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1分小説

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たった1分で読める1分小説をまとめています。
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不眠症−たった1分で読める1分小説−

不眠症−たった1分で読める1分小説−

「少しは眠れてますか?」
「ぜんぜんですね」
 医師と翔太は、毎度のやりとりを重ねた。

 翔太は不眠症だった。
 十歳の頃から眠れなくなった。ベッドに入っても一睡もできず、まどろみすら訪れなかった。

 両親が心配して病院に連れてきた。脳波などあらゆるデータをとったが、原因は不明だった。
 ただ翔太は、まるで気にならなかった。眠気がないだけで、体に不調は一切ない。人が寝ている間も起きていられる。

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よくあたる占い師−たった1分で読める1分小説−

よくあたる占い師−たった1分で読める1分小説−

「えっ、すごい。全部あたってます」
 理香は、占い師に占ってもらった。よくあたると評判で、友達が紹介してくれた。
 性格や悩み、過去にこんなことがあったなど、まるで見てきたのかと思うほどズバズあてられた。

 占い師が微笑んだ。
「ありがとうございます」
「素晴らしい才能ですね」
「才能というよりも、断固たる決意ですね」
「決意ですか?」
「ええ、私の占いは必ずあたる。そう心の底から信じて占うこと

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サプライズパーティー−たった1分で読める1分小説−

サプライズパーティー−たった1分で読める1分小説−

「6月29日、サプライズパーティーね」
 えっ、と美奈子は急いで身を隠した。廊下で小百合達が話しているのを、偶然聞いてしまった。

 6月29日は美奈子の誕生日だ。小百合が企画したのだろう。
「もうっ、だったらバレないように気をつけてよ」
 美香子は知らない演技を続ける必要がある。面倒だなと思いつつも、顔がにやけた。

 ただその日が迫ってきても、誰も誘ってこない。フェイクのイベントで、美奈子を誘

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ペットの治療費−たった1分で読める1分小説−

ペットの治療費−たった1分で読める1分小説−

「犬の骨折の治療費が四十万円! てめえふざけてんのか」
 動物病院で、男が怒鳴り声を上げた。

 ベッドの上では、犬が苦しそうにうめいていた。
 男は誤ってペットを床に落とし、犬は骨折してしまった。

「犬だぞ、犬! 人間様の治療費だったらまだ納得できっけどよ、犬の骨折で四十万円だと! ぼったくりか」

 獣医が困り顔で説明する。
「ペット保険の加入もなしで複雑骨折ですので、それが正規の料金です」

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ソクラテスの嘆き−たった1分で読める1分小説−

ソクラテスの嘆き−たった1分で読める1分小説−

「文字など使ってはバカになる」
 古代ギリシアの哲学者・ソクラテスは大いに嘆いた。

 文字に頼れば人間は覚える必要がなくなる。だから記憶力は衰える。ソクラテスはそう考えていた。

「未来はそんな騒ぎではありませんよ」
 そこに未来人だと名乗る、裕太があらわれた。
 ソクラテスは得意の問答法で、彼が未来人だと認めた。

 裕太は、ソクラテスを未来に連れてきた。まずは彼に書店を見せた。
 ソクラテス

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憧れの人物−たった1分で読める1分小説−

憧れの人物−たった1分で読める1分小説−

 ロジャーにとって、ベンジャミンは憧れの人物だった。

 ベンジャミンは実業家で、時価総額世界一の企業を経営していた。ロジャーは幼少の頃から、ベンジャミンを目指していた。

 ロジャーは起業すると、すぐに結果を出した。
 なぜならばロジャーは、どんな手段も使ったからだ。

 脅迫、裏切り、暴力はお手のもの。非合法なビジネスにも手を染めた。表向きは新進気鋭の起業家だが、裏の顔はまっ黒だった。
 ベン

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徳を積む−たった1分で読める1分小説−

徳を積む−たった1分で読める1分小説−

 高校生の貫太がタバコを捨てると、後ろで気配をした。

 クラスメイトの健太郎が、その吸いがらを拾っていた。そのまま立ち去ろうとする姿が、貫太の神経を逆撫でした。

「なんだ、てめえ。文句あんのか?」
 健太郎は笑顔で否定する。
「文句どころか、ありがとうって言いたいよ。徳を積ませてくれたんだから?」

「徳? 何言ってやがんだ。坊さんみてえなこと言いやがって」
「徳は実際にあるんだよ。人が嫌がる

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ホールインワン−たった1分で読める1分小説−

ホールインワン−たった1分で読める1分小説−

「なぜだ。なぜプロになれないんだ」 
 男は、プロゴルファーを目指していた。だが何度プロテストに挑んでも合格できなかった。

「もう死んだ方がましだ……」
「おいらに任せてよ」
 そこに天使があらわれ、男があわてふためいた。
「嘘だって、死ぬのは嫌だ」
「なんか勘違いしてるね。僕はゴルフの天使だよ。僕の力でホールインワンができるよ」

 ホールインワンとは、一打目がカップインすることだ。
「ほんと

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フードデリバリー−たった1分で読める1分小説−

フードデリバリー−たった1分で読める1分小説−

 瑛太は、フードデリバリーのバイトをしていた。
 配達中、誰かに呼び止められた。
「……私の声が聞こえる人はいないか」

 瑛太は驚いた。その声は、瑛太の頭に直接響いているのだ。
「なんだこれ?」
「これはテレパシーだ。申し訳ないが何か食事を持って、この住所まで来て欲しい」

 指定された場所は、普通のアパートの一室だった。そこに一人の男がいた。
「私の名は、リムル。パトレス星の宇宙人だ」
 瑛太

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つまらない親父−たった1分で読める1分小説−

つまらない親父−たった1分で読める1分小説−

「親父……つまんねえ、人生だったな」

 父親の遺影を見つめながら、敬一がつぶやいた。

 今日は父親の葬式だった。敬一の父親は公務員で、酒もタバコもギャンブルも一切やらず、凪のような人生だった。
 敬一はそんな父親が昔から嫌で、波瀾万丈な人生を送っていた。

 参列者がやってきて、敬一は目を丸くした 彼は金髪のモヒカンで、顔中がピアスだらけだった。
「このたびはご愁傷様です。お父様とは生前一緒に

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前段階−たった1分で読める1分小説−

前段階−たった1分で読める1分小説−

 どんなジャンルにも天才と呼ばれる人物がいる。

 次郎は、まさにそんな天才の中の一人だった。業界で、天才の名を欲しいままにした。

 ところが、彼がこの世界を止めると言い出した。
 次郎の事務所の社長が引き止めたが、次郎の意志は固かった。
「なぜ止めるのだ?」
「私には最終目標があります。その前段階のために、この業界に入っただけです」

「前段階? どういう意味だ」
「例えば小説家は、前職は新聞

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冷蔵庫の余りもの−たった1分で読める1分小説−

冷蔵庫の余りもの−たった1分で読める1分小説−

「じゃあ冷蔵庫の余りものでチャチャッと作るよ」
 涼太がエプロンを身につけた。

 今日は俺と小春で、涼太の家に遊びに来ていた。俺は小春に惚れていて、どうにか付き合いたかった。

 その涼太の焼き飯は絶品だった。小春が絶賛する。
「おいしい、これっ、本当に冷蔵庫の余りもので作ったの?」
「そうだよ。俺、余りものでなんでも作れるんだ」
 涼太が爽やかに笑った。

 俺と小春で帰ると、小春が余韻に浸る

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ココナッツヘッド−たった1分で読める1分小説−

ココナッツヘッド−たった1分で読める1分小説−

「おまえを笑わせるのはあきらめた」
 太一がそう言い、「やっとか」と小太郎がうなだれた。

 二人は九十歳を越えた老齢だが、子供の頃から太一は小太郎を笑わせようとした。だが太一はつまらなく、小太郎は一切笑わなかった。

「生きていて笑わせるのはあきらめたが、面白い死に方をして笑わせてやる」
「……おまえは何を言ってるんだ」
「ココナッツヘッドって知っとるか?」
「なんだそれは?」

「ココナッツ、

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巨人の野球−たった1分で読める1分小説−

巨人の野球−たった1分で読める1分小説−

「このままでは隕石が衝突し、多大な被害が予想されます」
 科学者がそう説明すると、国王は苦い顔をした。

「想定の被害者数はどれほどだ?」
「国民の半数は死亡するかと……」
 国王を含めた大臣達が、暗澹たる気持ちになった。

「私に任せてください」
 外から野太い声がした。全員が窓の外に顔を出し、首が折れそうなほど見上げた。

 そこには大きな巨人がいた。

「私ならばこの危機を救えます」
 国王

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