少なさや自分たちの価値観を理解されないことなど、たくさんの悩みを抱えていたのです。だから、彼女たちは自分たちの価値を示せる「ギャルママ雑誌が出るなんて夢のよう!」と言ってくれ、「読者モデルになりたい!」とか「アンケートを手伝いますよ!」とか、ものすごく積極的に話をしてくれたのです。

この時、この人たちと心中をしてでも絶対に面白い雑誌を作ろうと思えたし、やっていくうちにママたちが自立できるような経済基盤を作れないか?とか、読者モデルという輝く場所で自信を取り戻してほしい!とか、彼女たちの心を揺さぶる企画をたくさん考えるようになりました。最終的には、日本財団で育児で悩む若いママ向けのセミナーなどにギャルママたちは呼ばれたり、最近ではRIDEでマネージメントをしていたママが書籍を出すまでになりました。

マイノリティな彼女たちの心の声を代弁しよう!といった正義感があった訳ではないのですが、僕の経験や衝動を信じて、彼女たちの心に響くことを考えた結果、社会に対してインパクトあるクリエイティブ生み出すことができた経験は、いまでも仕事をする上での使命感というか仕事の意義としての一つの拠り所となっています。

この時、初めて「どうありたいか?」を自分のやりたい事だけを前面に出す表層的な志向でなく、事業としてプロジェクトとして落とし込むことができたのです。「自分のスキルや経験を通して、人に寄り添ったクリエイティブをしたい!」と思えたのです。

それは、自社サービスのhacconiwaを立ち上げた時も同じような気持ちで携わっていました。(この話も失敗も成功も反省も喜びも含めていっぱいあるので、またの機会に!)


ここまで、赤裸々に僕の頭の中というか心の中まで書いたのは初めてで、振り返ると1万2000字以上のボリュームになっていました汗。

だけど、あともう少しだけ、お付き合いください。


無条件にキラキラと輝くものを作ろうとしていた間違い

では最後に、クリエイティブマインドについて書かせてください。

「クリエイティブマインド」は、「日々、どういう価値観で業務に臨むか?」という視点でまとめていこう!というのが出発点でした。そしてもう一つ、「禁則的な内容はやめようという!」事だけを、ボードメンバーには伝えました。そこからは、僕自身も手探りでやっていこうと決め、最終的には会社の代表という立場にたち、編集作業という工程を経て形にしようという心づもりでいました。

まずは、みんなで思いつく「理想の行動指針」を書き出す作業を始めました。これは、僕を入れたボードメンバーの経営陣5人で対話というよりワークショプ的に、とにかく思いついた行動指針を付箋に書き出す作業をやってみることにしました。いわゆる「発散」というやつです。会議の終盤で、もうすでに6時間くらいは時間が経っている中での最後のアジェンダでした。

さすがに、みんな疲れている様子でしたが、付箋に書き出し初め、10分足らずでみんなの気持ちが上がってる空気を僕は感じ取ることができたのです!「あれも入れよう!」「あの言葉って何でしたっけ?」「これって当たり前すぎますかね〜?」「この指針ってどういう時に確認します?」とか、勝手に対話は始まり、同時にみんなの手が動いている。

その場では言わなかったのですが、僕は心の中でとても充実した気持ちになり、このメンバーならブレない指針を見出せるし、難航しているビジョンやミッションも絶対いいものができる!と思い始めました。

2週間後、前回あがった30以上の行動指針をどうまとめるか?という会議を行いました。その会議は、僕らの凝り固まった思考をほぐしてもらい、客観的な意見や僕らの意見に対しての壁打ち役として、編集家・松永さんに外部ブレーンとして参加をしてもらっていました。そこで、この30個以上の行動指針を見てもらいながら対話し、みんなで「なりたい自分、なりたいRIDE」を想定してアクションを考える時間がとても充実して良い時間だった伝えたところ「RIDEメンバー全員から募ってみるのがいいのではないか?」という意見を頂いたのです。

「あっ!それ良い!」と思ったと同時に声が出ていました!もちろん、他のメンバーも「確かに!」という反応、集め方などの細かいところは、いろいろと意見は出ましたが、あの時、感じた心地よい時間、みんなで「なりたい未来像」を考えた時間は、一人ひとり、特別な時間だったことを僕らは、改めて認識したのです。さらに、僕らはクリエイティブカンパニーであるのだから、RIDE らしいクリエイティブが生まれるための内容に特化しよう!というところもすんなりと決まり、困った時や迷った時に使ってほしいとか、伝達方法から使用方法までが見えてきたのです。

まさに、「行動指針」改め、「RIDEのクリエイティブマインド」という言葉がぴったりな内容です。決して禁則的な内容ではなく、クリエイティブを担保するようなルールでもなく、みんなが自信を持ってクリエイティブをアウトプットできることを目的としたものです。僕らのプライドの塊でもあります。

そこからは、早く、その会議の週末にはリーダー層に相談をし、1週間後にはメンバー全員へアナウンスを行っていました。

そこで生まれたクリエイティブマインドは、

関わる人が満足しているか?(対話)
生き様は表現できているか?(体験)
本当に価値があるか?(納得)

の3つが誕生しました。

リーダー陣を集めて、初のオンラインワークショップでこの3つに決定し、編集作業となる策定にもたくさんのエピソードがありました。その話は、また、別の機会にまとめます!


そして最後の最後に、、、

改めて、、、
「ミッションやビジョンとは太陽ではなく月のような存在」という言葉が身にしみました。この言葉は、論語と算盤と私という本の中の一説です。

僕は、この数ヶ月間、、、、
太陽のようなキラキラと輝くものを作ろうとしていたようです。それは、言葉の強さ、すなわちインパクトなどを求めた「言葉遊び」に似た行為です。結局、文言自体が、おのずから光を放つことはないんですね。

この一見、CIを体現する無機質な言葉を、まずは、僕がこんな思いで作ったよ!と赤裸々に語り、理念やミッションにちゃんと光を当てることが大事だったのです。気づくのにここまで時間が掛かりました。役員陣のみなさん!メンバーのみなさん、ほんとにお待たせしました。

そして、これからは、これらを受け止めてくれるメンバーと共に、よりビジョンやミッションを輝かせたいと思いました。RIDEのクリエイティブマインドという言霊も醸成させたいです!

きっと、お取引先やRIDEに興味を持ってくれている方々にも僕らの覚悟は伝わるはずなのです。


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