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利用者の「強み」の見つけ方

▼アナタの強み(ストレングス)は?


先日、次女からオモシロイものを渡された。


「sunメッセージ」と言うタイトルの封書に、クラスメイト31名全員からの「アナタの良いところ」を書いたカードが入っていた。


次女の話によると



授業の一環で、クラスメイト全員に向け、それぞれの良いところを名刺サイズのカードに書き出し、それを本人らに配ったものらしい。


次女宛に書かれたカードのいくつかを紹介しよう。


・スピーチの声が大きくていい
・挨拶が素敵
・字が綺麗
・授業中の姿勢がきれい


これを読みながら、僕の頭のなかでは、
「いやいや〜」
「日記の字、小さいやん」
「うちで宿題するとき、ノートを90度回転させるやん」
「ご飯の時、いつも左手、机の下やん」と反論意見が出まくってはいたが、グッとこらえ、「めっちゃ、いいやん!」と、とりあえず承認の型におさめた。


しかしながら、次女は【学校】というコミュニティのなかで、クラスメイトとともに過ごしていくなか、彼女のふるまいや言動が、周りに「強み(ストレングス)」として認識されているのだなぁと感心させられた。


では【家庭】というコミュニティのなかで、父がみる次女の強み(ストレングス)とは、

・家の手伝いがサラッとできる
・よく笑う
・1学年上の長女をめちゃくちゃ慕っている
・社交性がある

といったところ。

結論、コミュニティが違えば、そこで体験する出来事も違うわけで、ここで更なる強み(ストレングス)が加わってくる。


例えば、彼女が【家庭】にしかコミュニティがなく、【家庭】でしか体験できる場所がなければ、「スピーチの声が大きい」なんて強みは引き出せない。

「スピーチの声が大きい」は【学校】というコミュニティがあり、そこで体験したことで、引き出された強み(ストレングス)なのである。



▼体験を重ねて、経験を積む


では、障害福祉の現場に置き換えてみると、どうだろうか。


個別支援計画の立案に伴うアセスメントを整理していくなか、施設入所の利用者の方の強み(ストレングス)を見つけるのに苦労する側面がある。


理由はシンプル。
利用者は、毎日同じ生活空間で、同じ活動で、同じ食事で、ほぼ同じ支援員で、暮らしがまかなわれている。


加えて、プランを立てる支援員やサビ管は、利用者と同じコミュニティで、同じ時間を過ごしているため、強み(ストレングス)が限られて、それ以上ないように見えるわけなのだ。


コミュニティが動いていないことが原因なのは、お察しの通り。ではコミュニティを展開するにはどうしたらよいのか。



その前にここでひとつエピソードを紹介。



うちの施設入所を利用する40代男性。区分6の知的障害と強い自閉傾向のある方。キッチリ、カッチリを好み、予定調和の乱れに混乱するタイプ。

そんな彼を含めた事業所の日帰り旅行。20名程の利用者をお連れし、「明石焼きの調理体験」に参加した。

店舗到着後、お店の方から、調理工程の説明を受け、まずはヤカンに入った生地を熱々のプレートに注ぐことになった。

この工程を取り組める人は限られるだろうと、事前に予想したスタッフらは、「出来そうな人」に声をかけていったが、なんと、彼がおもむろに、ズカズカとプレートの前に移動してきた。

「難しいかも」
「できるとは思うけど、溢れちゃうかも」
「やらせてみようか」

こうしたそんなスタッフの声や思いは見事に裏切られる。

彼は、プレートのひとつひとつの穴に、めちゃくそ丁寧に、かつ寸分の注ぎ溢しもなく、生地をヒタヒタに入れていったのだ。

見た瞬間、「すげ〜」と大笑いしたのと同時に、すぐに動画で撮影もした。


彼に
・規則的に区切られたマス目へ丁寧に生地を注ぐことができる

といった強み(ストレングス)が加わった。施設で、365日いると、当然見つけれなかった強みである。


そう、【学校】と【家庭】のように、過ごす場所とそこで時間を共有する人を変えるいった「コミュニティの展開」が難しいのでえれば、【体験】を増やすほうが良い。

【体験】をひとつひとつ重ね、経験に育て上げれば、見つけることができる強みもあるかもしれない。

・規則的に区切られたマス目へ丁寧に生地を注ぐことができる

といった強みを、どう展開させていくのか?

スタッフのクリエイティブ力の見せ所である。

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