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 こんにちは、佐々木正人です!
今回は化学工業について学んでいってみましょう( ´艸`)
是非、最後まで読んで持って帰って下さい!!
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まずは、業界全体の市場規模を見ましょう。

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(1)市場概要

① 営業種目
‣ 化学肥料製造業 ‣ 医薬品製造業
‣ 無機化学工業製品製造業 ‣ その他の化学工業
‣ 有機化学工業製品製造業 ‣ 化粧品・歯磨・その他の化粧用調整品製造業
‣ 油脂加工製品・石けん・合成洗剤・界面活性剤・塗料製造業

② 業界規模
86 兆9,248 億円
上場企業数 185 社
非上場企業数 13,659 社

③ 業界サマリー
化学工業は、石油や天然ガスなどの原料に化学反応を加えて、より価値の高い素材や製品を製造する業界です。

化学工業製品は、主に基礎材料、中間材料、最終製品に分けられており、基礎材料が中間材料に加工され、さらに最終製品となります。化学工業製品の出荷額構成比としては、最終製品が全体の約5割を占めています。

化学工業製品別の業種は以下の通りです。
基礎材料 : 石炭乾溜工業、電解・電炉工業、ナフサ分解工業など
中間材料 : アンモニア合成工業、ソーダ工業、石油系合成化学工業、硫酸工業など
最終製品 : 化学肥料工業、プラスチック・合成ゴム工業など

化学工業製品は、ナフサなどを原料として製造される、エチレン、プロピレンなどの素材、それらを化学的に加工して製造されるプラスチックや化学繊維、さらにそれらを加工して製造される自動車・電化製品・住宅素材などの部品となる部材や素材の総称です。様々な業界で利用される、裾野が広い製品であるため、他の業界との結びつきが強いです

(業界としての特徴)
‣ 製造業全体の中で、化学工業製品の出荷額は、自動車を中心とする輸送用機械器具製造業に次いで第2位の規模を誇る。
‣ 業界内での取引が多く、斯業者が最大の消費者となっている。
‣ 付加価値の高い素材や製品を製造しているため、営業利益率と経常利益率の業界平均は、製造業の中で最も高い。
‣ 売上高の7%を研究開発に充て、従業員のうち研究者数が1割を超えており、知識集約産業といえる。また、製造業全体の中で、設備投資額は第2位と、資本集約産業の一つであり、装置産業でもある。
‣ 化学工業製品においては、有機化学工業製品が全体の出荷額の4割超を占めており、大手企業では、石油化学製品の売上高が5割以上を占める。
‣ 化学工業製品は基礎製品と機能性製品に大別され、基礎製品はエチレンセンターにおいてフロー法を用いて大量生産を行い、機能性製品はバッチ法により少量多品種生産している。

(2) ビジネスモデル①

川上で基礎材料のエチレン、プロピレンなどが製造され、それらを材料として川中で中間材料のプラスチック、塗料原料、合成繊維原料などが作られます。そして、川下で中間材料を原料として自動車部材、医薬品、洗剤、化粧品などを生産しています。

川上は、巨大なプラントや工場を要するなど、資本集約型であるため、大手企業がメインとなります。

2000 年代後半から2010 年代前半における原油価格の高騰を受け、エチレン・プロピレンなどの原料となるナフサの価格も上昇、汎用品をつくる石油化学から高機能・高付加価値製品を扱う機能性化学へとシフトが進んでいます。

また、中国、中東などの低コスト化学製品の影響により、継続的な収益性の悪化が危惧されるため、高機能素材の開発に力を入れ、川上から川中へ移行する動きが継続しています。

川中では、川上で製造した基礎材料から付加価値の高い機能性素材を製造しています。BtoB 産業がメインとなり、販売先には同業者が多いです。

川下は最終製品メーカーで、自動車部品、電子材料などを製造する。大手メーカーに部品を提供する中小企業も少なくないです。また、化粧品や薬品などを製造するBtoC 企業も多いです。

(2) ビジネスモデル②

川上、川中、川下企業の特徴は下表の通りです。

国内の大手川上企業は川中、川下も一貫して手掛けるため、一般的に総合化学メーカーと呼ばれます。原料を輸入に頼っていることから、業績は原油価格や為替の変動を受けやすいです。

川上では、製造する基礎材料に品質の差が出にくいため、価格競争になりやすく、利益率が低いです。

国内の総合化学メーカーは、世界の化学メーカーと比べて規模が小さく、輸送コスト面で不利な状況にあるものの、近年はグローバル競争に対応すべく、海外展開を強化しています。

川中においては、安価な原料から高付加価値製品を製造することで、利益率の高いビジネスとなっています。

簡単に製造技術を真似できず、特許に守られているため、新興国企業にコピーされにくい分野であり、ハイテク素材分野などにおいて、高い国際競争力を有しています。

川下は、製品が多岐に渡り、多くの業界と関連があるため、取引先の業界動向に業績の影響を受けます。BtoC企業も多く、製品ライフサイクルが短命化しているため、市場ニーズにあった製品開発がポイントとなります。

(3) 業界動向

化学工業は、多種多様な業種に供給するBtoB 産業であり、供給先の景気動向により業績が左右されやすいです。取り扱っている主要品は、基礎製品と機能性製品の2つに大別され、それぞれ動向が異なります。

基礎製品は、ナフサの原料である原油価格の変動により市況が大きく左右されます。

2010 年代前半は原油価格の高騰により、仕入コストが増大し、利益率は低調に推移していたが、2014 年から2015 年のシェール革命による原油価格の急落により、近年は利益率が回復しています。

化学製品出荷指数は、足元では100 を超えて比較的堅調に推移しているものの、中国景気減速や米中貿易摩擦を背景とした世界的な景気減速懸念が高まっており、基礎製品の需要が弱含んでいるため、今後の動向には注意が必要です。

機能性製品は、基礎製品に比べ利益率が高く、顧客の要望に対応するための高い技術力が必要とされます。国内の化学メーカーは、液晶テレビ向け高機能フィルムなどの電子材料や紙おむつ向けの高分子吸収材など高付加価値製品を強みとしています。

近年、スマートフォンの普及に伴い、ディスプレイパネル業界では高機能フィルム有機EL の需要が拡大しています。

さらに、環境意識への高まりにより、マイクロプラスチック(微細プラスチック粒子)による海洋汚染が世界的な問題となる中、今後はさらにリサイクル性や生分解性の高い製品の市場拡大が見込まれます。国内の化学メーカーは、ニーズに合った製品開発戦略を行う柔軟性が求められています。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
安全性において、自己資本比率は製造業全体で48.6%と高い水準となっている中、化学工業における自己資本比率は55.9%と製造業の中でも高く、流動比率は179.3%、当座比率は112.8%といずれも優良な水準であり、安全性の高い業種といえます。

(収益性分析)
収益性について、製造業全体で営業利益率5.1%、経常利益率7.0%と、全業種平均(営業利益率4.4%、経常利益率5.4%)に比べ高い傾向にあります。

かかる中、化学工業の営業利益率は8.9%、経常利益率は11.6%とさらに高い利益率を有し、営業利益率と経常利益率は、全製造業の中で最も高い水準であることから、国内の他業界と比較すると、利益率の高い業界だといえます。

(効率性分析)
資本効率の面において、総資本回転率は0.7 回と、製造業全体の0.9 回に劣り、製造業の中でも低い水準となっています。

有形固定資産回転率も3.7 回と、製造業全体の4.1 回を下回っており、エチレンプラントの統廃合により、過剰設備は解消しているものの、さらに設備の稼働率を上げて、収益に繋げていくことが課題といえます。

(5) 与信限度額の考え方

与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものです。

与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要があります。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出します。

●与信金額(必要な限度額)

実際の取引において、必要となる与信金額。非鉄金属製造業に対して発生する与信取引としては、鉱物の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出されます。

与信金額=月間の取引金額×回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきです。

買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができます。

非鉄金属製造業に対する平均的な与信金額=月間の取引金額×1.5か月

●基本許容金額(安全な限度額)

基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出します。

一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法があります。

基本許容金額=自社の自己資本額×信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

●売込限度額(安全な限度額)

販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがあります。

そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられます。

売込限度額=買掛債務額×信用力に応じた割合
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(11.3%)と買掛債務回転期間(1.5か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができます。

買掛債務額
=売上高/12[月商] ×(1-0.113)[原価率] × 1.5(か月)[買掛債務回転期間]
=売上高×0.111
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.126[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=3.33億円)

(6) 与信管理のポイント

化学工業製品は、エチレンなどの基礎材料から、医薬品、自動車部材などの最終製品に至るまで多岐に渡ります。

特に最終製品を製造する川下企業においては、幅広い業界と関連があり、他業界との結びつきが強いため、取引先業界の好不況に業績が左右されやすいです。扱っている製品とその販売業界を把握することが重要です。

川上企業は、国内においては、川中、川下も手掛ける総合化学メーカーです。基礎製品については、エチレンプラントの過剰設備や稼働状況の確認が必要となります。川上から、より付加価値の高い川中、川下事業へのシフトもポイントとなります。

川中企業においては、原料に差が無いため、付加価値の高い製品を製造する技術力を有しているかがポイントなります。

川下の企業においては、多業界に素材や製品を提供しているため、取引先の業界動向を把握する必要があります。

また、BtoC 企業も多く、製品のライフサイクルが短命化していることから、市場ニーズに合わせた製品開発力の有無がポイントとなります。

化学工業は、国内需要だけではなく、外部環境の影響も受け易い業種です。原油価格や為替の変動、中国の需要減少や北米・中東の安価な製品の台頭などの影響を大きく受けるため、国外の動向にも常に着目する必要があります。

基礎製品においては、国内需要が頭打ちとなる中、海外に市場を開拓できるか否かも課題となります。

化学工業は、製造業の中でも特に利益率が高い業種であるため、取引先の利益率が低水準である場合には、製品の競争力が乏しい、設備の稼働率が低い、過剰設備による高コスト構造などにより、収益を圧迫しているなどの可能性が考えられるため、注意が必要です。

参考資料
財務省:「平成29 年度法人企業統計調査」「貿易統計(2019 年3 月発表)」
経済産業省:「平成27 年度産業経済研究委託事業-わが国企業の稼ぐ力向上に向けた産業金融の在り方に関する調査研究」
一般社団法人日本科学工業協会:「グラフで見る日本の化学工業2018」
化学産業研究会:「シリーズ業種別会計の基礎 その5 化学産業 第1回」
公益社団法人化学工学会:「化学工業の特徴と役割」
業界レポート 化学工業 2019.08

本日の内容は以上になります。
次回もお楽しみにでは

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