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【簡単あらすじ】ドS刑事/風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件(微ネタバレ)【七尾与史/幻冬舎文庫】



静岡県浜松市で発生した、残虐な連続放火殺人事件。
元ヤクザ・詐欺師・OL・サラリーマンなど様々な人間が被害者となる。
そして、捜査の途中で浮上した容疑者も被害者となっていく。

美人でドSな刑事と相棒は「悪意のバトン」の存在に気が付くが…

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『はじめに』
季節が変わり、読書の秋ではないですが、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいた本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、その作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたいのですが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』がありますので、その点にご注意ください。

皆さんは、

風が吹けば桶屋が儲かる


ということわざをご存じでしょうか。

江戸時代に作られた表現と言われており、十返舎一九の「東海道中膝栗毛」にも出てきますので、知っている方も多いかもしれません。

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ことわざの流れを書きますと、

1.風が吹くと土ぼこりが発生し(=江戸時代なので、道路が舗装されていないため)、
2.それが目に入ると目に障碍が残ってしまう方も多く(=江戸時代なので、医療は未発達)、
3.そういった方が職業とする「三味線弾き」の三味線には猫の皮を使っている(=今は違いますが…)ため、原料とされる猫の生息数が減少し、
4.その結果ネズミが増え、
5.ネズミが桶をかじってしまうケースが多く発生するため、
6.桶を修理したり買い替える方が多くなり、桶屋が儲かる。

ということになります。

上記を簡単にまとめると
「思いもよらないことが原因となって、ある影響が現れる」
ということを伝えたことわざになります。

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私は、学習塾で学生への授業のお手伝いをすることがあり、そこの生徒などに「一見無駄に見える努力も将来役に立つことも多いんだぞ!」などと(偉そうに)言う時などに利用している表現で、年に何回か使っています。

最近、本の内容やゲームのテーマとして良く使われる、バタフライエフェクト(些細なことが大きな変化の原因となる)と同じような意味であり、使われ方をしていますが、この作品の副題としては「風が吹けば桶屋が儲かる」しかあてはまらないと思います。

私は、「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざの全体のイメージと、儲かるという言葉のイメージに囚われてしまい、真相にたどり着くのが遅れてしまいました。

( )に数字を入れて、微妙に時系列を変化させていることにも引っ掛かり、最終盤で真相が分かったときには、とても納得しました。

各人物のベクトルはどちらを向いているのか…

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この作者さんは、「全裸刑事チャーリー」もそうですが、

こういった「短編ミステリー」を繋ぎ合わせる形の作品がとても上手だと思います。

短編ミステリーについては、「伏線などがあまり無いため、浅い内容の作品が多い」といった批判的考えの方も多いですが、私は、テンポ良く読み進めることが出来るので、短編作品もかなり好きです。

今作品中ではたくさんの方が殺されてしまうため、「主人公が、少ない情報を元に推理し犯人を追い詰めていく」というタイプの作品が好きな方には合わないかもしれませんが、(言葉は悪いですが)、テンポのよいミステリー作品がお好きな方にとてもおススメです。

夏には最新刊

「イーヴィル・デッド 駄菓子屋ファウストの悪魔」


を刊行予定など、創作意欲もまだまだ衰えてない方なので、これからも追いかけていきたい作家さんです。


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