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よくあたる占い師−たった1分で読める1分小説−

「えっ、すごい。全部あたってます」
 理香は、占い師に占ってもらった。よくあたると評判で、友達が紹介してくれた。
 性格や悩み、過去にこんなことがあったなど、まるで見てきたのかと思うほどズバズあてられた。

 占い師が微笑んだ。
「ありがとうございます」
「素晴らしい才能ですね」
「才能というよりも、断固たる決意ですね」
「決意ですか?」
「ええ、私の占いは必ずあたる。そう心の底から信じて占うことを心がけています」

 なるほど。一流の人の考え方だ。理香は深く納得した。
「ところでご自分を占われたことはあるんですか?」
 ふとした好奇心だ。
「自分ですか? やったことはないですが、試してみましょう」
 占い師が水晶玉を見つめると、やがて沈痛な面持ちをした。

「……私は明日事故にあって怪我をします」
 想像外の展開に、理香は仰天した。
「……でも占いだから外れることもありますよ」
「私の占いは絶対にあたります。明日からの仕事はすべて中止します」

「ねえ、占い師さん、交通事故にあって怪我したんだって」
 後日友達から聞かされ、理香は息を飲み込んだ。
「……本当にあたったんだ」

 なんて的中率だろうか。もう占いではなく予言だ……。
「でもね、その事故現場を目撃した人に聞いたんだけどね。占い師さん、私の占いは絶対にあたるとぶつぶつつぶやきながら、

 自分から車につっこんでいったんだって」



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