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ストーリーは一枚の絵から作ろう

お世話になっています。作家の浜口倫太郎(@rinntarou_hama)です。

少し前に編集者と話していたんですが、とある作家さんが、小説がなかなかできないで悩んでいると言っていたんです。

その人は本業の作家さんではなく、別業界で有名な方です。一冊書いてデビューされたんですが、プロの作家ではないので、二作目にどんな話を書けばいいのか思いつかないと。

まあプロでも二作目って一番苦労するんですよね。一作目に比べると二作目の大変さは段違いです。

そこで編集者がこうアドバイスしたそうです。

「いろんな絵を見てください。その絵を見て物語が浮かぶことがあると思います。それを書いてみてください」と。

なるほどと腑に落ちるアドバイスでした。

一枚の絵から逆算するという書き方です。

これって実際にあるんですよ。例えば以前書いた小説『お父さんはユーチューバー』は、「父と娘が宮古島の青い海を眺めている」という光景から逆算して物語を書きました。

一枚の絵から想像するんですよね。特に僕は映像的な作品が得意なので、よりその傾向が強いです。

お父さんはユーチューバーを読んでいただくと、「なるほど」と思っていただけると思います。

今noteに連載している『むかしむかしの宇宙人』『廃校先生』もラストシーンがパッと浮かんで、そこから逆算して物語を作りました。

これって自分向きの作り方なんですよね。おそらくみなさんの中にも、絵から逆算する手法が向いている方もおられると思います。

この手法を聞いてまっ先に思い浮かぶのが、山田洋次監督の『幸せの黄色いハンカチ』ですね。

日本映画の不朽の名作です。おすすめの映画をあげろと言われれば、幸せの黄色いハンカチは絶対に外せないです。何度見たかわからないぐらい見ています。

幸せの黄色いハンカチも絵を逆算して作られたストーリーですね。その絵とは『風にたなびくたくさんの黄色いハンカチ』です。

このラストシーンにすべてが集約されているんですよね。

山田洋次監督も、「クライマックスのこのシーンが頭に浮かんだとき、映画はうまくいく場合が多い」とおっしゃられています。

ただ一枚の絵から逆算するというのは、一種怖さもあるんですよ。

作品の一番の山場がそのシーンになるので、そこが失敗すると作品自体が壊滅するんですよね。

だから、「この絵(シーン)を一番魅力的にするにはどうすればいいか」というアイデアが必要となるんです。

この幸せの黄色いハンカチでは、山田監督はある秀逸なアイデアを加えています。

それは映画の中からラストシーン以外の『黄色』をすべて排除したことです。

これってすごくないですか。最後の黄色をひき立てるために、そんな工夫をされていたんです。

普通に映画を見ているだけでは気づかない類のものです。でも心理的な効果を狙っているんですよね。

作品を面白くするとはこういうことなんですよね。こんな細かな部分まで考え抜かれているからこそ、最後のラストシーンでみんな感動するんです。

一枚の絵から逆算してストーリーを作る。


もしどんな小説を書いていいかわからないという方はぜひお試しください。


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