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酔って思ったことを連綿と書き残す13「友人J」

「お前は、なんで助けて言ってこねー」「友達だろうが、うちら!」

友人Jは、熱い男性である。東北に住んでいる。
実際に会う機会は、もしかしたら、もうないかも知れない。何百キロ、離れているのだろうか。

12を書いた後、自殺は回避できた。酔いに狂れて綴った「お前は、俯瞰性と冷静だろう?」は効果覿面だった。冷静になれ、逃げろ。
今までも、もう幾らでも、自殺は回避してきた。大丈夫だ。
が、翌日、頭のおかしさはより酷くなっていた。
起きた時は、無事だったことにはほっとしたのだけどね。

ちなみに、死にたがりの人は、危なくなったらここの1ページ目の右下「自殺未遂者の心理状態」を是非読んでほしい。
俯瞰して、見られるようになるんじゃないかな?

https://www.jcptd.jp/pdf/2018/jdc_onestop_2018_2_6.pdf

Jに就いて。
Jは、父を自殺で亡くした。
Jの母は、狂人である。
Jは、いい奴だ。
Jは、バツイチである。
Jは、「唖」の一味である(私よりもずっと重症だ)
Jは、慰める言葉は言わない。「大丈夫?」とは言わない(これはおそらくは、彼自身も所謂「サバイバー」だからだろうね)
Jは、必ず私を美人だという(12の時の「美人て言われ慣れてるだろ」の件も、彼のものである)
Jは、パンクロックが大好きだ。
Jは、年上である。
Jは、私の半生を大体知っている。

「自分の生き方とか、思想を変えるんじゃなくて、何か一つだけ変えればいい」
これは、嘗てJが私に言った言葉の一つだ。

数少ない友人の中で、唯一「私は頭がおかしい」ことを言える友人が、Jである。

自殺を回避した翌日、よりおかしくなっていた私は、日中、ワンルームの室内をうろうろとし、テレビをつけては消し(テレビを見て、何故誰も狂わないのか、不思議で仕方ない)精神科のウェブサイトを開いては閉じ(希死念慮がひどい人は受け入れてもらえないし、予約だって取れない。なら、もうやるしかない。彼らはひどく吝嗇で人でなしだ)爪を全部、徹底的に研いだりした。
自殺願望者を長く標榜する自分でも、なかなかにおかしなことになっている。実は今でも、あまり改善されていない。
今日だって、近場で死ぬなら志摩かなあ、熊野かなあ、篠島かなあ、なんて、一日中考えていたくらいだ。あらゆる行動とその結末や展望を、考えては消し、考えては消して、仕事はちゃんとやった。

(本当に、話が破断してしまうのだけど、私はそういった鬱状態でも、公共の場では、冗談でもなんでもヘイチャラと笑っていられる。所謂、パブリックイメージたる「鬱病」のような状態には、子供の頃からなったことがない。自分自身に嘘をついて演じているわけでもない。自然とできる。所謂「微笑み鬱」ともちょっと違うように思う。
今の、ありのままの自分である「おかしな」自分と、「パブリックな」自分を二分できる能力が、そもそもあるようだ。
これは、どういう定義になるのだろうね。
ただ、パブリックで、なんてことのないエピソードでほろっと泣いたりとかはあるよ。
これは、専門の方に聞いてみたくはある。
太宰さんで言う「二律背反」と同義なのだろうか?
嘘つきだからだろうか?)

話を戻して。
自殺回避の(12を書いた)翌日、日中、家中をうろうろしたり、なんだかんだとおかしなことになっていた私は、夕方になって、JにLINEをした。
近々、患者会の総会がある。彼は、東北地方を束ねている。行くのかい?というような内容だった。
行かないらしい。オンラインでも参加しないらしい。
へー、と思った。
夜更けに、どうにもならなくなって、1行のLINEをJに20通ほど送った。
入院したい、怪我が治った、どう誤魔化して生きればいい、頭がおかしくて、などなど、散々たる、恥知らずな、誤字だらけの、最低な文列を送っていた。それすら自覚できないほどになっていた。情けない話だ。

彼は「大丈夫?」なんて言葉は絶対にかけてこない。照れ屋さんである。
私がもし逆に彼の立場だったなら、私は彼を扶けてあげられない。いい言葉もかけられそうにない。
本当にごめん、関わるな。
そんな文面を送っていた。
翌朝見返してみれば、赤面な、ひどいものだった。

「相変わらずいろいろ抱えて生きているようだな」
深夜の2:24に返信が来た。不断の私なら、睡眠薬でとうに夢の淵にいるのだが、薬を飲んでもまるで眠れず、このままだとまたオーバードーズかなあ、またおかしなことをやるのかな、迷惑だなあ、と思案していた時だった。彼にLINEを送りまくっていたことを、ここで知った。
その後の彼の文面は、自分も最近体調不良でちょっと休職したよ、という話。
お前も休め、という話。
お前は美人だという話(前回の話もあるから念のために言うが、彼とは至ってクリーンだ)
寝ろ、大丈夫、安心しろ。
サザエさんのたまちゃんと、輪島巧一さんの写真(意味が、わからない)
たまたま夜更けに起きて、返信をしてくれたようだ。

ここで「大丈夫」という言葉が出てくる。
「大丈夫?」とは言わないが、「大丈夫」とは言うのだ。

20分ほどやりとりをして、「落ち着いた?」と彼からLINEがくる。
「落ち着いた。ありがとう」と返す。でもおそらく、彼はその言葉を真面目には捉えてない。
夜が明けて、LINEは再開され、彼の娘さんのこと、息子さんのこと、父のこと、従兄弟のことを、逆に私が聞くことになった。
彼だって、クタクタだった。

私は、今は寧ろ彼の方が心配だ。彼は、いつだって大事なことを言いたがらない。照れ屋さんなのだ。かっこつけ男子だ。
不安になる。
それを考えると、やっぱり、私の今は、とても良くない。甘えすぎるな。
ちゃんと、見よう。
落ち着いて、私も、彼も、見る。人を見る。そのためにも、私は、落ち着く必要性がある。そんな気がする。果たして、落ち着けるだろうか。
今回に関しては、今はまだ毛穴ほどの自信も持てないが、踏ん張りどころなのかも知れない、と、思ってはいる。

「お前に死なれたら心残りが増える」
私も、それは分かっている。
だからこそ、しがらみや関係性を絶ってから死にたいのだ。でも、いつも、こんなふうになる。
その度に彼に扶けてもらっている。

実のところ、彼との直接の思い出は、然程ない。5、6回しか会ってないんじゃないだろうか?
なのでエピソードもあまりない。
LINEのやりとりがほとんどである。

なので、ここにJの名言、迷言を書き記して、短くまとめ終わろうと思う。
そのために6年分ほどのLINEのやりとりを読んでみたが、大半はくだらないやりとりだった。
最高にクレイジーなYouTubeの動画も彼の言葉と併せて引用しよう。

(なにせ、前回の12は、添削もなく、原稿用紙にして18枚分もあったのだから、もう、狂ってる)

今、まさしく、どうしようもなく死にたくて、孤独で、頭がおかしくなりそうで、悩んで、喘いでいる人たちにも、彼の言葉を分け与えたく思う。
彼の言葉一つ一つが、悩める人への一縷の光になってくれたらいいと思う。

持つべきものは友だと、重ねて言いたい。
J、お前は佳い男だよ。心底そう思う。

***

「だべな。しっかりしろ」
「生きるさ死ぬまでは」
「自殺するくれーの覚悟は今は病気なんだと思ってる」
「救ってやった覚えなどない!」
「だから寿命くるまで俺の渾身を捧げるみんなに。いらなくても」
「椿?叫べ、俺達がいる」
「つばきもハッピーなること祈る」

ちなみに、彼は私のことを実際に「つばき」と呼んでいます。

「心身休めてるか?俺はいるからないつも」
「自分のコントロールか。俺が知る椿ならなんとかできるな」
「友達だろ、バーカ。友達なめんなよ?」
「(私が14kg減量した時の話)14キロはやばいな。豚ロース4本分だな」
「子供達は俺の夢だからよ。ロクデナシな父親の宝なんだよ」
「このコ(私のこと)もイカれてんだなーと」
「あなたはモテる人。絶対!藤原紀香に負けないね」
「やれんの知ってるし」
「気にすんな。好きにやりな。友達は守る」
「パンクは死なない」
「脳と体と心のこと。椿の境遇とかも影響あるんだろうけど、あー!やっちまった!って気づいただけで良しだと思うよ俺は。それが人間だと思うし」
「椿が特殊なコなら俺も特殊なコだし」
「友達いること忘れるな」
「負けるなよ。いつか会いに行くから!」

「そして、世界一下手なバンド」







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