拝啓 親愛なるきみへ
きみが我が家の毛布のなかから顔を出さなくなって、もう半年を迎えようとしています。実家では電気代が1桁少なくなり、身軽になったような、物足りないような、そんな空気が流れているそうです。
きみは、気がついたら私の生活にいた。
ふたりきょうだいだったはずが、弟のような兄のような友人のような、そんな小さな、いや大きすぎる存在としてそばにいた。
今だから言うけど、最初はきみのこと全然好きじゃなかった。クッキーやパンの類は狙われるし、吠えるし、噛むし、それなのに両親はきみのことばかり。