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読書|木曜日にはココアを

人々の夢を愛するマスターが営む「マーブル・カフェ」
物語のはじまりは、ひっそりと佇むカフェから広がっていきます。

青山さんの作品は、文章が柔らかく、優しさが滲み出ています。あたたかな物語の世界に入りたい時に読みたくなるのが、この一冊です。

色彩の使い方と主人公の移り変わりがとっても心地よい。わたし自身、カラーセラピストの資格をとるために色彩の勉強をしていたので、色の持つ意味も頭によぎりながら楽しむことができました。

「聖者の直進」では、幸せの結婚を願うサムシングブルーが登場します。実は、ブルーは世界で最も好まれる色。地球の主要の色として、海や空など壮大な自然を構成する色だからです。

地球の生命の色であるブルーは、人間の生命を宿す母の色と意味が繋がります。サムシングブルーの起源でもある聖母マリア様が青色の衣服を纏っているのは、母性や包容力などを象徴しているからです。

次に「ラルフさんの良き日」は、オレンジの意味を豊富に使っているお話でした。彼はオレンジが好きな理由を「人を明るく迎え入れて、元気で愉快な気持ちにさせてくれるから」と答えます。オレンジを見ると陽気さや楽しさを感じやすいですよね。

更に、オレンジの持つパワーは人の雰囲気だけではなく料理にも及びます。オレンジ色の野菜は栄養満点なように、ビタミンカラーでもあるオレンジは心身への健康にも働きかけます。

ラルフさんのサンドウィッチ屋さんがオレンジ色なのは、料理がより美味しく楽しめるためにも、素敵なチョイスだと思いました。

さいごに「帰ってきた魔女」では、ターコイズ色のトルコ石を魔法の象徴としていました。ターコイズは、歴史的に神秘的な雰囲気や神様を連想する色です。

特にトルコ石は、水を凝縮してできた石なので病気の浄化などに使われることも。物語の中のハーブ療法やチチン、プイプイ!にも通ずるものを感じます。

読書をしている時、目の前に広がるのは黒の活字。しかし、本書では一つひとつの短編で象徴する色が、より鮮明に頭の中で浮かびました。

暖かく優しい読書時間をもたらしてくれる青山美智子さんの作品を、ゆっくり時間をかけてまた読み返していきたい思います。




前回の読書記録です。

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