最近の記事

日曜日の教会

最近、聖書や聖書関連の本をよく読んでいる。 いくつか疑問も出てきたし、明確に疑問といえない変な感じもあるし、1人で読んでいても仕方ないと思ったので、教会に行こうと思った。本とか出してる牧師がいるプロテスタント系の教会がわりと近くにあった。その牧師の本も読んで、いい感じだと思った。話してみたいと思った。特にパウロについて。 ある日曜日の午後に、自転車で30分くらいかけてその教会に行った。 住宅地のなかに突然、教会があった。教会というより普通の家だった。住んでいる部分の入り口、

    • ある中華屋のおもいで

      サウナや町中華が流行っている、私も好きだが、私にとってそれらはわざわざ電車や車で「訪れる」対象ではない。あくまで徒歩か自転車、せいぜいどこかへのついでで行きたいだけだ。といって、遠征してそれらを目的としている人をどうとも思わない。 今住んでいるところにも、よく行く中華屋があった。 大きなテレビがあり、美味しんぼやゴルゴが並んでいて、私はよくエノキとベーコンを炒めたもの、ニラ玉なんかを食べていた。妙に日本酒に力を入れていて、亀齢や鍋島なんか置いてあったりもした。近所の住人や

      • 怖いものが怖かった頃

        怖いものが怖かった頃 人間には、怖いという感覚がある。 自分は小さい頃、とんでもない怖がりだった。 むしろ、怖いという感覚が怖かったのかもしれない。普通は、小学生高学年ともなれば、怖い感覚を楽しむことができる。「怖い話」やお化け屋敷、ホラー映画などが一気にエンタメとして入ってくる。大人たちもまた、子どもをそういった類のもので怖がらせて楽しむ。子どもたちも、もっともっと、と怖いものを欲する。そして怖いものを拒否するや否や、情けないビビりとして嘲笑してくる。 自分はだいたいにお

        • 村上春樹と完成する記憶の問題

          村上春樹の新作「街とその不確かな壁」が出て、いろんな評判が出てきた。 古臭い男性像への当て擦りや、相変わらず自閉的で女を利用していること、若さに執着して老いが描けていない、なんて声もあった。どれも、なぜそれがいけないのか、ピンと来なかった。 確かに、新作において登場した新しい語り手「私」は、これまでの「僕」より最年長となっても、いまだに勃起への強迫観念は保ちつづけている。「勃起したぼくの性器」は、村上春樹にとって最重要のモチーフの一つであると言われても仕方ないし、それ自体が

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          村上春樹が直したもの、新作に備えて

          もうすぐ、新潮社から村上春樹の新作『街とその不確かな壁』が発売される。とても楽しみだ。もし「村上春樹の単なる新作長編」であれば、こんなに楽しみではなかったと思う。 すでに言われている通り、村上春樹は『街と、その不確かな壁』というタイトルの小説を、1980年に『文学界』で発表している。しかし、本人が出来に納得していないという理由で、単行本化されていない。 40年の歳月はなかなか大きい。まず、その執着する力に驚く。 そして、この表層的なことならなんでもすぐにわかる時代に、以

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          発達障害イエロー

          発達障害には、ラベリング問題が幽霊のようにつきまとっている。 ADHDにしろASDにしろ、私って発達障害だから(笑)という自嘲気味な自己診断はよく見かける。 あるいは「医師でもない」一般人が別の一般人に、多くの場合陰口として「あの人はアスペだよね」などと言ったりする。 そうした素人診断は、一般良識的には嫌われる。 「本当に困っているひと」を侮辱していることにもつながるし、診断名を弄んでいるような印象ももつ。 私自身も、「周囲から困ったふうに扱われて、正式な手続きを経て診断

          発達障害イエロー

          アーティストの話

          尊大なアーティストが地下へ向かっていった どうせすぐに帰るんだろうと思ったら 嬉しそうにじっくり見ていて これはとても好きです、と言った それでつい、故郷の話をしてしまった わかります、よくわかります、 と言って尊大なアーティストは 自分の故郷についても、色々なことを言って 元気に帰っていった

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          スマブラの記憶

          数年ぶりに実家に顔を出すと、姉の家族も来ていた。と言いつつ、姉の家族でもいないと実家でのhow to beingがわからないので、姉の帰省のタイミングに私も帰省を合わせただけだった。甥に会うのも数年ぶりだった。私は比較的甥に好かれているようだが、小さい子供はたいへんな不安と緊張と興奮に生きている。同じ数年であっても30を超えてからと小さい子供のそれはかなり、決定的に違うから、私のことはもう忘れて、いや覚えてはいても、謎の怪対象になっているかもしれない可能性は検討していた。その

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          薔薇たちの逃亡

          昼下がり、スーパーで夕飯の食材を買い集めてのち、うららかな一軒家が並ぶあたりをボイパしながら練り歩いていた。 そうすると、レンガづくりの6部屋はありそうな豪邸の、それに似つかわしい、フットサルくらいならできそうな広い庭で、瀟洒な銀髪マダムが薔薇の手入れをしていた。薔薇は庭一面に、鉢や鉄の柵などさまざまな意匠とともに、しかし過密というほどでもなく上品に、薔薇素人の私でもわかるほどに咲き誇られていた。 咲き誇られていた、と変な受動系を用いたのは、その薔薇たちは枝や葉の一枚まで、銀

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          勃起王、裏島耕作

          第1部 交換様式P 仕事に女に絶好調の日々を過ごす裏島耕作、とある裏工作のため、裏日本のうらびれた町のビジネスホテルに宿泊している。もちろん、昨晩の裏工作は無事成功、恨みつらみを誘発し、適切に裏切りを導いた。ついでにディスコで拾った女とガチコミ裏四十八手も決めた最高の朝。目覚めたら女はもういなかったが、ギンギンに照りつける太陽に負けじと裏島のチンポコもギンギンに勃起している。 「うむ、絶好調だ」 イカした女とイカしたレストランで、ヴーヴクリコを注文するような思慮深い表情で、

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          コンサータのある暮らし

          そんなわけで、コンサータを飲み始めて3週間くらい経つ。 いろいろとキツくなってきたところがあって、薬をもらうつもりではなく、相談の感じで精神科にいったら、ものの15分で処方された。「とりあえず飲んでみて、解決すればそれでいいし、合わなければやめればいい」とのことだった。 その精神科がザル系ドクターなのか、私が一目瞭然だったのかはよくわからない。というか、診断がついたのかどうかすらわからないが、なんか専用のカードまでもらった。 知能テストとか受けさせられる、半日病院にいても結局

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          永沢君とはだれか

          ちびまる子ちゃんの全巻を繰り返し読んでいると、永沢君があまりに急にたくさん出まくるので驚く。この、玉ねぎ頭のひねくれた少年は、18巻中6巻に至るまで登場していない。 もともと私は9巻から出てきる、とメモしていたが、Wikipediaには6巻から出ていると書いてある。そして確かに出ていた。 親が授業参観にくる、という流れで、花輪君がボクのマミーは来れないがじいやがくる、まる子が「ああヒデじいね」と会話しているところに、「いいよなみんなはだれかがきてくれて」「オイラんちなんかだれ

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          他人の夢に出る方法

          夏目漱石の「夢十夜」は、第一夜、第二夜、第三夜、第五夜は「こんな夢を見た。」ではじまる。第九話は「こんな悲しい話を、夢の中で母から聞いた。」でおわる。 ほかの5つの話には、これが夢である、ということは書かれていない。 もちろん、タイトルが「夢十夜」だから、全部夢についての話であることは想像できるし、実際にそんなふうに読まれている。それでも本文中には書かれていない。むしろなんで四つの話には、「こんな夢を見た。」をわざわざ冒頭に書いたのか。 たとえば「こんな夢を見た。」「こんな

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          ちびまる子ちゃんのこと

          最近ちびまる子ちゃんを読み返していた。 私はオタクにならない、つまり同人誌やアニメを見ないという強くしょうもない決意をかかえて生きてきて、たぶんこのまま死ぬのだけれど、ちびまる子ちゃんは昔アニメで見ていた。こんな感じでも知っているアニメといえば、サザエさん、ドラえもん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃんくらいのもので、この辺がいわゆる戦後日本の国民的アニメ、ということになると思う。 これらは、登場人物が主に家族とクラスメイトで構成されている点が、こち亀、コナン、ドラゴンボー

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          連合赤軍のかわいい女

          連合赤軍に参加していたなかで、一番のモテといえば、全体の死者で13番目に殺されてしまった女性、大槻節子である。 大槻は横国大学出身、永田洋子をトップとする日本共産党左派神奈川県委員会に所属し、もともとは合法部で、山に入る際にも機関紙の編集の位置付けだったが、流れのままに軍の構成員となる。 当初は森も大槻の能力や熱意を評価していたが、そのうち森・永田の総括対象となり、縛られ、軒下に吊し上げられる。唯一、殴られることはなく死亡。総括対象となった理由として、裁判や証言などでも、美人

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          左近の話

          感覚に名前がつけられる前、快と不快の感覚が全身をぐちゃぐちゃに支配している。周りにいる、自分と同じような年齢の人間の指先の動きからゲームは始まり、興奮と怯えのなかを短い手足で転がり続ける。そんなふうに、小学校低学年の男子は基本的に永遠に発狂している。 地区のソフトボール大会、最終試合で、セカンドを守っていた私はサヨナラエラーをした。ボテボテのゴロで、私がそれを拾ってファーストに投げればチームの勝ちだった。ゴロを見て、監督をしていたO野さんという近所の太ったオッさんが、勝った、

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