つれづれなるままに

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最近の記事

解放という呪縛

(間接的にですが犬が亡くなる表現を含む文章です。苦手な方は閲覧をお控えくださいますようお願いいたします。) _____________________________ 1年が経った。 大学を卒業してから、そして、あの子が長い眠りについてから。 これは、あの日の私の、どうしようもなく我儘で自分勝手な散文だ。 卒業式の日、よりによって私が朝早く家を出た日、両親が見守る中であの子は亡くなった。 「今朝だったから、」と、私の在籍している学部名も学科名も覚えていなかった父はど

    • ごめんね言葉に絆されて

      絆される、とは、だいぶたちが悪い。 受け身で表現されているあたり、多分不本意。 自ら絆されたいと近づく人がいるならば大変なお人好しだ。情とかいう不確定でぽっと出の感情しか裏打ちにできないのだから、あたたかさややさしさなんて美徳で着飾っていても、足元はきっとずっとぐらぐらだ。 いっときの情なんていつどこで無くなってもおかしくない。実績もへったくれもないそれにすがりつきたくなるほどに惚れ込んでしまったか、酸欠状態の頭にはよほど輝いてみえたのか。どちらにせよ、それほどまでに追

      • 期待しないよ

        期待しないという言葉を「他人に対する要求レベルを上げない」と置き換えた人がいた。 それを用いるとしても、私はやはり期待されたかったのだと思う。ちょっとした承認欲求。 文字にするとひどく気持ち悪い、でも、それでも。 こんな前置きをしておきながら、ずっと私は期待されたくなかった。笑ってしまうけれど。 いつだって、わたしという像が作られていく様子を、液晶画面越しにぼんやりと見ていた。 外面だけ見て形に当て嵌めて、きっとあなたならできるって、どこを見て言っているんだろう。でも

        • また今日も夜が来る

          先日仕事終わりに「夜明けのすべて」を観てきました。以下作品の内容や演出に触れております。未鑑賞の方、鑑賞の予定がある方は閲覧をお控えいただいた方がよいかもしれません。ページを開いてくださってありがとう、また遊びにきてくださったら嬉しいです。 _________________________ まずは、いいなあと思ってしまう自分に吐き気がした。特にPMS。山添の「PMSって言えば良いですもんね」っていう表現は、おそらく私が言ったらただの棘になってしまう。でも山添と藤沢の関係

        解放という呪縛

          ブラックボックス

          提出を来週に控えている課題が進まないので、この前友人と話したことを記録しようと思う。現実逃避、じゃない、はず、多分。 「知性化」について、他専攻の友人A友人Bと話すことがあった。災害や事件が起きた時のことを考えたり知ったりするのはつらいけれど、でも知っておかなければならない。なるべくなら知りたくなかったことを知る必要はあるか。知ったあと、どう蹴りをつけるか。 私と友人Bは、「自分のための情報として取捨選択して変換して、活かせそうなことなら頭の片隅に置いておく」と答えた。

          ブラックボックス

          ひとり暮らし1年目なのに昨年よりさみしくないし落ち着いていられるのは多分今のわたしは温もりに囲まれているから

          ひとり暮らし1年目なのに昨年よりさみしくないし落ち着いていられるのは多分今のわたしは温もりに囲まれているから

          年末っていうのはこれだから

          「年末」という言葉はなんとなく日々を急き立てる。できたこと、できなかったこと、やり残したこと、変わらなかったこと、変われなかったこと。忙殺されるなかで縁をなぞるくらいしかできなかったそれらが急に実体を表わしてくるから、少しだけ目を伏せたくなる。 この1年は、死ぬ間際にきっと思い出すであろう風景で埋め尽くされている。 昨年は、バイト先と家しか自分が存在するのを許せなかった。誰かの役に立つことや必要とされることを免罪符にしてようやく立っていた。いたいと思えるのか、いたいと思っ

          年末っていうのはこれだから

          もう駄目です無理ですと言った時にああそうですかと笑われた時、心が折れた音がした時 誰になら届くんだろうなもうだめだな

          もう駄目です無理ですと言った時にああそうですかと笑われた時、心が折れた音がした時 誰になら届くんだろうなもうだめだな

          「無理しないでね」のおそらく「無理」にあたるのであろう行為が普通な場合はどうしたらいいんでしょうねという話でした 私にとっては普通だから無理するなと言われてもしてないと答えるしかないんだもの

          「無理しないでね」のおそらく「無理」にあたるのであろう行為が普通な場合はどうしたらいいんでしょうねという話でした 私にとっては普通だから無理するなと言われてもしてないと答えるしかないんだもの

          「無理しないでね」 「休んでね」 「あたたかくしてね」 相手にならいくらでも言えるその言葉を自分の胸にあてたとき、それは急速に冷えていく。 もらった時は確かにあたたかかったはずなのに、時間が経ってから取り出してみたら温度どころか輪郭すら失われていた。あれ、もらった時は確かに嬉しかったはずの「あれ」ってなんだったんだっけ、あの人に渡した時の感情は確かに覚えているのに。 目の前のサボテンは何も答えてくれない。 無理ってなんだ。休息とは、逃避とは、防御とは、いったいなんなんだ。

          欺瞞

          もう声も残ってないのだ鰭さえも戻るも進むも何も見えない同胞たちは最初からいない こんな短歌?詩?よくわからないものを熟熟書いてしまうほどにきっと私はおかしいんだと思う。 もう私はこのまま生きていくしかない、ということに心の底から絶望している。地獄を過ぎたならもう意味はなくて、業火で負った火傷も手足の傷もぼろぼろの皮膚もどうでもいいんだって。五体満足で口角に力が入れられる余力があるなら、それ以外は関係ないんだって。今地獄にいる人に手を伸ばしなさい、って言われても私の骨は折れ

          夜、コーヒー、ブルーライト

          ずっと愛されたかった。 私、じゃなくて、「わたし」を見てほしかった。 計算された虚像じゃなくて博打を打ったみすぼらしい姿をその目に写して欲しかった。その貧相ささえ受け入れて欲しかった。でもそれは電卓を無表情で叩けたからこその願いで、本当はそんなこと望むことがそもそも間違いだったんだよ。 貧相な、ぼろぼろな自分自身を受け入れられないのにそれを他人に押し売ろうとするなんて、 なんてたちの悪い売人なんだろうね。 計算式が見えない一瞬はひどく脆くてあさましくて恥ずかしい。ねえお

          夜、コーヒー、ブルーライト

          アップデートが開始されている、かもしれません

          人間になんかなりたくなかった。 自我も、自由も、私にとっては障害物だ。校則や大人の視線を第一優先に社会規範を読み取って、必死に頷いて笑っているあの時の方がよっぽど楽だった。何も考えずに最適解を導き出せればそれでよかった。敵じゃありませんよ反抗しませんよという服従の姿勢がとれれば、誰もが笑ってくれた。歓迎された。それでよかった。それがよかった。 波風を立てないことと自分の意思を表に出すことを天秤にかけて、自分の望みと期待を天秤にかけた。指標である「平和」の文字はどんどん重た

          アップデートが開始されている、かもしれません

          拝啓 親愛なるきみへ

          きみが我が家の毛布のなかから顔を出さなくなって、もう半年を迎えようとしています。実家では電気代が1桁少なくなり、身軽になったような、物足りないような、そんな空気が流れているそうです。 きみは、気がついたら私の生活にいた。 ふたりきょうだいだったはずが、弟のような兄のような友人のような、そんな小さな、いや大きすぎる存在としてそばにいた。 今だから言うけど、最初はきみのこと全然好きじゃなかった。クッキーやパンの類は狙われるし、吠えるし、噛むし、それなのに両親はきみのことばかり。

          拝啓 親愛なるきみへ

          夏の終わりに思うこと

          普通なんかない。 それは救いであり呪いであり保険でもあり死刑宣告でもある。ある時には勇気づけられたそれに、今はどうにも苦しめられている。 この春、所謂「普通」のレールから外れた。 誇りでもあり後ろめたさでもあるそれが持つ輝きは私をナチュラル・ハイへと誘った。見るもの全てが美しく、やわらかく、仄かに熱を帯びていた。文字通り熱に浮かされながら、どこかで白昼夢を見ている気がした。今目の前の景色は幻覚で、気がついたら崖っぷちにいると言われても納得してしまうような危うさに何度もひや

          夏の終わりに思うこと

          夢か現か

          夢を見られる時が1番幸せなのかもしれない。 理想だ何だを語って、憧れて、指を鳴らしてぱちんと現実に戻る。 白昼夢を見ているように見えるかもしれませんけどちゃんと地に足つけて生きていますよって顔をして、先人たちが踏み固めてきたライフコースを辿って。 人生においてマジョリティが何かの議論は今は置いておくけれど、大学卒業後の就職、結婚、妊娠出産、あたりがハッシュタグとして使われる大多数な気がする。 私は大学卒業の後に続くはずのシャープではなく、物好きしか選ばないと言われた肩書

          夢か現か