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学童期の投球障害を予防しよう!

これまで肘下がりと身体の開きという、投球フォームの問題とされる現象について解説と改善方法をお伝えしてきました。

投球動作を反復することで肩や肘を痛めてしまうことを投球障害といい、
この原因の1つとして投球時の肘下がりや身体の開きが関与していると言われています。


もちろん、肩や肘を痛めてしまう原因は投球動作のエラーである上記の2つだけではなく、腱板と呼ばれる肩周囲の筋力、胸郭や脊柱の柔軟性などの身体機能を含めたもっと多くの要素が複雑に重なり合っていることがほとんどです。


しかし学童期に生じる投球障害の原因に関しては多くのことがわかってきています。


そこで今回は学童期の投球障害の特徴と、
その予防法についてまとめてみたいと思います。

まずは、投球障害と関連する投球数や練習頻度の特徴について。
・1週間に16時間を超える練習時間
・1日100球以上の投球数
・全力投球1日50球以上
・年間100試合以上
・1週間休み無しで練習が続く
・シーズンオフが無い


次に、ポジションや身体特性からみると、投球障害には、
・投手、捕手であること
・過去の肩肘の痛み
・(投球側の)肘が伸び切らない
・猫背
・左右肩の可動域の違い(投球側の動きの制限)
・踏み込み脚の股関節可動域制限
が関連していると言われています。
(Matsuura et al. 2017, Sakata et al. 2017)

専門的には
・肘の伸展制限
・胸椎後弯角の増大
・投球側肩外旋角可動域低下
・投球側肩内外旋トータル可動域低下
・肩水平内転制限
・肩内旋制限(左右差)
・踏み込み側股関節内旋制限(左右差)
が学童期の投球障害の危険因子とされています。(Sakata et al, 2017他)

このようなポジション特性、練習環境、身体的な制限因子の他に、リスクとして挙げられている学童期ならではの特徴を明らかにした坂田ら(2015)の前向き研究の報告があります。

投球障害を起こす選手は、特定の時期に前鋸筋筋力の体重比と、下肢リーチの下肢長比が低下していたそうです。
(前鋸筋の筋力比は小学6年生時、下肢リーチの下肢長比は小学5年生時に低下)

この報告によると、筋力そのものやリーチできる長さ自体が下がったわけではなかったようです。

あくまでも筋力やリーチできる長さを体重や脚の長さで割って正規化した値が特定の時期に低下していたのです。

つまり、身長や体重が増加した時期に、筋力やバランス機能が追いつかないことによって投球障害につながっているのではと考察されています。

坂田は、これらの調査をもとにYKB-9というプログラムを考案し、普及に努めています。
YKB-9(計9種目から構成される投球障害予防プログラム)
・ストレッチ(5つ):上腕、前腕、胸、脇、おしりのストレッチ
・バランス練習(2つ):片脚バランス、エルボー・トゥ・ニー
・エクササイズ(2つ):キャットアンドドッグ、トランクローテーション

実際に、YKB-9を小学生野球チームのウォーミングアップに導入したところ、投球障害の予防につながったとする報告もなされています(Sakata et al. 2019)。


YKB-9はこちらのサイトからやり方などがダウンロードできますので、
学童期の選手のご両親や指導者の方はぜひ参考にしてみてください。


投球障害は再発率が高く(35%程度)、まずは予防することが最も大切と言われています(Matsuura et al. 2017)。

特に学童期は身長や体重も含めて体の変化が大きい時期です。

変化の大きい時期だからこそ、適切なストレッチやトレーニングを実施することが必要ですし、リスクとなる因子を取り除くことでかなりの予防効果が得られます。


また、練習時間や投球数、投球頻度なども含め、大多数の問題は指導する側の大人が管理しなければいけない要素だということも、忘れてはならないことだと思います。


この記事を通して、学童期の野球選手にも適切なウォーミングアップや投球障害を予防するためのトレーニングが有効であることと、何より、がむしゃらに練習をし続けることが選手たちの体を壊しているのだということが広く認知されるきっかけになることを願います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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