高速戦隊ターボレンジャー、第49話「美しきキリカ」
「出でよ。大封印。出でよ。大封印…。」
夜空からターボレンジャーを見つめてきたラキアの星座。
それを汚す暴魔の赤い印。
暴魔百族の強力暴魔獣108匹が封印されている暴魔界の封印が解かれる時間が迫っていた。
”一挙に地球を制圧してやる”と大封印の場所を血眼になって探すかっとびズルテンとウーラー隊長ウー。
一方、キリカは父カシムが残した言葉を反芻していた。
テーマは”自分の気持ちを畳む事”
「行くぞ!最後の戦いに!」
ヤミマル・キリカは、そんな最期の闘いにヤミマルの最大の理解者であるヤミクモを選んだ。
ヤミクモを暴魔獣にする為にビームを当てるキリカからは悩みが見て取れた。
そんなキリカを奮い立たせる為にヤミマルは、「俺の愛するのはただ1人。人と暴魔、2つの世界を支配する王国を築き、黄金の椅子に座らせてやるぜ!」とキリカを奮い立たせようと…
そして、、、
「俺は人と暴魔から受けた傷の痛みに耐えながら、2万年を生き延びて来たのだ!2万年の痛み、もはや血で贖わねば消えんのさ!」とターボレンジャーにも言葉を放ち、キリカに芽生えようとしていた優しさ・愛に蓋をしようとする。
…キリカの中に芽生えようとしていた”優しさ”。
今話の神セリフはそんな心が揺れているキリカに力が投げかけた魂の言葉を選ばせて頂いた。
今まで小夜子が人から受けてきた耐え難い時間。
それを遥かに越える時間、カシムは小夜子を想っていた。
”人と暴魔を繋ぐ優しき架け橋になってほしい”という想いを…。
そして、その想いは2万年の年月を超えキリカに届く。
ヤミマルが力にトドメの流星剣を向けた際、盾になったのはキリカだった。
自らの手で止めた流星剣からは、彼女が人として”誰かを守りたい”優しい気持ちが滴っていた。
悪に染まりかけていた彼女は狭い入り口でも傘を斜めにして通っていた。
周りにどれだけの雫が飛び散ろうと、自分が受けてきた辛い想いに比べたら…という想いがあったから、彼女は決して自分の傘を閉じようとしなかった。
ただ、辛さは誰しも大小の差はあるが経験している。
力がボロボロになりながら、傷ついた自分を助けてくれた事で彼女の中で土砂降りになっていた辛さの雨は止んだ。
そして、彼女はまだ閉じかけていた優しさへの入り口を傘を閉じて通り抜けられた。
優しさは人を優しくする。
その後にキリカにヤミマルが言ったセリフも紹介しておきたいと思う。
キリカへ背を向けて放ったこの言葉には、ヤミマルの愛が込められていた。
そう、自分に生きる活力を与えてくれた月影小夜子への精一杯の優しさが。
ちなみに、私は雨が嫌いだ。
降っているのが悲しみや辛さに感じるから。
でも、いつかは傘から溢れた床の雫を拭ける人になりたいと思っている。
優しさは優しさを生み出す唯一の方法だから。
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