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2023年12月の記事一覧
2023年 #小説 noteまとめ100作
今年もたくさん読みました。
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「noteで小説書いても読まれないよね」
「がんばって書いても読まれないとくるよね……」
「うっし、ならば年の瀬100作品読もう!」
……と、3年前にはじめた小説noteまとめ100作。今年もやってきました!どこかにいるかもしれない100ファンの方々、お待たせいたしました!
はじめたときと比べて、note公式さんの年末まとめに小説カテゴリ定着したり(うれしい
小説/汐喰シーサイドホテル537号室
吹笛と共に飛び上がり、どんっと夜空に号砲を撃つ大きな雫のようにそれは起こって、わたしは遺灰を溢してしまった。でも自分が誰と衝突したかわからない。わたしは人の顔を見ないので。
人の顔を見ない理由はいくつかある。まず第一に人の顔を見ると悪玉菌が善玉菌を殺してお腹を壊し、それから鼻が曲がって目玉が飛び出て口は耳まで裂けて舌が耳殻をぺろぺろ撫でてぴちゃぴちゃという音が脳髄まで到達する前に足のつま先から
小説/汐喰シーサイドホテル704号室
「お願いだよ、この通り。な、な?」
父さんは 汐喰シーサイドホテルのフロントカウンターで両手を合わせる。
僕はカウンターに飾られた金色に光る〔Good-bye 2023〕の文字を見つめてる。
「海の見える部屋だって本当はひとつくらい空いてるだろ。な」
「申し訳ございません。あいにく満室でございます」
ホテルの人は同じ言葉を繰り返す。
「年越しの花火を子どもたちに見せたいんだよ。分かるよな。な?」
おばさんと電車と死体【リレー小説/①】
大昔の殺人事件の物語みたいだ。
一両編成の電車の車内に横たわる男の死体。窓の外の景色は抜けるような青空とどこまでも続く青い海で、さわやかな景色と死体の組み合わせはシュールなながめだった。
ぼくとおばさんはしばらく無言のまま、ぼくらのちょうど中間地点の床の上に横たわる死体を見下ろした。おばさんは思案顔で指をあごに当てた。
「推理小説みたいだよね」
ぼくは答えた。
「ぼくは頼んでない」
「私も