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ハイスペックな男

もういっちょ、ピアノ弾き時代のお話し。
今の私を創った成分に、間違いなく、ピアノ弾き時代に出逢った男性客達の存在があります。

どれも、経営者や一流企業の役員クラスで、秘書や運転手付きの偉いさんもいました。

いわゆる平社員は全くいなかった。

平社員がダメというわけでなく、キャバクラではない、そういう社用のお店だったということです。

男性達はある程度の年齢で、支店長やら専務やら常務やら、地位も知的レベルも高かった。

有名大学を出て、一流企業にお勤めの、いわゆる婚活市場でいうところのハイスペックな優良物件ですね。

しかも彼らは大抵音楽好きでした。

私の仕事は、ピアノを弾くだけはありません。

リクエストを演奏するのはもちろん、歌の伴奏もするし、音楽についての質問に応えたり、なんならホステス並みにお話し相手になったりもする。

美人ホステスも気にはなるのでしょうが、彼らの多くはおネエちゃんを落とすより、音楽に関連した会話を楽しみたいようでした。

私も若かったので、怖いもの知らず。

ミュージシャンとして、彼らの知らない世界の小話をしてあげるだけで、彼らは諸手を上げて興味津々で喜びました。

私は、必要以上の愛想も無く褒めもしませんが、なぜだか人気がありました。

おそらく、偉いさんはドMが多いのでしょう…

先生(私)に叱られたい、とよく言われました…

ぷぷぷ…

(大丈夫か?日本はキミ達が支えとんのやぞ)

私をホステスさんとは違う立場、と認識をちゃんとされた上で、私の発言や意見を彼らは理解してくれていたのです。

代わりに、音楽以外のタメになる話を聞けたのは、なかなか社会勉強になりました。
音楽も大切ですが、ライフラインが止まっては音楽どころじゃありません。

日本を支える企業のことや、世の中のカラクリは本当に興味深い。

彼らの話しは、専門バカの私には逆に物珍しく、そして、地頭の良い男性ばかりですから、さすがに話し方も上手でした。

自分が、頭の良い男性が好物なのだと自覚したのもこの頃です…

残念ながら、大抵既婚者だったので、恋の花が咲くこともありませんでしたが…(笑)

(揃いも揃ってドMだし…)

この経験があってこそ、今、生徒さんである経営者達と、対等に話すことが出来ていると思っています。

しかし…
あれだけのハイスペックな男性達。

一人くらい私のパトロンになってもよかろうに…

全くそんな気配もなく、何故か、ピアノの教え子になったりして、お店で発表会をしたり大変盛り上がったことはいい思い出です。

今も昔も、生徒は男性中心ですが…

色気ナッシング…


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