ココナッツヘッド−たった1分で読める1分小説−
「おまえを笑わせるのはあきらめた」
太一がそう言い、「やっとか」と小太郎がうなだれた。
二人は九十歳を越えた老齢だが、子供の頃から太一は小太郎を笑わせようとした。だが太一はつまらなく、小太郎は一切笑わなかった。
「生きていて笑わせるのはあきらめたが、面白い死に方をして笑わせてやる」
「……おまえは何を言ってるんだ」
「ココナッツヘッドって知っとるか?」
「なんだそれは?」
「ココナッツ、つまりヤシの実じゃな。ヤシの木は高く、ヤシの実は硬い。南国では落ちたココナッツが