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IR法案とは?

先日、立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党が国会にカジノ禁止法案を提出してニュースになりましたね。

度々耳にする「IR法案ってなに?」と思われる方もいると思います。
そこで今回はIR法案がどのようなものなのか説明していこうと思います。

(目的)第一条 この法律は、特定複合観光施設区域の整備の推進が、観光及び地域経済の振興に寄与するとともに、財政の改善に資するものであることに鑑み、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、特定複合観光施設区域整備推進本部を設置することにより、これを総合的かつ集中的に行うことを目的とする。
(基本理念) 第三条 特定複合観光施設区域の整備の推進は、地域の創意工夫及び民間の活力を生かした国際競争力の高い魅力ある滞在型観光を実現し、地域経済の振興に寄与するとともに、適切な国の監視及び管理の下で運営される健全なカジノ施設の収益が社会に還元されることを基本として行われるものとする。

(※特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案より一部引用)

要約すると

IR(統合型リゾート)を作って観光客を呼び込み、日本の景気を良くしましょう!
IR(統合型リゾート)にはカジノ施設が含まれているから、適切に管理して運営しましょう!

ということなんです。

カジノ法案だからカジノを解禁しましょうという法案ではなく、観光客増大を目的としたIR(統合型リゾート)を建設して日本の景気を良くしましょう。
IR(統合型リゾート)の中にはカジノ施設も含まれていますよ。
ということなんですね。

**IR(統合型リゾート)とは? **

カジノのほかにホテル、劇場、映画館、アミューズメントパーク、ショッピングモール、レストラン、スポーツ施設、スパなどの温浴施設、国際会議場・展示施設といったいわゆるMICE施設を一区画に含んだ複合観光集客施設です。

カジノのイメージが強くなっているIRですが、老若男女が楽しめるリゾート施設なのです!

世界のIR

アメリカ

世界的に有名なラスベガス。カジノホテルがいくつもあり、映画の舞台にもなるほど有名です。1日で18億ドル(約2000億円)もの金額が動く日もあるらしいですよ。

マカオ

マカオは中国の特別行政区にある香港とフェリーで結ばれている人気の観光地です。近年ではカジノ施設が数多く発達してきたため訪れる観光客が年々増回しています。

●シンガポール

シンガポールといえばマリーナベイ・サンズが有名ですよね。
1999年開業のベネチアン・ラスベガス、2004年開業のサンズ・マカオ、2007年開業のザ・ベネチアン・マカオ…と数々の大型IRを手掛けるラスベガス・サンズが運営。
世界一流のダイニングやショップ、客を心ゆくまで楽しませるカジノエリア、Instagramなどで見かけるインフィニティプール(ホテル頂上にプールがある)など、ひとつひとつの施設がトップクラスです。

IR法案導入のメリット


メリット①:外国人観光客増加による経済の潤滑

カジノはインバウンド(訪日旅行)を増加させることを考えると、大きな目玉になります。

カジノがオープンしたら海外からはたくさんの観光客が訪日することが考えられるため、観光客がその地域の飲食店やホテル、お土産屋さんなどにお金を落とすことになるでしょう。

そうなるとカジノがある地域の景気は観光収入により上向きになるはずです。

メリット②:地域雇用の促進

カジノができれば働く人が必要になりますよね。
カジノ産業ではディーラーや受付など大量のスタッフが雇用されます。

カジノが地域にできることでその地域の雇用を創出できるほか、カジノで景気が上向いたらその影響がほかの施設にまで回ってきます。

カジノで景気が上向いたら、ホテルや飲食店などは新しく雇用を作り、地域の雇用を増やすほか、雇用の選択肢も増やします。

さらにカジノで景気が上向くということは、カジノに関わっている産業も潤うということなので、カジノ関連の雇用も増えていくでしょう。

メリット③:インフラ設備が整う

もともと人口が少ない・発展途上の地域でも、カジノによって国内外から多くの人が集まるようになれば、周辺環境を整えなければなりません。

道路事情や交通事情が不便な地域の場合、交通インフラを整える必要があるほか、ショッピングセンターやホテルなども充実させる必要があります。

交通事情やショッピングセンターなどが充実すれば、カジノに来る人だけではなく周辺に住んでいる人にとっての利便性も向上するでしょう。

メリット④:社会補償費の確保

実はカジノ法案のなかでももっとも大きなメリットとされているのが社会保障費です。

カジノは国が運営することが予定されており、そこでの収益は当然国のもの。

実際マカオの場合、カジノ税収だけで日本円に換算して1兆2300億円(2015年)あり、それによって市民は医療費、電気料金の補助や、教育費無料などさまざまな恩恵を受けているのです。

日本の場合、政府総債務残高(対GDP比)が2016年の統計で239.27%あり、世界でナンバーワンの数字となっています。

日本のGDPは4.939兆USドルなので、これに239.27%をかけると、約1,181兆ドル借金があることになります。

これを日本円に換算すると約12京円もあることになり、日本の借金は膨大な金額になっています。

日本のカジノにいくらお金が落とされるかはわかりませんが、カジノで収益が出ればある程度は借金の返済もできるようになるでしょう。

また日本にカジノができることで、増えた観光客が地域にお金を落とし、消費税による収入が増加したり、雇用が増えることで所得税による収入が増えることで、税収アップにつながります。


IR法案導入のデメリット

デメリット①:ギャンブル依存症の増加

2017年度の厚生労働省による調査で「依存が疑われるほど、ギャンブルにのめり込んだことがある人は3.6%にのぼる」という統計が出ています。

ギャンブルは自制ができれば日常生活に刺激を与えてくれますが、のめり込みすぎるとギャンブル依存症になったり、多額の借金により借金多重債務者になるリスクも。

政府はカジノを含む統合型リゾートについて「日本人と日本在住の外国人が利用する場合6,000円の入場料を徴収し、ギャンブル依存症対策をする」としています。

初期段階では2,000円の入場料設定されていましたが、与野党の協議の結果6,000円になりました。

デメリット②:治安が悪化する

立候補している自治体は20か所以上あります。

北海道、秋田、青森、福島、宮城、東京、神奈川、千葉、石川、静岡、愛知、和歌山、大阪、徳島、島根、福岡、長崎、宮崎、沖縄と全国の自治体が立候補していますが、カジノはこのうちどこかひとつにできる予定です。

大阪の夢州と横浜、お台場あたりが有力候補地だとされていますが、いずれにせよ周辺住民への影響は少なからずあるでしょう。

外国人観光客は外国人観光客でも、国によって文化が異なるため、トラブルが起きる可能性があり、それによる治安の悪化は避けられません。

警備コストもかさんでくるので、そういったところも無視できません。

デメリット③:マネーロンダリングが行われる

マネーロンダリングとは資金洗浄のことを指します。麻薬の売買や脱税などで、非合法的に得たお金の出所をわからなくすることで、捜査機関による差し押さえや摘発から逃れようとするものです。

銀行口座で回数を重ねたり、株や不動産の購入、最近では仮想通貨がマネーロンダリングに使われていますが、カジノが使われることも多いようです。

政府はカジノを運営する業者について「許可証を出したところだけにする」とし、マネーロンダリングを防ぐ狙いですが、実際の効果についてはカジノ営業が始まってからでなければわかりません。