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【エッセイ】ASDっ子の「困っていない」という困りごと。

🧩この記事は、凸と凹の共同運営マガジン8月企画「凸凹ゆえの失敗談」企画に参加しています。

今日のエピソードは、失敗談って感じではないかもしれないけれど・・。

同じように困っている人も多いと聞くので、失敗談として取り上げさせてもらいます。


分かっていても分かっていなくても、
困っていても困っていなくても、
ニコニコしていて放っておかれちゃうタイプ。

これは、3才ASDっ子が通う療育の施設長に言われた言葉だ。

発語こそ遅かったけど、集団行動での目立った「困りごと」を聞いたことがない息子くん。

幼稚園でも、引越し先の保育園でも「問題ないですよ!むしろ、こんなことが出来て〜〜」と褒めて育ててもらっている息子くん。

だから、園での「困りごとはない」と思っていた私は、この言葉にハッとさせられた。


小さい頃の自分の話

というのも、皮肉にも?自分自身の子供の頃を思い出したからだ。

今考えると、私は「友達の和に入れているようで、うまく入れていない」という困りごとを抱えていた。

そんな私の姿に気がついた母親。

「友達ともっと遊びたいのに、1人でいるとしたら可哀想」と思って「どうしたい?」と聞いてくれたんだそう。

その時に私は「1人がスキ」と答えたから、「それでいい」とそのままになったそうだ。


自分の本音

確かに私は1人もスキだけど、友達となんだかよく分からないけど、ちょっぴり上手く付き合えていないような感じに、戸惑ってもいた。

友達がいないわけではないけど、微妙に感じる疎外感。

小学校で「○人グループを作って」と言われるのが苦痛だった。

「私はどのグループに入れば良いのだろうか。仲間外れにされたらイヤだな。」

大抵は友達のおかげで上手くいっていたけど、居心地の悪さを抱えたままの学校生活だったのは覚えている。

母は、そんな私のぎこちなさに気がついてくれたのだろう。

心配してくれた時に答えた「1人が好き」という言葉は、母を心配させたくない私が、嘘をつかないギリギリの範囲で答えた本音だと思う。


周りの評価と本人の心

先生から見たら、勉強もできて、集団行動もできて、何なら正義感も強くて、何も問題のない子。

むしろ優等生扱い。

でも、本人はちょっぴり苦しさを抱えていて。

あの時の私に必要だったのは、ソーシャルスキルトレーニング(SST)だったのかな、と発達障害の勉強をした今なら思う。


学習の機会を奪わないために

さて、話は戻って療育長の話。

分かっていても分かっていなくても、
困っていても困っていなくても、
ニコニコしていて放っておかれちゃうタイプ。

この続きには、こんな話が続く。

保育園ではそれで良いんです。
保育園は「就労支援」だから、
その目的は達成しています。
でも、療育施設ではダメです。

息子くんのタイプは、
1人でニコニコ遊んでいるから、
どうしても人と関わる機会が少ない。
「放っておかれる」というのは、
学習の機会を奪っちゃう。
今、様々なことを吸収していくこの時期に、
それは非常にもったいない。

だから、療育施設では大人が積極的に関わって、
まずは息子くんと大人の関わりを増やす、
そして「人と関わると楽しい✨」という気持ちを育み、
子供同士の関わりにつなげていく、
こういうことをやっていきます。

目から鱗だった。

息子は「困っていない」ことが「困りごと」だったのだ。


学習の機会が少ないASDっ子

定型の子が、自然発生的に先生やお友達と関わって学んでいくことを、ASDの子は学べないことがある。

対照的なエピソードがある。

1才くらいの時、指さしをしなかった息子は、一緒に散歩をしていてもコミュニケーションが生まれなかった。

一方、1才の娘と散歩をすると「あ!」と言って興味のあるものを指差しで教えてくれるのだ。

すると、こちらも「あ!お花見つけたね。」「白いお花だね」「綺麗だね!」なんてコミュニケーションが生まれる。

こんな些細なやり取りで、娘は「お花」「見つけた」「白」「きれい」とたくさんの単語を吸収していく。


でも、1才の頃の息子は、私が「お花があるよ!」と言っても、同じものに興味を示してくれることはなかったし、

息子が興味持ってそうなものに「これは○○だね!」とか話しかけても、聞いているのか、聞いていないのか、全く分からなかった。


こうして、同じ私と、同じ「散歩」という行為をしても、1才の頃の息子と、1才の娘では圧倒的な学習量の差ができてしまう、ということなのだ。

そのハンデ(特性)を理解して、「学習の機会を奪わない関わり」を促してくれるのが「療育」ということだ。


「困っていない」の奥底に。

一見「困っていない」子ども。

癇癪も起こさないし、場も乱さないし、指示にも従える。一見すると、友達の和に混じって遊んでいるように見える。

でも、息子の場合、よく見ると同じ玩具で遊ぶ子と関わってはいないのだそうだ。それは、ただ一緒の場所にいるだけで、一緒に遊んでいるとは言えない。

息子としては「困っていない」

でも、長い目で見ると、「友達と関わって遊ぶ」中で学べる様々な知識・スキルを学ぶ機会を失っている。

こうして学ぶ機会を失ったまま大きくなると、後から学校・社会で苦労するのかもしれない。私のように。

実際、自分が3才の母子手帳を見ると「一緒に遊ぶ友達はいますか?」→「いいえ」だったし、幼稚園では「目が合わない」って言われていたらしいし、明らかに学ぶ機会を失ったパターンだ。

「言葉が遅い」
「トイトレが進まない」

すぐに気が付く発達の遅れに目が行きがちで、そこさえ克服できれば・・

なんて気になってしまうけれど、もっと長い目で見て「人と関わる楽しさ」「人と関わって学ぶ機会」を育むことが重要なんだ、と気がついたお話でした。

どうぞよしなに。
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こ、これは失敗談で良いのかと言う疑念が拭えないので、ここ最近の失敗談も貼らせてください。


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