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業界レポート 織物・衣服・身の回り品小売業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「織物・衣服・身の回り品小売業」を取り上げたいと思います♪

業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

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※2021年2月公開「業界レポート 織物・衣服・身の回り品小売業」

(1)市場概要

① 営業種目
‣呉服・服地・寝具小売業男子服小売業婦人・子供服小売業
‣靴・履物小売業その他の織物・衣服・身の回り品小売業

② 業界規模
総売上高:16 兆 5 5789 億円
上場企業数:26 社
非上場企業数:35 728 社

③ 業界サマリー
織物・衣服・身の回り品小売業は、「呉服・服地・寝具小売業」、「男子服小売業」、「婦人・子供服小売業」、「靴・履物小売業」などがあり、 男子 ・婦人・子供服等の小売業とその他に大別される。

(業界としての特徴)
‣需要が季節や天候に左右されやすい業界である。
‣業界の販売規模は、 男子・婦人・子供服等の小売業で、全体の 65 %を占めている。
‣消費者の低価格志向が進展している。
‣販売チャネルとしては、従来は店舗販売が主流であったが、近年はインターネット販売( EC )が順調に拡大している。
‣近年、家計での衣服および履物への支出は近年回復傾向も相対的に減少 にある。

(2)ビジネスモデル

織物・衣服・身の回り品小売業の流通経路は、取扱品目が多様なため、品目ごとに異なっているが、一般的には、製造→卸売→小売→消費の経路をとる。繊維製品の流通は、企画・開発力のあるアパレルメーカーをチャネルリーダーとしたサプライチェーンマネジメント(SCM)により、各流通段階の情報化が促進され、効率化が進んでいる。

一般的に、小売店の仕入方法としては、一般的な買取仕入と、小売店側で在庫リスクを抱えない委託仕入や消化仕入の2つに大別される。専門店・量販店は、買取仕入が主流であり、百貨店・直営店は、委託仕入や消化仕入が大半である。

買取仕入は、小売店が買取りで仕入れるものであり、残った在庫は小売店が処分しなければならない在庫リスクが発生する。

従来、中小規模専門店では、シーズン初めに十分な粗利益を確保した売価設定をしつつ、シーズン後半からはセールで売り切ることで、在庫リスクを回避する仕組みを有していた。

一方、委託仕入は、卸値は高いが、メーカーが返品リスクを全面的に背負っているため、小売店の在庫リスクはない。消化仕入は、小売店での売上計上と同時に、仕入を計上する形態であり、百貨店等のように多種多様に品揃えする必要がある場合に有用な仕入形態である。

近年、成長している製造小売業(SPA:speciality store retailer of private label apparelの略)では、商品の企画から販売まで直結した情報システムを構築することで、より消費者に近い立場で売れ筋商品の販売を行えるようになっている。

また、インターネット販売(EC)により、無店舗で直接消費者に販売するケースも増加している。

(3)業界動向

織物・衣服・身の回り品の小売市場規模は、1990年代には約15兆円であったが、その後、円高による海外からの低価格商品の流入等により、2000年代には10兆円台まで縮小した。

2008年のリーマンショックを契機に、海外からH&MやZARA等のファストファッションの流入が加速する一方、海外のファストファッションに対抗して、国内でもGUなどのバリュー型SPAが伸長し、近年の景気回復を背景に市場規模は11兆円前後を維持している。

ファストファッションの台頭に伴う低価格化により、中小規模専門店において、従来のビジネスモデルを維持できなくなり、学校や自治体、大手企業等の大口固定客を有していない企業においては、厳しい経営を余儀なくされる傾向にある。

販売チャネル別には、SPAに代表されるチェーン専門店やインターネット販売(EC)は着実に市場規模を拡大しており、新型コロナウイルスの影響によ って、今後、インターネット販売(EC)のさらなる拡大が見込まれる一方、百貨店や量販店などの店舗小売店は厳しい状況が続くことが予想される。

(4)財務指標分析

(安全性分析)

織物・衣服・身の回り品小売業は、小売業全体と比べて、借入依存度が高い業種であるといえる。この業種は、店舗イメージが消費者への大きな訴求ポイントとなるため、店舗の内装や、什器類、照明、音響等に常に配慮することが重要であり、定期的な店舗改装やリニューアルを行うための設備資金を要することが要因と推察される。

(収益性分析)

小売業全体と比べて、売上高総利益率が高く、また、売上高販売管理費比率も高い傾向にある。流行性の高いアパレル商品を消費者に販売するためには、他の小売業以上に接客要員が必要となるため、人件費の割合が高くなり、売上高に占める販売費および一般管理費の割合が高い要因となっている。また、商品が流行に敏感でライフサイクルが早いため売れ残り商品の在庫を処分するために値下げ販売が行われているが、値下げ幅が大きいと収益の圧迫につながる。織物・衣服・身の回り品小売業では、小売業全体と比べて売上高営業利益率が高いことから、売上高販売管理費を売上高総利益の範囲内でしっかりとコントロールできていることがわかる。

(効率性分析)

小売業全体と比べて、棚卸資産回転期間が長期化する傾向にある。消費者の趣向に合わせて多種多様な商品を品揃えする必要がある一方で、季節や天候によって需要が変動するため、在庫期間が長期化しやすい傾向があると考えられる。

(5)与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。織物・衣服・身の回り品小売業に対して発生する与信取引としては、商品の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。

買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。織物・衣服・身の回り品小売業に対する平均的な与信金額月間の取引金額 × 0.8 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(46.1%)と買掛債務回転期間(0.8か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額売上高 / 月商 ] × 1 0.4 61 原価率 ] × 0.8 (か月買掛債務回転期間 ]売上高 × 0.03 6
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.036[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=1.08億円)

(6)与信管理のポイント

織物・衣服・身の回り品小売業は、取扱商品が多岐にわたることから、商品特徴を把握することが重要である。

季節要因や気候条件に需要が左右されやすいことから、商品の販売期間が変化しやすく、販売動向は商品の品揃えにも影響を受けやすいため、消費などの環境の変化にいち早く対応することがポイントである。

販売チャネルごとに、取引形態と条件についての確認は必要である。前述のとおり、百貨店は委託仕入もしくは消化仕入が主流であることから、在庫リスクは少ない。

量販店や専門店については、買取仕入が主流であることから、売れ残り商品がある場合には、その処分次第で収益への影響が発生する。

予め、売れ残り商品分の値下げ販売を見込んだ価格設定を行うのが通常であるが、見込みが甘い場合には販売不振や赤字販売による業績悪化につながるので、注意が必要である。

季節によって資金需要が生じやすい業界であり、借入依存度は高い。シーズン前の仕入資金、従業員の賞与資金、決算資金などに資金需要が発生する。金融機関との関係が良好か、借入余力があるかについても、確認しておきたい。

棚卸資産の計上が多額になっていないかも確認が必要である。棚卸資産回転期間は、一般的に1か月以内が望ましく、3か月以上の場合には不良在庫の可能性もあるので注意が必要である。

支払いは末締め翌月現金払いが多く、販売は店頭での現金またはクレジットカード決済なので、基本的には回収が先行するものの、買取仕入の場合には、売れ残りによる過剰在庫が発生すると、現金化できず、資金繰りの悪化につながる可能性がある。

織物・衣服・身の回り品小売業は、飲食業や宿泊業と同様に、新型コロナウイルスの影響による倒産が多い業種であることから、今後の動向次第で与信管理レベルを高めて対応する 検討が必要となる。

【参考資料】
中小企業庁:「平成30年中小企業実態基本調査」
総務省統計局:「平成28年経済センサス」、「令和元年家計調査」
経済産業省:「令和元年商業動態統計」「電子商取引に関する市場調査」
業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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